イカとクジラの紹介:2005年アメリカ映画。一流作家だった過去を持つ、不器用で口の悪い父親。売れっ子作家で、性生活が自由すぎる母親。そんなとんでもない両親にふりまわされる、思春期の青年の苦悩と成長。会話の中に文学やロックや映画のネタを織り込み、オフ・ビートに仕上げたユニークなヒューマン・ドラマ。監督のバームバックマン自身が高校時代に体験した、両親の離婚を描いた作品といわれている。「ソーシャル・ネットワーク」(2010)のジェシー・アイゼンバーグが、初々しい高校生を演じている。
監督:ノア・バームバックマン 出演:ジェフ・ダニエルズ(バーナード・バークマン)、ローラ・リニー(ジョーン・バークマン)、ジェシー・アイゼンバーグ(ウォルト・バークマン)、オーウェン・クライン(フランク・バークマン)、ウィリアム・ボールドウィン(アイヴァン)、アンナ・パキン(リリー)、ヘイリー・ファイファー(ソフィー)ほか
映画「イカとクジラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「イカとクジラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「イカとクジラ」解説
この解説記事には映画「イカとクジラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
イカとクジラのネタバレあらすじ:起
1986年。NYのブルックリンに住む、16才のウォルトと12才のフランク兄弟。彼らの両親バーナードとジョーンは、ともに作家というインテリ人種です。しかし、バーナードはもう何年もスランプ状態。一方ジョーンはノリに乗ってる売れっ子で、そんな格差のせいか夫婦の間には口論が絶えません。さらに、バーナードはあらゆる人間を俗物扱いするわりに自分も汚い言葉をまき散らし、ジョーンの方は息子達を相手にあけすけなセックスの話も平気という、ウォルトとフランクにとっては非常に困った両親でもあったのです。ある日、両親は息子達を前についに離婚宣言。バーナードが新しい家を借り、兄弟は両親の家を行き来することになりました。それじゃ飼い猫はどうするんだという問題も浮上し、泣き出すフランク。離婚を反対するウォルトに、ジョーンは「これは夫婦の問題よ」とぴしゃり。あまりに身勝手な大人達の都合に、兄弟の心は深く傷つきます。
イカとクジラのネタバレあらすじ:承
バーナードによると、離婚の原因はジョーンの浮気でした。彼女は何度も夫を裏切っていたのです。その事実を知ったウォルトはショックを受け、母親をなじり平手打ちを受けます。それでも彼の毎日は、ギターの練習をすることや、親しい女性徒ソフィーと幸せな時間を過ごすことで、なんとか平静を保っていました。しかしウォルトの方は、尊敬するテニス・コーチのアイヴァンをバーナードに「俗物だ!」とけなされて落ち込み、さらにジョーンが話して聞かせるおおっぴらな過去の性生活に影響を受けてしまい、学校で自慰行為を始めます。ある日、バーナードは、20才の女学生リリーにアパートを追い出されそうと相談を受け、自分の家に同居させることにします。年上のリリーの奔放さに、どぎまぎしっぱなしのウォルト。ある晩、精神が不安定なフランクは、衝動的にジョーンの家に向かいます。ジョーンの寝室から出てきたのは、なんとアイヴァン。フランクは言葉を失くします。
イカとクジラのネタバレあらすじ:転
ジョーンの相手がアイヴァンだと知ったバーナードは、「どういう趣味だ。クズばかり」とあきれ顔。一方、ウォルトは、ギターの弾き語りで音楽コンテストに出場。見事優勝を手にします。応援に来ていたソフィーは、ウォルトがリリーに惹かれていることを知り悲しみます。そんな中、フランクは部屋で酒を飲み、倒れてしまいます。両親は学校に呼び出され、息子の行動を聞いて衝撃を受けますが、互いに責任をなすりつけ合って口論に。さらに彼らは、ウォルトのことでも学校に呼ばれます。自作だと提出した歌の歌詞が、ピンクフロイドのものだったのです。父親は、息子にセラピーを受けるよう促します。セラピストと会ったウォルトは、彼が博士号ではなく修士号だと聞いて白けます。それでも何か思い出を話してごらんと言われ、6才の頃、自然史博物館で見た、ダイオウイカとマッコウクジラの巨大展示の話を始めます。「怖いけど楽しかった」と回想するウォルト。聞き終わったセラピストは言います。「パパの話が登場しないね」。ウォルトははっとします。
イカとクジラの結末
ウォルトが帰宅すると、バーナードとリリーが抱き合っています。落ち込んだウォルトは街を歩き回ります。ソフィーを見かけますが、無視されます。母親の家に行ったウォルトは、我慢していた気持ちをぶつけます。「なぜパパと結婚した?なぜこんな結果に?」。そこへ現れたバーナードは「4人で過ごさないか」と復縁を言い出します。ジョーンは笑って相手にせず、口論の途中で部屋から猫が逃げ出し、追いかけたバーナードは倒れて救急車で運ばれます。入院中の父親の病室に、ウォルトが現れます。リリーが出て行ったよと笑うバーナード。俺が戻るまでうちにいろという父親に「いやだ」と言うウォルトですが、こらえきれなくなって泣き出します。そのまま病院を出ると走りだし、自然史博物館へ辿り着きます。展示室の中を進むと、目の前にあの大きなイカとクジラが格闘している展示物が現れました。ウォルトは、イカとクジラが絡み合う姿をただただ見つめ続けます。
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