メトロポリスの紹介:2001年日本映画。同名の手塚治虫の漫画をアニメ映画化している。ロボットと人間の境界線を描くSFアクション。心優しい少年、ケンイチと人造人間の少女、ティマの切なく哀しい恋物語でもある。
監督:りんたろう 原作:手塚治虫 声優:井元由香(ティマ)、小林桂(ケンイチ)、岡田浩暉(ロック)、富田耕生(ヒゲオヤジ)、若本規夫(ペロ)、滝口順平(ロートン博士)、石田太郎(レッド公)
映画「メトロポリス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「メトロポリス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
メトロポリスの予告編 動画
映画「メトロポリス」解説
この解説記事には映画「メトロポリス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
メトロポリスのネタバレあらすじ:起
ケンイチと私立探偵をしている伯父の伴俊作(愛称、ヒゲオヤジ)と共に、人とロボットが共存する大都市・メトロポリスへやってきました。生体を用いた人造人間を造った疑惑で指名手配中の科学者、ロートン博士を逮捕するためです。
高層ビル「ジグラッド」の完成記記念パーティが行われている真っ最中で、ジグラッドを建設したメトロポリスの有力者であるレッド公の演説が始まりました。
ところが、ロボットがパーティーを妨害して騒動に発展します。ロボットを何の躊躇いもなく次々と破壊してゆく青年、ロック。彼はレッド公が養護施設から引き取った養子でした。
メトロポリスは表向き「ロボットと人間が共存する」社会ですが、ロボットたちは「道具」として人間から労働に利用されているだけでした。メトロポリスで働く労働者たちもロボットに仕事を奪われた挙句、地下にあるゾーン1というエリアに押し込まれて暮らしています。
彼らはロボットに対して怒りを募らせていました。ロボットに人間と同じ権利を認めるよう訴える団体が現れます。レッド公達は表向きは協力的にみせて、実は敵対している関係でした。
メトロポリスのネタバレあらすじ:承
そんななか、ヒゲオヤジとケンイチ、2人の警護兼刑事ロボット、ペロと共に労働者達が暮らす地下ゾーン1に潜入します。ロートン博士が人造人間を造って潜伏している可能性があるからです。
そこで彼の研究所に辿り着くと、火事が起きていて、研究所内に突入したケンイチは炎の中で生き残っている少女を助けます。その子は、大統領に成り代わって都市の実権を握るレッド公の亡き娘を模した人造人間の少女、ティマでした。
ケンイチはティマが同じ人間の女の子だと思い込んで、彼女を火の中から連れ出して助けます。しかし、ティマはレッド公の養子で、ロックに命を狙われていました。ロックはティマを疎ましく思っていて、2人に銃を向けながら付け狙います。
途中でかばってくれたお掃除ロボットのフィフィも彼の弾幕に撃たれて破壊してしまいました。ロックはロボットすべてを憎み、偏見の目を持つ政治結社、マルドゥク党の実力者でした。そして、ティマを造ったロートン博士を脅迫して、開発途中のティマを完成させることを阻止しようと迫ります。彼はロートン博士に発砲して事故に見せかけて火事を起こし、その場を立ち去ったのでした。
ロックをまいて逃げたケンイチとティマは、人間の労働する場所を奪ったロボットと敵対する反ロボットのデモ集団の一人、アトラスの元に匿ってもらいます。ティマと小さな部屋の中で温かな交流をするケンイチ。ティマに字の書き方や言葉を教え、彼は可愛くて素直なティマに、友達ではあるけれど恋心を抱きます。
闘いの日に、アトラスは敵軍に撃たれてしまいます。さらにはロボットと人間の戦いの場で仲裁に入ったペロがアトラスに撃たれ、破壊されてしまいました。雪道の中でケンイチはティマを連れてヒゲオヤジと再会しますが、ロックに追い詰められます。
そこへ駆けつけたレッド公がティマを見て驚愕します。彼女はレッド公の亡くなった娘の「ティマ」に生き写しのように似ているのです。レッド公はロックに、ティマやロートン博士は火事に巻き込まれて死んだと嘘をついていた為にレッド公に問い詰められ、殴られてしまいます。
レッド公はケンイチを仲間に引き渡し、ロックに撃たれて負傷したヒゲオヤジを残してティマを連れて車に乗り込みます。
メトロポリスのネタバレあらすじ:転
レッド公はティマを豪華な寝室に監禁し、世界征服に向けての業務を進めていきます。部屋に閉じ込められながらティマは部屋中に落書きでケンイチの名前を殴り書きします。レッド公に仕えるお手伝いさんのエンミィに呼ばれ、ティマはケンイチからの手紙を受け取ってエンミィに廊下へ連れ出されます。そこで待っていたのはロックでした。
ロックはティマに、ケンイチが書いたと見せた嘘の手紙をエンミィに渡して、彼女をおびき寄せたのです。ティマは傷付き、ケンイチの元へ帰してほしいとロックに頼みます。ロックはティマに「お前はロボットだ」と告げますが、ティマは自分の素性を知らず、自分はケンイチと同じ人間だと言い張ります。
そんなティマに「お前の親は誰?」「どこに住んでいる」と彼女にとって酷な質問をぶつけます。ティマは彼に「親はケンイチ」と言って彼に馬鹿にされた挙句、逃げようとした時に不意をつかれて首元に機械を差し込まれ、機能停止させられて彼の部屋に運ばれます。
ロックはティマの生態を確かめようと、停止して気絶したティマを寝台に乗せて機械を差し込もうとします。そこへ危機一髪のところでヒゲオヤジが到着し、ティマを救出して旅館に逃げ込みます。
ヒゲオヤジは火事の現場で、瀕死の状態のロートン博士を見つけ、彼に手帳を取ってほしいと頼まれ、その手帳でティマが人造人間である事や、レッド公の亡き娘「ティマ」の写真を知っていたのです。また、その手帳にはティマの操作方法や彼女の能力に関して記載されていました。
手帳に沿ってティマを起動させ、彼女に電子機械に手を置いてもらって、ケンイチが捕まっている居所を調べさせました。ティマは自分が人間かロボットか分からず、ヒゲオヤジに「今私、何をしたの?私はケンイチと同じ人間のはず。それともロボットなんですか?」と詰め寄ります。
ヒゲオヤジは、純粋無垢な少女そのままのティマに酷な真実を告げる事は気の毒だと思い、ケンイチと同じ人間だと、気をつかって答えました。
メトロポリスの結末
ティマとヒゲオヤジは脱出しますが、居所をロックの手下に知られてしまい、再び捕まってしまいます。連れて来られた場所にはレッド公がいて、彼はティマを世界征服に利用する為に「超人の椅子」と呼ばれる特別な機器の椅子に座らせようとします。
ケンイチがレッド公の手下により、睡眠薬か何かで気絶した状態で連れて来られます。駆け寄るティマとヒゲオヤジ。そこへエンミィに成り済ましたロックが「あの超人の椅子に座るべきなのはお父さんです。こんなロボットに権力を任せるなんて」と言い、ティマを撃ちます。
胸を撃たれたティマは、白い肌からのぞく胸から溢れる毒々しい赤黒い自分の臓器部分を見て、自身がロボットだという真実に大きなショックを受けます。
涙を流しながらレッド公を見たティマ。レッド公は慌てて「お前はロボットじゃない、そこいらのロボットとは違う超人なんだ」と弁解しますが、ティマは心身喪失し、こう言います。「私は人造人間、世界を破滅させる為に造られた・・・機械」。
やっと目が覚めたケンイチは、ティマが機能作動し、超人の椅子に自ら座ったのを目の当たりにして彼女を呼び止めますが、ティマはもう、我を失い、椅子に腰かけて暴走し始めていました。
建物が次第にティマの大きな力で崩壊していき、ケンイチはティマを椅子から引き離そうと試みますが、ケンイチとのやさしい記憶すら失ったティマは、ケンイチを何度も張り倒します。
どんなに投げ飛ばされてもティマを救出しようとするケンイチですが、ティマによって柱に追い詰められます。彼は何とか助かりましたが、ティマは落下寸前でした。
ケンイチはティマの背中についた何本ものコードを引っ張り、彼女を引き上げようとします。ティマは一瞬記憶が戻りますが、変わり果てた赤黒い手はケンイチの差し出す手を掴まず、炎の中へと落ちていきました。ケンイチは奇跡的に助かりました。
翌日、ケンイチは事故があった現場を掃除するロボット達の中からフィフィと再会します。フィフィの仲間のロボット達は遺品として見つかったティマの靴や、身に付けていた服をケンイチに差し出しました。
ケンイチはティマが死んでしまったことに涙しますが、ティマの存在を覚えてくれていたロボット達に感謝し、目に涙を浮かべつつも立ち直ることを決意します。
伯父のヒゲオヤジと再会しますが、彼は「僕、もう少しこの街に残ります」と言い、ヒゲオヤジは彼をメトロポリスに残して飛行機で帰っていきました。
ケンイチはメトロポリスに残り、まだ自分はここでやるべきことがあるのではないかと感じたのです。
以上、映画「メトロポリス」のあらすじと結末でした。
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