ダージリン急行の紹介:2007年アメリカ映画。父の葬式以来顔を合わせていなかったホイットマン三兄弟。兄のフランシスは兄弟の絆を深めようとインドの聖地巡礼を行おうとするが。
監督:ウェス・アンダーソン 出演:オーウェン・ウィルソン(フランシス・ホイットマン)、エイドリアン・ブロディ(ピーター・ホイットマン)、ジェイソン・シュワルツマン(ジャック・ホイットマン)、アンジェリカ・ヒューストン(パトリシア・ホイットマン)、アマラ・カラン(リタ)、カミーラ・ラザフォード(アリス)、ウォレス・ウォロダースキー(ブレンダン)ほか
映画「ダージリン急行」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ダージリン急行」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ダージリン急行」解説
この解説記事には映画「ダージリン急行」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ダージリン急行のネタバレあらすじ:フランシスが言い出したインドの聖地巡礼
バイク事故を起こしたフランシスは、一年以上連絡を取っていなかった弟たちを呼び出し寝台列車、ダージリン急行でのインドの聖地巡礼の旅を計画。次男は臨月の妻を置いて、三男は別れた彼女を置いて参加した。フランシスはこの旅の協定を発表する。1、このたびを通して兄弟の絆を深める。2、未知の探求をする。3、心を開き、ショックを受けてもイエスと言う事。このほかにもフランシスは弟たちに内緒でヒマラヤの修道院にいる母に会うというサプライズを用意しているつもりでダージリン急行での旅の計画を立てているブレンダンに連絡を頼んでいた。フランシスの仕切りぶりが気に食わない次男ピーターと三男ジャック、ピーターは離婚仕掛けだった妻のアリスが妊娠中であること、ジャックは旅を途中で抜け出して元カノとイタリア旅行をするつもりだった。恋多きジャックは乗務員のリタと一夜だけの恋に落ちる。
ダージリン急行のネタバレあらすじ:兄弟喧嘩発生!
停車時間を利用して千牛寺を訪れた兄弟。最初は並んでお祈りをするが、ピーターが一人で離れた隙にジャックはアリスが妊娠中だとフランシスにばらしてしまう。バザールでピーターは毒蛇を、ジャックはペッパースプレーを買う。ばらされた事を知ったピーターはジャックがこのたびを途中で切り上げるつもりだという事をばらし、フランシスはイタリア航空のチケットを見つけて激怒。仲間割れしないという協定を追加しながらも、二人の弟のパスポートを自分の胸ポケットにしまってしまう。ジャックはリタに兄弟と部屋を分けて欲しいと願い出たものの、生憎満室だった。そうこうしているうちに父の最期の言葉と、ベルトを巡ってフランシスとピーターの喧嘩が勃発。殴り合いを始めた兄たちにジャックはペッパースプレーを噴射その場はおさまった。しかし次の朝、ピーターが購入した毒蛇が箱から逃げ出した事が判明。車掌が捕まえたので事なきをえたが、三兄弟は次の停車駅で降りる事と、客室から出ることを禁止されてしまう。
ダージリン急行のネタバレあらすじ:列車から追い出され気まま旅の始まり。
次の正射駅に着く前にダージリン急行は、切り替えを間違え迷子状態になってしまう。三兄弟は私達は行方不明と自嘲した。無事に動き出した列車だったが、三兄弟は次の駅で宣言どおり降ろされてしまう。ブレンダンは次の列車が24時間後だと伝えると、フランシスはなんで毛が無いんだ!(ブレンダンはスキンヘッド)と暴言を吐く。案の定怒ったブレンダンは、同行するのをやめ自分は列車の中に戻ってしまう。
その夜三人は野宿をしながら、母からの手紙を読んだ。それには息子である彼らに合いたくないと書いてあった。ピーターはフランシスに殴った事を謝った。暗闇にまぎれながら孔雀の羽根で儀式をした三人、フランシスが作法の本を渡していたにも関わらず二人は羽を飛ばしてしまい儀式は失敗。たくさんのトランクを引きながら道を行く三人は川で荷渡しをしている子供たちを見つける。彼らが伝っている縄は今にも切れそうで、兄弟が駆けつけると縄が切れてしまった。流れにのまれそうになる子供たちを助けようとする三人だったが、最後の一人はピーターと一緒に流されてしまい堰に激突しなくなってしまい、ピーターも血だらけだった。亡くなった子を抱いて村を訪れた兄弟は、言葉が通じないながらも迎えられ、フランシスは疲れを癒し、ジャックは子供たちと一緒に葬式用の白い花飾りを作り、ピーターは生まれたばかりの子供の世話をした。翌日三人がバスに乗って帰ろうとすると、子供に呼び止められ葬式に参加する事に。白っぽい服に着替え白い花に飾られた三輪オートバイに乗った三人は車中で父親の葬式を思い出す。黒塗りのリムジンの中、喪服を着た三人とアリスは葬儀場へと向かう途中、ピーターが生前に父が修理に出した車を引き取りたいというので修理工場に立ち寄る。父の車はパーツ待ちで三ヶ月経ってもまだ修理が完了しておらず、修理工に父の死を告げると落胆したようだった。是が非でも父の車を引き取りたいピーターはバッテリー切れの車のバンパーを開けた。すると中にはボストンバッグは入っておりしまわれたままのあけていない封筒にはジャックが書いた小説が入っていた。三人は手押しで車を動かそうとするものの、成功せず、そこへ母から葬儀へ欠席を告げる電話が入った。村の葬儀は粛々を進められ、川ベリに作られた木の祭壇に白い布に包まれた少年が寝かされ火がつけられた。燃え盛るそれを見ながら、川で沐浴する村人を見ながら見よう見まねで三人も沐浴した。
ダージリン急行の結末:母に会いにヒマラヤの修道院へ
翌日、三人は改めて空港に向かうべくバスに乗り込んだ。空港ではそれぞれが電話をし、ピーターは妻のアリスの子が男の子だという事を知る。フランシスもブレンダンの毛髪の医療費を払う事で再雇用の契約を取り付ける。そして、身支度を整え最後に隅の祭壇でお祈りを済ませた後、飛行機に乗ろうとする。しかし、考えが変わり、母のいる修道院へ。断ったはずの息子たちの来訪を驚く母親だったが、温かく迎えた。その夜、翌日の朝食のメニューを決めた後、寝室を去ろうとする母を呼びとめ兄弟はなぜ父親の葬儀に来なかったのかと聞くと、行きたくなかったと答える母。この土地には自分を必要としている人々がいると語るが、彼女に育児放棄されていた三人は、僕たちは?と聞き返した。母親が言葉を使わないで自分を表現するように言うと、沈黙が訪れ兄弟と母親は涙を浮かべるのだった。母は最後に、この美しい場所で楽しみなさいと寝室を去った。翌朝、フランシスが起きると、ジャックが既に起きていて、母親が出て行ったと告げる。よくあることだそうで、三人は食べていた朝食を途中でやめ、修道院の外へ出て行く。近くの岩山で、最後に一つ残っていた孔雀の羽で儀式を行い、埋る代わりに羽の上に石を塔のように積み上げた。そして旅を続ける三人。駅で走り始めてしまった列車に乗るためにホームを三人で走りながら、今まで持ってきていた父親のトランクを捨て身軽になり列車に飛び乗った。無事にコンパートメントに納まった三人。フランシスが胸ポケットに入れていた二人のパスポートを返そうとすると、彼らは、フランシスに預けていた方が安全だと言って胸ポケットに戻す。
オーシャンゼリゼの旋律と共に、列車を背景にしてエンドロールが始まる。
以上、映画ダージリン急行のあらすじと結末でした。
ダージリン急行のレビュー・感想:予定通りにいかない旅の中で、関係が修復されてゆく
回想の父親の葬儀以来、絶交状態だった兄弟ははじめ旅を仕切っているフランシスにあまり良い感情を抱いていない。それは、食事を勝手に頼む事に腹を立てるピーターや、乗務員に一人部屋を頼むジャックによく出ている。至れりつくせりの寝台列車の旅の中では、彼らの壊れた絆が回復する兆しは一切見えない。しかし列車を下ろされ、ブレンダンからも離れ三人で旅を始めるとそれぞれが自然と協力し出す。その最たるものは川での救出劇とその後の村での滞在だろう。そして、兄弟のしこりの一つであった母親との再会を経て、彼らは父親の残した大量のトランクを捨て列車に乗るシーンは彼らの過去へのしがらみや重荷を捨て去り新たな人生を始める象徴のようにも見える。
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