ゆれる人魚の紹介:2015年ポーランド映画。ナイトクラブでスターダムを駆け上がる人魚の姉妹。しかし姉は人間に恋をし、妹は野性を捨てられない。相反する二人の運命は?本作の予告編では、妹(ゴールデン)が人間に恋をする設定になっていましたが、正しくは人間に恋をするのは姉(シルバー)です。
監督:アグニェシュカ・スモチンスカ 出演:マルタ・マズレク(シルバー)、ミハリーナ・オルシャニスカ(ゴールデン)、キンガ・プレイス(クリシャ / シンガー)、ヤクブ・ギェルシャウ(ミェテク / ベーシスト)、アンジェイ・コノプカ(ドラマー)、ジグムント・マラノヴィチ(ナイトクラブの支配人)、マグダレナ・チェレツカ(ミス・ムフェト)、カタジナ・ヘルマン(民兵官)、ほか
映画「ゆれる人魚」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ゆれる人魚」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ゆれる人魚の予告編 動画
映画「ゆれる人魚」解説
この解説記事には映画「ゆれる人魚」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ゆれる人魚のネタバレあらすじ:起・陸に上がった人魚とナイトクラブ
水辺で暖を取っていた音楽家の家族は、人魚の姉妹と遭遇する。彼らは二人を自分たちの出演するナイトクラブのオーナーに自分たちのバックコーラス兼ストリッパーとして紹介した。人魚の姉妹の夢はこの町に寄った後アメリカまで行く事。妹のゴールデンは姉のシルバーに恋に落ちたらどうすると問うが、そんなことはしないとあっさりと答えが返ってきた。
水槽の用意されたステージで、初出演した姉妹は、水槽に入ることで元の人魚の姿を観客たちに晒し、拍手喝采を浴びた。やがて、姉妹デュオとしてデビューした二人の元へは芸能事務所からの誘いも舞い込んで来た。しかし、彼女たちがナイトクラブで稼いだお金は音楽家の夫婦が握っていて、家では自分たちをかまってくれない彼らに姉妹の不満は募った。
ゆれる人魚のネタバレあらすじ:承・恋に落ちた姉、本性を隠せない妹
やがて姉のシルバーは、ベーシストの息子と恋に落ちるが、人間の身体になると生殖器の消えてしまうシルバーの身体では抱き合う事ができず、かといって人魚の身体に戻ると、魚にしか思えないと彼は言った。それでも恋に落ちたシルバーは、鱗を一枚はがし、これでベースを弾くように彼に頼んだ。
一方、人魚の性を捨てられない妹のゴールデンは、ナイトクラブで引っかけた客と河辺までドライブしその心臓を食べた。ある夜、客の中にいた女性警官は、夜の街を出歩いていたゴールデンに、この街の人間を食べたのではないかと迫ったが、したたかなゴールデンは、彼女を部屋を訪れ人魚の姿で魅了した。
ゆれる人魚のネタバレあらすじ:転・人になった代償
町の人間の死亡のニュースが流れると、恐れた音楽家夫婦に姉妹は殴られ一度は川へ投棄された。水の中に戻り生き延びた姉妹は、森に入る人間を襲ってはその心臓を食べて生き延び、ナイトクラブへ戻った。そこで、ゴールデンは、姉のシルバーがベーシストと恋に落ちていて、彼が他の女生と結婚すると翌朝には泡になると、同じ水の中に住んでいた魔物のトリトンに忠告された。一方、シルバーは人魚の尾を失うと歌声も失うと忠告されるも、ベーシストと結ばれるために、人間の下半身と人魚の尾を取り換える手術を受けた。しかし、歌声を失い、車椅子生活になったシルバーの世話をしていたベーシストは、結ばれようと行為に及ぶも下半身が血まみれになり、彼の中で恋は冷めてしまった。
姉とデュオの組めなくなったゴールデンは、ソロでの出演は断ったが、トリトンのバンドのコーラスには加わった。
ゆれる人魚の結末:別れの朝
ベーシストはミキサーをしている若い女性と恋に落ち、シルバーの未来も知らず、とんとん拍子で船上の結婚式が開かれることになった。その夜、トリトンやゴールデンは、翌朝泡にならないように彼を食うようにシルバーに迫った。
そして、朝もやの甲板にいるベーシストを抱きしめ一度は彼に食いつこうとしたもののできず、泡になってしまった。それを目の当たりにしたゴールデンは彼の首を食いちぎった。音楽家の夫婦は、息子の無残ななれの果てに悲鳴を上げ、血まみれのゴールデンが水の中に戻って行くのを見ているほかなかった。
以上、映画「ゆれる人魚」のあらすじと結末でした。
ゆれる人魚のレビュー・考察:人魚と言う魔性
歌で人を魅了し、心臓を食らう、そんな魔物の性を持ち合わせた存在として描かれている人魚の姉妹だが、彼女たちと過ごしていた人間側も人ではない彼女達を見世物の道具のように扱っている。ナイトクラブ自体がそういった見世物小屋のような側面を持ってていたのかもしれないが、拍手を送る客も人魚の彼女たちを恐れはしない。そんな、おとぎ話とはかけ離れた世界観の中で、シルバーの恋心とゴールデンの姉を思う気持ちがとても純粋に思えてくる。泡になる運命を受け入れたシルバーの表情は穏やかで、水の中に戻ったゴールデンが歌うエンドロールはどこか哀愁に満ちている。
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