コレクターの紹介:1965年アメリカ映画。ジョン・ファウルズの文学作品を大胆に脚色。巨匠ワイラー監督が手堅い演出で仕上げたサスペンス・スリラーの秀作。テレンス・スタンプはこの作品の成功でさらに注目を集め、以後も異色のスターとして活躍する。
監督:ウィリアム・ワイラー 出演:テレンス・スタンプ(フレディ・クレッグ)、サマンサ・エッガー(ミランダ・グレイ)、モナ・ウォッシュボーン(おばのアニー)、モーリス・ダリモア(近隣の住人)ほか
映画「コレクター (1965年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「コレクター (1965年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「コレクター (1965年)」解説
この解説記事には映画「コレクター (1965年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
コレクター (1965年)のネタバレあらすじ:起
1匹の蝶が虫取り網で捕獲されます。それを取り出すのは、フレディ・クレッグ。サッカーくじが当たり、突然大金持ちになった青年です。無口で無学、孤独そのものの彼はそれまで散々銀行の同僚からバカにされていましたが、金が手に入るとすぐに辞職。町から離れた場所に屋敷を見つけ、そこに住み始めたのです。余裕のできた彼は邪悪な計画を立案。それは女性を拉致した上で監禁し、無理やり自分の恋人にする、というものでした……。
コレクター (1965年)のネタバレあらすじ:承
彼が目をつけた相手は、美術大学に通うインテリ女性であるミランダ。緑のバンでその行動を観察したフレディは、人けのない道を歩いていた彼女をクロロホルムで昏倒させ、拉致に成功。屋敷の窓のない地下室に連れてゆきます。意識を取り戻したミランダは驚愕し、フレディに対し自分の解放を求めますが、彼は聞く耳を持ちません。彼女の愛を求めたいだけだ、というフレディですが、まるで趣味である蝶の採集を人間相手に行っている様子です。彼女の必死の要求に、フレディは監禁の期限を決め、一緒にいることを同意させようとします。もちろん、それが本当かどうかも分かりませんが、ミランダは一応それを信じて監禁生活に甘んじることになります。
コレクター (1965年)のネタバレあらすじ:転
それでも折を見ては逃亡の機会を伺い、虫垂炎を装ってフレディを騙そうとしますが、結局失敗。少しは彼と実のある話をしようと、サリンジャーやピカソの話題を持ち出しても、学のないフレディは反発するだけです。ようやく期限が来たため、ミランダは解放をせがみます。しかし、フレディは彼女を居間に連れて行って婚約指輪を差し出し、結婚を申し込みます。ミランダはもはや理屈は通らないと悟り、彼を誘惑してその隙に逃げようと計画。一旦は彼女を抱こうとしたものの、フレディはその計略を見抜き、再び彼女を監禁する事に。
コレクター (1965年)の結末
地下室に戻される時、彼女は最後の抵抗を試み、シャベルでフレディを殴打。ちょうど激しい雨の降る中、フラフラになりながらもフレディはミランダを捕まえ、再び地下室へ監禁。その上で、自分は怪我の手当のために病院へゆきます。3日後に帰宅すると、ミランダは高熱を出していました。フレディは慌てて薬を買ってくるものの、そのまま彼女は死んでしまいます。しばらくは悲嘆に暮れるフレディですが、やがて新しいターゲットを見つけ出します。それは怪我を手当してくれた看護婦でした。
主人公のテレンス・スタンプ扮するフレディは収集家。
蝶を収集していた彼は、次に人間を収集しようとする。
生きた人間を、それも美しい女を。でも奴隷のようではいけないのです。
奴隷では人形にすぎません。彼は人間の心、愛を収集しようとしたのです。
フレディは蝶の美しさには魅せられますが、ピカソの絵の美しさは理解できません。
彼がさらってきた画学生のミランダに、蝶のコレクションを得意げに見せた時、彼女は「確かに美しいわ。しかし、みんな死んでいる」と言います。この言葉は二人の間の大きな断層をも語っているのです。
彼は地下室の暗い壁の中に、愛する女を閉じ込めました。
そして蝶をピンで留めるように彼女の心もピンで留めようとします。
しかし、体をピンで留めることはできても、心までピンで留めることはできません。
結局、ミランダの愛を収集することに失敗したフレディ。
彼の愛のコレクションの情熱が、次の目標に向かっていることを映して、静かに映画は終るのです。