スーパーの女の紹介:1996年日本映画。安土敏の「小説スーパーマーケット」を伊丹十三監督が映画化した作品です。スーパーが大好きな主婦が、幼馴染が経営する潰れかけのスーパーを救うべくライバルのスーパーに真っ向勝負を挑んでいく人情喜劇です。
監督:伊丹十三 出演者:宮本信子(井上花子)、津川雅彦(小林五郎)、三宅裕司(キヨちゃん)、小堺一機(販促部員)、伊東四朗(「安売り大魔王」社長)ほか
映画「スーパーの女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スーパーの女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「スーパーの女」解説
この解説記事には映画「スーパーの女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スーパーの女のネタバレあらすじ:起
スーパーが大好きで業界の内情にも詳しい主婦・井上花子(宮本信子)は、価格破壊の激安を売りにしているスーパー「安売り大魔王」で、小学校時代の幼馴染だった小林五郎(津川雅彦)と偶然に再会します。「安売り大魔王」に客を根こそぎ奪われ経営が傾いたスーパー「正直屋」の専務をしている五郎は、密かに偵察に赴いていたのです。花子は早速「安売り大魔王」が30円の品を50円で売ったり、照明を使って鮮度を良く見せようとしているなど安売りのトリックを次々と見破り、五郎を感心させます。花子の才能に目をつけた五郎は早速彼女に「正直屋」を見てもらいますが、ダメ出しのオンパレード状態でとても売れるような店ではありませんでした。日本一のスーパーにしたいという夢を持つ五郎は、店の立て直しをすべく花子をレジ係としてスカウトします。
スーパーの女のネタバレあらすじ:承
「安売り大魔王」の社長(伊東四朗)が「正直屋」の買収を目論んでいると知った花子はレジ係主任として早速店の再建に取り組みますが、店は精肉部(六平直政、柳沢慎吾、金萬福など)・鮮魚部(高橋長英、伊集院光、絵沢萠子、原日出子など)・青果部(三宅裕司、津久井啓太など)・惣菜部(あき竹城など)などの部門同士の意思疎通がうまく図れず、またプライドの高さから花子の言うことを信用していませんでした。花子は、日本一になるには規模ではなく、いかにお客様の目線に立った店作りをするかと訴えます。不評だったおにぎりの味を改善して一般客を集めた試食会を開催したり、総菜ひとつにも鮮度を重視したり、今まで常態化していた売れ残りの肉や魚のリパックを廃止するなどの改革を次々と実行していきました。
スーパーの女のネタバレあらすじ:転
花子の改革が少しずつ身を結び始め、「正直屋」にも少しずつ客が戻ってきました。実績を評価されて副店長に昇進した花子は更なる改革を進めていきます。産地偽装などの不正を止め、お客様が安心して買える品物を充実させていきます。始めは反発していた従業員も次第に心を開いて一致団結し、問題を一つ一つ解決していきます。しかし、かねてから「正直屋」の買収を狙っていた「安売り大魔王」は従業員の引き抜きを画策、店長(矢野宣)や精肉部のチーフ(六平直政)など数人を引き抜いていきました。しかし大半は花子の考えに共感して店に残る決意を固めていました。
スーパーの女の結末
以前から業者と結託して私腹を肥やしていた精肉部のチーフは、店長と組んで「正直屋」の冷蔵庫から高級ブランド肉を盗み出していました。それを知った花子は阻止しようとしましたが、肉を積んだ冷凍車の荷台に閉じ込められてしまい、車はそのまま走り去りました。五郎は偶然通りがかったデコトラの運転手(佐藤蛾次郎)の助けを借りて冷凍車を追跡、やがて警察をも巻き込んだカーチェイスとなり、花子は無事救出され、店長と精肉部チーフは逮捕されました。その後、花子は偶然知り合った漁師の好意で、元旦の初荷を全部仕入れる契約を組み、年が明けた正月商戦ではガラガラの「安売り大魔王」に対して「正直屋」は大入りの大盛況となり、見事に勝利をおさめました。
伊丹監督の「笑い」のセンスは時代を問わず万人受けするものだと思います。間口が広くてわかりやすいから、いつ誰が見ても面白い。この作品の中にも、思わず大笑いさせられてしまうシーンがいくつもあります。発表当時の時代を感じる描写もあります(出演者たちが皆若い!)が、総じて作品として「まったく色褪せていないな」と感じさせられます。キャラクターがいきいきと描かれているのも特徴的です。チャキチャキとした男勝りな言動で映画をグイグイひっぱっていく井上花子役の宮本信子の演技も素晴らしく、啖呵を切ったり小躍りしたり、かわいらしくて面白い。彼女を真ん中に据えて映画を撮りたいという伊丹十三の気持ちがグッと伝わってくるような作品です。まだ見ていない人にはぜひおすすめしたい作品です。