アグリの紹介:1997年ニュージーランド映画。連続殺人犯の狂気を覗き込むホラー&サスペンス。精神病院に収容されている連続殺人犯サイモンのところへ、犯罪心理学者のカレンがやって来た。カレンはサイモンが殺人を繰り返した理由を突き止めようとするが、彼は自分の中にいる別の存在「アグリ」のせいだと口にする。納得出来ないカレンが詰問すると、サイモンは「来客が来る」と不気味な言葉を発した。カレンはサイモンの狂気を知ろうとするあまり、決して足を踏み入れてはならない領域を覗き込んでしまう。
監督:スコット・レイノルズ 出演者:パオロ・ロトンド(サイモン・カーライト)、レベッカ・ホッブス(カレン・シューメーカー)、ジェニファー・ウォード=リーランド(エブリン・カーライト)、ロイ・ウォード(マーロウ医師)、ヴァネッサ・バーンズ(25歳のジュリー)ほか
映画「アグリ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アグリ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「アグリ」解説
この解説記事には映画「アグリ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アグリのネタバレあらすじ:「アグリ」という存在
舞台はとある精神病院。酷い雨の夜、犯罪心理学者のカレン・シューメーカーがやって来ました。目的は心神喪失状態と診断され、病院に収容されている連続殺人犯サイモン・カーライトの精神鑑定。サイモンがカレンを指名したことに、主治医マーロウは面白くない様子です。マーロウの案内で面談室へ移動すると、ドアの前にマージと呼ばれる女が立っていました。サイモンに執着するマージは、カレンを見て「アグリに好かれるよ」と吐き捨て突然襲いかかってきます。屈強な看護人に取り押さえられたマージはそのまま連れて行かれました。
動揺が収まらないまま、面談室に入るカレン。そこは清潔とは程遠い陰鬱な部屋で、壁に血が飛び散ったような痕が残っていました。1人の青年が椅子に両手足を拘束された状態で項垂れています。それがサイモンでした。彼が顔を上げると、一瞬だけ醜い傷が浮かび上がります。カレンは早速殺人の動機について尋ねました。かつてサイモンは、自分の中にいる別の存在「アグリ」の声に従ったのだと供述しています。サイモンは犠牲者の首をカミソリで切り裂いており、彼が殺意を抱く時、顔にアグリの醜い傷が浮かび上がりました。サイモンの人生は孤独で、血と痛みに塗れています。
母親エブリンは離婚をきっかけに精神の安定を欠き、息子を溺愛する一方気に入らないことがあれば容赦なく暴力を振るっていました。学校でもいじめられ、顔に大きな傷を負ってしまいます。唯一親切にしてくれたのは、同級生の少女ジュリーでした。サイモンも彼女にだけは心を開きましたが、エブリンはジュリーを嫌っていました。ある時エブリンはジュリーの髪を掴んで家の外に放り投げ、二度とサイモンに近付くなと怒鳴ります。それ以来ジュリーとは会えなくなってしまいました。
アグリのネタバレあらすじ:侵食する恐怖
初日の面談を終えたカレンは、出入りに必要な安全カードとポケベルをマーロウから渡されます。その夜、ベッドで眠るカレンは隣にサイモンの気配を感じて跳ね起きました。もちろん誰もいませんでしたが、拭いきれない恐怖を感じます。
翌日。カレンが面談室へ入ると、看護人がサイモンの食事に唾を吐くなどして嫌がらせを繰り広げていました。カレンは激怒して2人を面談室から追い出します。サイモンはカレンが何故この仕事を受けたのか勘付いていました。昇進のためです。カレンは以前関わった裁判でも被告を無罪にして昇進していました。それを指摘すると、カレンは不快感を顕にします。昇進こそ勝ち取ったものの、裁判以降彼女は嫌がらせや脅迫を受けるようになり、それが原因で離婚まで経験していました。
サイモンは痛みが酷いので手錠を外して欲しいと言い出します。カレンはマーロウから預かった手錠の鍵を持って近付きますが、サイモンに殺害される未来を想像して動揺しました。振り切るようにカレンが拘束を外してやると、一瞬サイモンがアグリの顔に変わりました。
アグリのネタバレあらすじ:束の間の幸せ
カレンは苛立ちを滲ませながら、殺人の動機を問いただします。サイモンはアグリや他の声が聞こえたからだと訴えました。誰の声かと尋ねると、「来客の」と答えます。「来客が来る」「おれが殺した奴ら」と呟くサイモン。すると隣の部屋で様子を見ていたマーロウが慌てて現れ、のめり込むなとカレンに警告しました。しかしもう少しで真実にたどり着けると確信したカレンは聞き入れません。サイモンは初めてアグリの声を聞いた夜、エブリンを殺害して捕まりました。17歳で精神病施設を出た後も次々殺人を繰り返します。
数年後、サイモンは偶然ジュリーと再会しました。昔と変わらず気さくに接してくれる彼女に、サイモンは幸せを感じます。しかしジュリーが他の男性と抱き合っているところを目撃してしまい、サイモンはその男性を殺害しました。後にその男性がジュリーの弟アレックスだと知り少し後悔しますが、仕方がなかったと自分を納得させます。殺さなければ、来客がいつまでも自分に付きまとうのだと。そして来客の声に従い、サイモンはジュリーをも殺害し、その夜に逮捕されました。
アグリのネタバレあらすじ:「来客」の正体
カレンは「来客」とは何か尋ねます。サイモンの目には、来客の姿が見えていました。彼らはサイモンに殺された犠牲者達の怨霊。血にまみれ、憎しみの目でじっとサイモンを見ています。来客は次第に増えていき、部屋中にぞろぞろと集まってきました。「あの女を殺して」と囁く声。この声に従わなければ、来客を追い払うことは出来ません。
サイモンはカレンに突如襲い掛かり、「おれの頭の中を見ろ」と叫びます。その瞬間、カレンにも来客の姿が見えるようになりました。あまりの恐ろしさに絶叫するカレン。そこへマーロウと看護人が現れ、サイモンを彼の部屋に連れていきます。憔悴したカレンは安全パスとポケベルを返却し、病院を出ていきました。恐怖に震えながら帰宅したカレンは、サイモンについて釈放に不適格だと報告書を作成します。
アグリの結末:連続殺人犯「サイモン」
その頃、病院ではサイモンが看護人を殺害し脱走しようとしていました。背後に立ったマージが「あの女かい?」と尋ねると、サイモンは無言で外へ出ていきます。悲しむマージと共に、マーロウもまたサイモンを見送りました。サイモンはカレンの家に侵入し、ベッドで横になっている彼女を見下ろします。気付いたカレンが窓の外を見ると、来客が集まっていました。カレンは怯えながら、あれは気のせいだと取り繕います。するとサイモンは「おれは治ってる」と言い出しました。
鏡に映った彼の顔は、アグリではなく間違いなくサイモンです。サイモンはカレンに襲い掛かり、彼女の首を切り裂きました。――カレンは悪夢を見て跳ね起きます。部屋にサイモンの姿はなく、怪我もありません。安堵したカレンは再びベッドに沈みました。窓の外には来客の姿があります。カレンの首にスッと1本線が引かれました。それは傷となって血を溢れさせ、静かにベッドを濡らしていきます。そばに立っていたサイモンが去り、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「アグリ」のあらすじと結末でした。
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