ジョバンニの島の紹介:2014年日本映画。日本音楽事業者協会の創立50周年を記念して作成されたアニメーション映画。純平と寛太の兄弟は、戦後の色丹島で、ソ連軍やその家族と共存します。その後、樺太を経て日本へ送還されることになりますが、父と離ればなれになり、寛太も病気にかかってしまい・・・。色丹島出身の得能宏氏の実話を元に作成された物語です。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が、タイトルや登場人物の名前をはじめ、要所要所で引用されています。
監督:西久保瑞穂 声優:横山幸汰(瀬能純平)、谷合純矢(瀬能寛太)、市村正親(瀬能辰夫)、仲間由紀恵(佐和子)、柳原可奈子(みっちゃん)、ユースケ・サンタマリア(英夫)、北島三郎(瀬能源三)、ポリーナ・イリュシェンコ(ターニャ)、ほか
映画「ジョバンニの島」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジョバンニの島」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ジョバンニの島の予告編 動画
映画「ジョバンニの島」解説
この解説記事には映画「ジョバンニの島」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジョバンニの島のネタバレあらすじ:起
かつて住んでいた色丹島へ、50年ぶりに船で渡っていく純平と佐和子。回想シーンが始まります。1945年7月。戦時下でありながら、色丹島には穏やかな日常がありました。島の防衛隊長を務める父、漁師の祖父と暮らす、寛太と純平。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の物語が大好きで、汽車のおもちゃを銀河鉄道に見立てて遊んでいます。終戦を迎え、アメリカの占領軍がやって来ると予測していた島の人々。しかし現れたのはソ連軍でした。佐和子が教師を務める、国民学校の教室の中にも、なだれ込むソ連の兵隊たち。授業をやめようとしない佐和子に凄みますが、将校がその場を収めて去っていきます。島にいた日本軍は武装を解除させられてシベリア送り。民家も荒らされ、金品を奪われる事態も起きます。ちょうどその頃、叔父の英夫が戦地から帰ってきます。漁に出るのも止められては生活ができません。「本土に逃げるべき」と主張する英夫。反対する祖父と父。実際に脱出を試み、失敗した家もありました。ソ連軍の家族らが、色丹島に住み始めます。ある日、純平の家の玄関に、青い目の少女が立っていました。手には「銀河鉄道の夜」を持っています。瀬能家の母屋に移り住んだ、ソ連軍将校の娘、ターニャでした。瀬能家の人々は馬小屋へ追いやられます。英夫は島に残された調度品などを本土で売りさばいて、米に替えてくるといいます。英夫に頼まれ、ソ連の監視艇がいないことを、焚火を燃やして知らせる純平。英夫は何度も本土と島を行き来して、生活必需品を手に入れてくれます。純平たちには電車のおもちゃやあめ玉も。
ジョバンニの島のネタバレあらすじ:承
学校では、隣の教室から、ロシア語の歌が聞こえてきます。校舎の半分はソ連の子ども達が使って勉強しているのです。こちらも負けじと、日本の歌を歌います。しばらく共に生活しているうちに、お互いの国の歌を歌えるようになった子ども達。心を通わせるようになります。ターニャの家に招かれた純平と寛太。もとは瀬能家の母屋だったところは、すっかり様変わりし、テーブルとイス、ベッドなどが置かれています。以前学校に乗り込んできた、ソ連軍将校のターニャの父も帰宅し、晩ご飯をご馳走になる2人。ダンスを踊って楽しいひとときを過ごしました。月日が経つにつれ、ターニャの家族とも打ち解け、ロシア語も少しずつ理解できるようになった純平たち。純平とターニャは野いちごを摘みに出かけて、予想外の場面に出くわします。日本軍が残していったお金や米を、純平の父辰夫や佐和子がこっそり洞窟に隠し、島民に配給しているのです。佐和子は辰夫に好意を持っているようでした。このことは内緒にと約束する2人。焚火の前で、ターニャの絵を描く純平。ターニャに恋をしています。配給のことを英夫に話すと、英夫は辰夫に抗議。辰夫に内緒で洞窟から物資を持ち出そうとした英夫は、ソ連軍に捕まってしまいます。父も捕らえられ、ソ連軍の船へと連行されていきます。ターニャが密告したのではと勘ぐり、描いた絵を破り捨てる純平。しばらくして、島の日本人は全員本土へ送られることになりました。祖父は島に残る道を選びます。島を出て行く船には、佐和子、純平、寛太、そして戻ってきた英夫の姿も。ターニャが密告したのではないと知った純平は、岬にたたずむターニャに夢中で手を振るのでした。
ジョバンニの島のネタバレあらすじ:転
船が着いたのは樺太の西、マオカ。ここから順番に日本への帰還船に乗せられていくようです。収容所は丘の上の小学校。成人男性は、毎日重労働をさせられ、怪我人や病人が出始めました。寒さと飢えに悩まされ、寛太も具合が悪そうに咳をしています。英夫が「山の向こうの収容所に辰夫がいる」という情報を仕入れてきました。父に会いに行こうと言い出した寛太。兄弟は、英夫に置き手紙をして、蒸気機関車の最後尾に取り付き、父の収容所を目指します。車で追いかけてくる英夫と佐和子。純平達が、汽車の終点から山道へ分け入ったところで追いつきます。思案の末、4人で父の元に向かうことになりました。トーチカで休む純平らにソ連兵が迫ります。囮になって、独り外へ飛び出していく英夫。銃声が聞こえます。佐和子と兄弟は吹雪の中を歩いていきますが、力尽きて倒れ、中国人の家で介抱されます。その家の女性は父のいる収容所で働いていたので、父に取り次いでもらうことができました。次の日の夜、父と落ち合う約束をします。その日はちょうどソ連の正月。兵士らは酒を飲み、羽目を外しています。監視棟の兵士もいったん持ち場を離れ、宴に参加しました。鉄条網に挟まれた向こう側に、父辰夫の姿。鉄条網ごしに、純平、寛太と手をつなぎます。これが、父との今生の別れになりました。歩き出す3人。ところが、寛太が吐血し、ソ連軍にも見つかってしまいます。日本への帰還船に乗せてもらえることになりましたが、途中のトラックの中で寛太は死んでしまいます。帰還船にのる人々の列。英夫が足を撃たれながらも無事に合流。死んだ者は船に乗ることができません。純平は「銀河鉄道の夜」の一節を暗唱しながら、背中におぶった寛太と話しているフリをします。純平の目線の先には、日の丸の旗。その空の彼方へ、寛太を乗せた銀河鉄道は走り去っていきました。
ジョバンニの島の結末
50年ぶりに色丹島へ帰った佐和子と純平。瀬能家の墓参りをします。寛太と辰夫は、生きて島へ帰ることはできませんでした。50年越しの卒業式には、純平ら5人の生徒が出席。食事会の場に、ターニャにそっくりな少女が現れます。ターニャの孫娘でした。ターニャは純平との再会を望みつつ、昨年亡くなったといいます。
孫娘に、「銀河鉄道の夜」の本を手渡す純平。「死んだ人は星になり、その光に照らされて、みな生きている」と語ります。ロシアの音楽に合わせて、踊り出す人々。孫娘と踊る純平は、いつしか少年の姿に変わり、傍にはターニャや寛太の姿もあるのでした。
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