アンダーカバーの紹介:2016年アメリカ映画。大規模なテロ計画の情報を掴んだFBIは、捜査官ネイトを潜入捜査に送り込む。ネオナチ、KKK、アーリア人同盟など、白人至上の差別主義者達に囲まれ、次第に憔悴していくネイト。テロ計画の首謀者はいったい誰なのか、ラストまで緊張感が途切れないヘイト・クライム映画。スキンヘッドにこけた頬、鋭い目つきで乱暴な言葉を吐き散らす、そんな危ないネオナチ青年を演じるのは、「ハリー・ポッター」のダニエル・ラドクリフ。
監督:ダニエル・ラグシス 出演者:ダニエル・ラドクリフ(ネイト・フォスター)、トニ・コレット(アンジェラ・ザンパロ)、サム・トランメル(ジェリー・コーンウェイ)、トレイシー・レッツ(ダラス・ウルフ)、デヴィッド・ドルイド(ジョニー)、パウエル・スジャイダ(ヴィンス・サージェント)ほか
映画「アンダーカバー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アンダーカバー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アンダーカバーの予告編 動画
映画「アンダーカバー」解説
この解説記事には映画「アンダーカバー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アンダーカバーのネタバレあらすじ:起
FBI捜査官として、優秀な評価を得ているネイト。その仕事ぶりを見た国内テロ課の上司アンジェラは、彼にある潜入捜査を命じます。彼女は、近いうちにここワシントンDCで大きなテロ行為が行われると踏んでいました。その根拠は、白人至上主義者のダラス・ウルフという男のラジオ番組。ネオナチやKKKなどの差別団体から支持され、カリスマ的存在のウルフは、自身の番組で「大きな計画がある」と宣言していたのです。ネイトの任務とは、ネオナチの仲間に入り込み、ウルフの情報を手に入れること。自分には荷が重すぎると躊躇するネイトに、アンジェラは「絶対にできる」と断言します。ネイトは、ウルフについて学び、頭をスキンヘッドにし、元海兵隊の軍人という偽の経歴を作り上げます。すっかり別人の外見となったネイト。アンジェラに紹介された情報提供者に導かれ、ウルフと通じているギャングのボス、ヴィンスの待つパブへと向かうのでした。
アンダーカバーのネタバレあらすじ:承
ヴィンスの信用を得るため、ネイトは「医薬品会社を経営していて、どんな薬品でも手に入る」と嘘をつきます。ヴィンスはネイトを気に入りますが、なかなかウルフに紹介しようとはしません。焦るネイトに、アンジェラは「人間として、彼らに共感しなさい」と指示します。数日後、ネイトは、ヴィンスの友人ジェリーの家に連れて行かれます。ジェリーは既婚者で、知的で穏やかな人物。庭には子供のために作ったツリーハウスもあり、日曜大工が趣味の良き父親です。ネイトは、ジェリーが他の仲間と全く違うタイプであることに驚きます。それでもやはり、彼も徹底した白人至上主義者なのです。ジェリーの家からの帰り道、白人女性と黒人男性のカップルを見かけて襲いかかろうとする仲間を、咄嗟に止めてしまうネイト。彼らはネイトの行動に疑問を持ちます。その後ネイトに、ダラス・ウルフの決起集会参加のチャンスが訪れます。集会後、ネイトはウルフに近づき、「あなたの全米進出に出資する人物を紹介する」と言います。喜んだウルフは、「電話をくれ」と連絡先を教えます。
アンダーカバーのネタバレあらすじ:転
ネイトは、ジェリーの家で知り合ったアンドリューと共に、ウルフを先頭にしたデモ行進に参加します。そこに反ファシスト派と警官が乱入し、周囲は大混乱に。ネイトは負傷したアンドリューを連れ、ジェリーの家に避難。ジェリーはネイトに、ブラームスを聴かせます。彼はネイト同様、クラシック音楽に造詣が深かったのです。2人はすっかり意気投合しますが、ジェリーの「黒人は動物以下だ。文明を作ったのは白人だ」という言葉を聞き、ネイトは落胆します。数日後、ネイトはアンドリューの家に呼ばれます。彼はオハイオに本部を持つアーリア人同盟の代表者で、ワシントン支部設立を画策していました。「革命的な行動を起こす」と息巻くアンドリュー。それが何かを探るため、ネイトはウルフの家に向かいます。しかしウルフは、資金要求の話しかしません。一方、ヴィンスは、仲間の中に潜入者がいると感じていました。疑惑の目を向けられたネイトは、FBIが用意した多額の資金をウルフに渡し、代わりにテロの情報を要求します。ところが、ウルフは資金を拒否したどころか、FBIに助けを求めます。ネイトが何者か知らないウルフですが、対応したアンジェラに「いかれた奴に脅されている」と話したのです。ウルフにテロ計画などありませんでした。彼は白人至上主義ですらなく、単なる金儲けでやっているエンターテイナーだったのです。
アンダーカバーの結末
FBIの上層部は、見当違いの捜査をしたアンジェラを責め立てます。ネイトも、自分は利用されたと怒りがおさまりません。捜査は打ち切られ、ネイトはジェリーを訪ねて「西海岸に行くことになった」と別れを告げます。ネイトの落ち込みを見たジェリーは、「何年も考えていた計画がある」と言い、彼をツリーハウスに導きます。テロを計画していたのは、ジェリーとその仲間だったのです。彼らは、爆弾製造のための硝酸アンモニウムを必要としていました。ネイトは、威力の大きい過酸化アセトンを調達すると申し出て、アンジェラと共に偽のアセトン缶を用意します。しかし、ネイトの家を見張っていたジェリーは彼を怪しみ、テロの決行日を早めると言い出します。予定が狂ったネイトは、ジェリー宅のトイレからアンジェラに電話しますが、FBIはすでに突入準備を始めていました。ここで爆弾が爆発すると、ジェリーの妻子にまで危険が及びます。考えたネイトはジェリー達の注意をそらし、時間をかせごうとします。それに気づいたジェリーが跳びかかり、殴り合っているところへアンジェラのチームが突入します。取り押さえられ、連行されるジェリーがネイトを見つめていました。事件の解決後、ネイトとデモに参加していた元ネオナチの青年ジョニーが、ある学校で子供達を前にスピーチしていました。「僕は、何もかも黒人のせいにし、学校や警察のせいにしていたんだ」。そんなジョニーを温かく見守る、ネイトの姿がありました。
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