ドクターの紹介:1991年アメリカ映画。外科医マッキーは、仕事も家庭も良好で順風満帆の日々を過ごしていた。彼は患者に感情移入をせず、事務的に診療をする医師だったがある日、自らが喉頭ガンを患っている事を知る。その治療生活を過ごす中で、自分という医者がどの様に患者に接していたかを知り、人間として変わっていく。医師としてのあり方をテーマに、家族の絆、友情と別れ、そして再生を描くヒューマンドラマ。
監督:ランダ・ヘインズ 出演者:ジャック・マッキー(ウィリアム・ハート)、アン・マッキー(クリスティーン・ラーティ)、ジューン(エリザベス・パーキンス)、ブルムフィールド(アダム・アーキン)、マーレイ(マンディ・パティンキン)、レスリー・アボット(ウェンディ・クルーソン)
映画「ドクター」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ドクター」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ドクター」解説
この解説記事には映画「ドクター」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ドクターのネタバレあらすじ:第1幕
腕利き外科医マッキーの勤務態度は医師としてごく普通で、手術中にはお気に入りの音楽を掛け、何の感慨も無く、切り、患部を処置し、縫合するし、歌を歌うそれだけでした。スタッフ達からの信頼も厚いのですがナンシーという看護士は、手術中だけはいつも顔を曇らせ歌も歌いませんでした。マッキーは、同僚のブルムフィールドを霊感療法の教祖と揶揄していました。彼は手術中全身麻酔で意識のない患者に、手術経過を逐一語り掛けながら治療を行う医師でした。マッキーにはそれが奇妙に見えて仕方がありませんでした。いつものように患者の身体的回復のみを考え、愛しい家族と日々を過ごし、家の改装に心配ります。しかし最近続く咳に悩みます。咳に血が混じりる事も出始めます。しかし仕事とは続けインターン医師達の指導もします。彼の診療方針は、常に患者の感情を考えないようにし、適確に仕事に徹する事でした。デリカシーがないように見えるのもその主義の所為でした。彼の悩みは次から次へと増えて行きます。いつも組んでいる医師が、医療ミスの疑いで訴えられます。患者が失語症になった言うのです。その事にも事務的に対処を考えます。マッキーは一つの悩みを解消する為、勤める病院でアボット医師の診療を受けます。初診の検査を終え彼女は、マッキーと同じように感情を考えず、喉頭ガンだと告知しました。そして事務的に精密検査の手続きを始めました。その夜、ショックを受けたマッキーは酒を飲み、荒れます。マッキーに悪い事が起きたのを察した妻のアンは、二人で乗り越えようと慰めますが、酔っているマッキーは自分の問題だと突っぱねます。しかし思い直したように彼女にガン告知を受けた事を告げました。
ドクターのネタバレあらすじ:第2幕
マッキーの通院生活が始まります。しかし、長年勤務している筈の場所で、出始めの手続きから何事も規則通り進められる事に苛立ちを募らせるます。事務的に進む検査の結果でアボットは、患部の切除手術を要求するマッキーの意に反し、放射線治療を行います。何事もうまく行かないと言った感じにマッキーは落ち込みます。そこにブルムフィールドが来て、ガンの事を聞きつけ親身になってくれますが、マッキーは強がって見せました。立場を使って横入をしながら治療が始まりますが、どこか患者を除け者にした治療に不満を感じます。更に仲間達からも、治療の影響が医療事故に繋がる事を恐れられ、敬遠されているような扱いを受けます。そんな事が続き、自分の病院対応に当り散らします。そんな日々の中で、マッキーはジューンというステージ4の脳腫瘍患者に出会います。腫瘍発見が遅れた病院に対して不満をぶちまける彼女に、マッキーは言い逃れ的にステージ4でも長生きしてる患者を知っていると嘘を吐いてしまいます。マッキーは院内で自分の検査を問い合わせて、他に転移がなかったと確認できた時は胸をなでおろしました。そしてお祝いと言わんばかりにブルムフィールドをからかいますが、彼は元気なマッキーを見て笑みを浮かべます。マッキーは早速妻子に報告しよう思いましたが、二人は用事で都合が合わず、すれ違いを感じ始めます。それでも転移がないという事で気が楽なったマッキーですが、ジューンに嘘がばれ、安易な慰めはやめてくれと激怒されました。しかしマッキーは、今度は医療制度の所為にして言い訳をします。ですが死に向かって覚悟している、ジューンには何の慰めにもなりませんでした。
ドクターのネタバレあらすじ:第3幕
ジューンの覚悟と生きようという気概を感じてから、マッキーの診療方針に変化が見え初め、患者に感情を抱き始めます。そんな時、治療仲間が一人、朝、目覚めませんでした。
ジェーンは愚痴のようにやり残しを口にします。そして彼は、治療が芳しくないという報告を聞きました。大きなショックを受けるマッキーを見かね、ジューンは彼を病院の屋上に連れて行きます。彼女は腫瘍が発見された日、そこから飛ぶ気だったと告白します。そして悩み、叫んでいると、近くに鳥が一匹止まり、不思議そうに首を傾げ、何を悩んでいるのか?と問われたように見え、自分が滑稽に感じ、彼女は全てが吹っ切れたと言います。ジューンは彼にここで泣き叫び、ここから飛べば良いと言い放ちます。叫びたくも飛びたくないというマッキーに彼女は、なら必死になって生きろと叱咤します。勇気付けられたマッキーは、前にジューンから聞いたやり残しを叶えるべく、唐突に彼女を連れ出します。彼女が観たがっていたダンスショーの会場までマッキーは車を走らせます。長く続く砂漠の風景見て彼女は、唐突に車を止めてくれと言い出します。ショーに間に合わなくなるというマッキーを押し留め、彼女は過ぎ去って行く風景を見るのが辛いと言い、彼女は砂漠のど真ん中で車を止めさせます。ジューンは砂漠を見詰め、いつも被っている帽子と頭に巻いているスカーフを外し、髪のない頭を晒します。死に立ち向かい、寄り添うような彼女に穏やかに居る秘訣をマッキーは聞きます。彼女は幾つかコツを上げ、踊りも効果的だと言うと、マッキーを誘い踊りだしました。帰り道、夜中になり、マッキーはアンに電話を入れます。心配する彼女に放射線治療が失敗していると告げます。それを聞いて迎えに行きたいというアンに、マッキーは女友達と一緒だと告げ、電話を切ります。ジューンを家に送り家に帰るマッキーですが、出掛けのアンと車ですれ違います。アンは泣きはらしたような顔をして、傷付いたと言って去って行きました。出勤したマッキーは、医療ミスで訴えている患者が困っているのを見かけます。仲間の医師が彼を腫れ物でも見るような態度をとる中、マッキーはそれを見過ごせず、手助けをします。マッキーはアボットから、手術をする事を告げられます。患者を無視して手続きを進める彼女に憤りを感じますが、患者である事を強調され従います。仕事、手術、それに妻との間に溝が深まって行くのを感じ、マッキーは夜中にジューンを尋ね、愚痴を聞かせます。ジューンは、言うだけ言って去って行ったマッキーに、手紙を書きました。翌日、マッキーはアボットの診療室に訪れ担当医を代わって貰う事決断したと告げます。一時の迷いだと宥めようとするアボットに、貴女も一度患者になるべきだ、そうすれば気持ちが判るとマッキーは諭します。アボットからカルテを受け取ったマッキーは、その足でブルムフィールドを尋ね、彼に患部切除の手術依頼をします。信頼を受けたブルムフィールドは、マッキーの喉を切るという念願の夢が叶ったと冗談めかし引き受けます。患者の気持ちを知ったマッキーは、医療ミスをした友人に証言を頼まれていましたが、彼の記録を読んで庇えないと断りました。
ドクターの結末
仕事をするマッキーにアンが訪ねてきます。彼の手術が決まり様子を見に来た彼女ですが、手術を自分で翌日に決めてた事を報告されます。アンは、何も知らされず、全ての悩みをジューンに相談しているような彼に落胆します。その時、マッキーは呼び出されました。マッキーが呼び出されたのはジューンが倒れ、搬送されたからでした。ジューンは昏睡状態でしたが、マッキーは彼女に語り掛けずにはいられませんでした。夜、家に戻ったマッキーは、アンにジューンが亡くなった事を告げます。マッキーは手術台に上がります。ブルムフィールドが手術の準備を始めます。その周りにはマッキーの助手達が集まっていました。ナンシーが歌い、マッキーに全身麻酔が掛けられ、手術が始まりました。手術が終わり、ブルムフィールドはアンに手術の結果を報告します。手術は成功しましたが、声が救えたかどうかはまだ判らないという事でした。自宅療養するマッキーに罵詈雑言が聞えてきます。それはアンが、内装業者が指示通りに行っていないという怒鳴り声でした。マッキーはアンから貰った呼び笛を吹き、業者の間に入ってアンを連れ出します。マッキーは声が出せない為、ホワイボードに自分に怒鳴れと書きます。更に君が必要だと書きこみますが、アンは彼が手術前に自分を必要としなかったと返します。マッキーは表情を暗くし、ホワイトボードにすまないと書き込みます。アンは御座なりに判ったと言いますが、マッキーはそれを許さず笛を鳴らして自分に向き合うように促します。そのしつこさにアンは、とうとう音を上げました。マッキーはそんな彼女に愛していると、掠れた声で告げます。声が出た事にアンは歓喜し、マッキーは喜びを表現するように踊り出します。仕事に復帰したマッキーは、早速心臓移植の手術を行う事になりました。その手術前、患者の奥さんが、心の清らかさは心臓の作用かと聞きます。マッキーはそれを肯定しました。マッキーはいつものように音楽を掛けて手術を始めます。しかしその音楽は患者に合わせた物でした。そして意識のない患者に手術経過を語り掛けるマッキーの姿がありました。彼は移植を終え、綺麗な心臓だと語りかけました。マッキーは指導するインターン達に自分の体験を知って欲しく、新しいカリキュラムを作りました。それは仮の患者となって、72時間患者を実体験すると言うものでした。マッキーは溜まっていた書類を整理します、その中にジューンからの手紙が混じって居ました。
マッキーはその手紙を読み始め、反射的に屋上に登ります。手紙には、妻との溝に悩んでいた彼へ、自分の見え方、そして心の開き方のアドバイスが書き記されていました。
マッキーはそれを読み終えます。すると彼の横に止まっていたハトが、悩みは何ですかと言いたげに見上げていました。
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