僕の大事なコレクションの紹介:2005年アメリカ映画。ホラー映画「スクリーム」シリーズなどで知られる俳優リーヴ・シュレイバーが、初めてメガホンを取ったロード・ムービー。原作は、アメリカの作家ジョナサン・サフラン・フォアが2002年に発表した小説「Everything Is Illuminated」。ユダヤ系アメリカ人のジョナサンは、祖父のルーツを探るためにウクライナを訪れる。通訳を頼んだアメリカかぶれのアレックスとその祖父との出会いが、ジョナサンを不思議な旅へと導いていく。主演はイライジャ・ウッド。共演のユージン・ハッツはロックバンド「ゴーゴル・ボールデロ」のメンバーで、フジロックフェスティバルやサマーソニックで来日している。
監督:リーヴ・シュレイバー 出演者:イライジャ・ウッド(ジョナサン)、ユージン・ハッツ(アレックス)、ボリス・レスキン(アレックスの祖父)、ルーカス・クラ―ル(アレックスの祖父/青年期)、スザナ・ホドコヴァ―(アレックスの母)、ラリッサ・ローレット(リスタ)ほか
映画「僕の大事なコレクション」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「僕の大事なコレクション」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「僕の大事なコレクション」解説
この解説記事には映画「僕の大事なコレクション」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
僕の大事なコレクションのネタバレあらすじ:起
ユダヤ系アメリカ人の青年ジョナサンは、死の床にある祖母から1枚の古い写真と、ユダヤ民族の象徴〈ダビデの星〉のペンダントを手渡されます。それはジョナサンが幼い頃に亡くなった祖父サフランが、いつかジョナサンに渡してほしいと祖母に託していた物でした。写真にはサフランの若い頃の姿と、見知らぬ女性が映っています。写真の裏に書かれた女性の名は“アウグスチーネ”。ジョナサンは祖母に、アウグスチーネとは誰なのか尋ねます。しかし祖母が答えることはなく、その後息を引き取ります。写真を眺めていたジョナサンは、アウグスチーネの身につけているペンダントがサフランの遺品にあったペンダントトップだと気づきます。ジョナサンには奇妙な収集癖がありました。身近な人々の死後、彼らの身の周りの物を1つ1つジップロックに入れ、壁一面にピンでとめるのです。サフランの人生に興味を持ったジョナサンは、サフランがアウグスチーネと写真を撮った場所を探すべく、ウクライナへと旅立ちます。
僕の大事なコレクションのネタバレあらすじ:承
ウクライナに到着したジョナサン。行き先は、サフランがアウグスチーネと写真を撮ったとされる場所、トラキムブロドです。ジョナサンの前に車で現れた観光ガイドは、アレックスという青年とその祖父、そして祖父の愛犬〈サミー・デイヴィス・ジュニア・ジュニア〉です。つたない英語を話すアレックスは、マイケル・ジャクソンとヒップホップ・ミュージックをこよなく愛するアメリカかぶれの青年。そしてアレックスの祖父は、「目が見えない」と言い張るわりには車の運転をこなす変わり者の老人です。犬が苦手なジョナサンは、凶暴なサミーにビビりながら車に乗り込み、3人と1匹の旅が始まりました。田舎道をえんえん走り、夜はホテルに宿泊。戦前のウクライナは反ユダヤだったらしいとジョナサンから聞いたアレックスは驚き、祖父にそれは本当かと聞きます。しかし祖父は何も答えず、ジョナサンが見せたサフランの写真をじっと見つめています。翌朝、再び車は出発。廃墟や移動遊園地を通り、地元民から聞いた村への道を進みます。またもや道に迷いますが、声をかけた井戸掘り職人達にバカにされたことで、3人の雰囲気は一気に険悪に。車を降りた祖父は、1人で原っぱを歩いていきます。そこには戦争時代を思わせる、古い武器が散乱していました。祖父の脳裏に、ユダヤ人に銃を向けるナチスの軍服姿が浮かびます。
僕の大事なコレクションのネタバレあらすじ:転
ガス欠になり、野宿をする3人。アレックスは、祖父の様子がおかしいと感じます。翌朝、祖父がガソリンを調達し再び出発。ひまわり畑の中にある一軒家を見つけ、アレックスが近づきます。住人の老婦人に、サフランとアウグスチーネの写真を見せて「この人達を知りませんか」と尋ねるアレックス。老婦人は言います。「ずっと待っていたわ」。彼女が住むこの場所こそトラキムブロドでした。老婦人に招かれ、家に入った3人は驚きます。部屋にはラベル分けしたいくつもの箱が積み重なっています。それはジョナサンが自室の壁に貼っている、いくつもの袋と同じ光景です。老婦人はサフランを知っていました。彼女はアウグスチーネの姉だったのです。その昔、サフランはアウグスチーネと結婚していました。老婦人は、1枚の写真を取り出して言います。「この人はバルク」。それはアレックスの祖父でした。祖父はアレックスとジョナサンに「彼女と2人きりにしてくれ」と言います。その後3人と一匹は、リスタと名乗るアウグスチーネの姉の案内でトラキムブロドへと向かいます。ようやく辿りついた時はもう夜。川が静かに流れ、何もない平原に石碑が埋め込まれています。それは1942年、トラキムブロドの住民ほとんどがナチスに殺害された場所だという証。リスタは数少ない生存者の1人でした。
僕の大事なコレクションの結末
リスタは、ナチスが村人を並ばせ銃殺した詳細を語ります。妊娠中だったアウグスチーネも殺されました。アレックスの祖父も思い出します。祖父もまた、そこで銃弾を受けた1人でした。しかし彼は奇跡的に生き残り、同じく生き残ったリスタと顔を合わせていたのです。全てを思い出した祖父に、ジョナサンがトラキムブロドの川の砂を入れた袋を渡します。リスタの話では、サフランはナチスが来る一週間前にアメリカへ戻っていました。ジョナサンがサフランの遺品のペンダントトップをリスタに渡すと、リスタはアウグスチーナが隠し持っていた結婚指輪の入った箱をジョナサンに渡します。リスタは、「この指輪があなたをここへ引き寄せたのよ」とジョナサンに告げます。3人と1匹は、リスタの家をあとにします。帰りのホテルの浴室で、アレックスの祖父は自ら命を絶ちます。その表情はなぜか安らかです。アレックスが車を運転し、アメリカへ帰るジョナサンを駅まで送ります。ジョナサンはアレックスに、サフランのダビデの星のペンダントを手渡し、2人は別れます。その後、アレックスは今回の旅を回想文にします。タイトルは「Everything Is Illuminated(すべては解明された)」。アメリカに帰国したジョナサンは、トラキムブロドの砂をサフランの墓に撒いて微笑みます。一方アレックスも、トラキムブロドの墓石の傍らに建てた祖父の墓を訪れ、その上に砂を撒くのでした。
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