口紅殺人事件の紹介:1956年アメリカ映画。フリッツ・ラング監督のお気に入りの自作の一つ。街が眠りについている夜に若い女を狙う連続殺人鬼がニューヨークに現れる。カイン社の幹部たちは社内の実権をかけて殺人鬼の特ダネを追う。巧みなシナリオとスケジュール管理で大量のスターを動員。
監督:フリッツ・ラング 出演者:ダナ・アンドリュース(エドワード・モブリー)、ロンダ・フレミング(ドロシー・カイン)、ジョージ・サンダース(マーク・ラヴィング)、トマス・ミッチェル(ジョン・ディ・グリフィス)、ヴィンセント・プライス(ウォルター・カイン・ジュニア)、サリー・フォレスト(ナンシー・リゲット)、ジョン・バリモア・ジュニア(ロバート・マナーズ「リップスティック・キラー」)、アイダ・ルピノ(ミルドレッド・ドナー)その他
映画「口紅殺人事件」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「口紅殺人事件」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「口紅殺人事件」解説
この解説記事には映画「口紅殺人事件」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
口紅殺人事件のネタバレあらすじ:起・口紅殺人事件とカインの死
ニューヨーク。夜、ドラッグストアから商品の配達に来た若い男が、配達先の一人暮らしの若いブロンドの女性、ジュディス・フェルトンを浴室で殺害する。壁には「母に尋ねよ」という口紅で書かれたメッセージが残されていた。
事件をカイン社の高層ビルの中のオフィスに置かれたベッドの上で知った巨大メディア企業の病身の総帥エイモス・カインは犯人をリップスティック・キラーと名付け、同じ社屋にオフィスを構える傘下の三つの組織の責任者を呼びこの事件を大きく取り上げるように指示する。ニューヨーク・センティネル紙編集主幹ジョン・ディ・グリフィス、カイン通信社を経営するマーク・ラヴィング、そしてカイン写真社のハリー・クライツァーである。だが直後に、やはり社屋内にスタジオのあるテレビ局のニュース番組のニュースキャスターでピューリッツァー賞受賞歴のある記者、エドワード・モブリーと話してからカインは急死する。彼はエドワードを自分の後継者として期待していたが、エドワードにはその野心はなかった。エドワードは直ちにカインの死を自分の番組のトップニュースにする。
口紅殺人事件のネタバレあらすじ:承・特ダネと権力
カインの事業を息子のウォルターが引き継ぐ。しかし、父との不和により全く会社の実務に触れたことのなかった彼は、新設の役職である専務に彼の片腕として事業全体を監督させることにする。そしてその役職をめぐってグリフィス、ラヴィング、クライツァーの三人に競わせる。「口紅殺人事件」で特ダネをものにしたものが専務になるだろう。これにはウォルターを軽んじる幹部たちに自己の権力を見せつける狙いがあった。三人の中でクライツァーのみはウォルターの旧友だが、その実、ウォルターに隠して、彼の妻ドロシーの愛人になっていた。
ラヴィングの秘書を務めるナンシーはエドワード・モブリーの恋人だった。深夜、彼女のアパートにグリフィスから容疑者が捕まったらしいという電話がかかり、エドワードは警察に趣く。専務の地位をめぐる争いには中立を保つつもりだが、記者仲間であるグリフィスの頼みを断れなかった。
容疑者は犠牲者のアパートの管理人で、とても犯人だとは思えなかった。その夜、また独身の女性が殺される事件が起き、エドワードは旧友のカウフマン警部補について現場に行く。「口紅殺人事件」と同一犯に違いない。エドワードとカウフマンは犯人を若い、お母さん子だが母と女を憎む精神異常者と確信する。そしてエドワードは自分のニュース番組を利用して、犯人を挑発した。さらに彼とナンシーとの婚約の記事を新聞に出す。犯人は腹いせにナンシーを狙うことだろう。エドワードとカウフマンは同意を得てナンシーに囮になってもらい、刑事を彼女の護衛につける。
口紅殺人事件のネタバレあらすじ:転・ナンシーとミルドレッド
専務の地位を目指す争いで挽回したいラヴィングは、エドワードを味方にするために、自分の愛人である、コラムニストのミルドレッドにエドワードの誘惑を依頼する。
リップスティック・キラーは配達中にナンシーのアパートを発見する。そしてカイン社社屋地下のバーに現れ、ミルドレッドと酔っぱらったエドワードがいっしょに店を出るのを見る。翌朝、ミルドレッドはオフィス中にエドワードとの一夜の話を言いふらす。エドワードはナンシーにミルドレッドとは何もなかったと言い訳するが、ナンシーは怒ったまま帰ってしまう。彼女が家へ向かうのをリップスティック・キラーが見ていた。
口紅殺人事件の結末:事件解決と新体制
犯人の行動は大胆になっている。真昼間でもナンシーは危険だと気づいたエドワードとカウフマン警部補はナンシーのアパートに急ぐ。そのころ犯人はエドワードだと名を偽ってナンシーの部屋に入ろうとするが、まだエドワードに怒っているナンシーはドアを開けない。だが、たまたまナンシーの向かいの部屋がクライツァーとドロシー・カインの密会場所であった。犯人は狙いをドロシーに変える。ドロシーが騒いだために犯人は逃げるが、エドワードたちに追いかけられ、地下鉄からマンホールで地上に出るところをつかまる。
口紅殺人事件解決の特ダネはセンチネル紙の号外で伝えられる。グリフィスは専務の職をめぐる争いでリードしたかと思われたが、彼がミルドレッドを被害女性のインタビューに送ったため、クライツァーとドロシーの関係が知られるところとなった。ミルドレッドの入れ智恵でウォルターはクライツァーを専務に内定させて、妻を取り返すことにする。しかし、ウォルターはバーで彼の小心ぶりをエドワードが批判するのに耳を傾ける。
エドワードは辞職を届け出てナンシーと新婚旅行に出るが、旅行先の新聞にはグリフィスの専務就任とエドワードがグリフィスの後任として編集主幹となることが報じられていた。
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