海の狼の紹介:1941年アメリカ映画。他の船を避けて太平洋を航行する帆船に、一人の作家と一人の暗い過去のある女が救助される。ジャック・ロンドンの同名小説を原作とする冒険映画。名優エドワード・G・ロビンソンが残虐で知的、複雑な人格の船長を演じる。監督は『カサブランカ』のマイケル・カーティズ。脚本は後年『オール・ザ・キングスメン』や『ハスラー』の監督となるロバート・ロッセン。エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトによる音楽も名高い。
監督:マイケル・カーティズ 出演者:エドワード・G・ロビンソン(ウルフ・ラーソン)、アイダ・ルピーノ(ルース・ブリュースター)、ジョン・ガーフィールド(ジョージ・リーチ)、アレクサンダー・ノックス(ハンフリー・ヴァン・ワイデン)、ジーン・ロックハート(ルイ・プレスコット)、スタンリー・リッジス(ジョンソン)、バリー・フィッツジェラルド(クッキー)ほか
映画「海の狼(1941年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「海の狼(1941年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
海の狼の予告編 動画
映画「海の狼(1941年)」解説
この解説記事には映画「海の狼(1941年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
海の狼のネタバレあらすじ:海の上の地獄
1900年.霧深いサンフランシスコ沖を航行する客船の甲板で、作家のハンフリー・ヴァン・ワイデンは若い女から自分の知り合いのふりをしてくれと頼まれる。だが、彼らの所に来た刑事は監獄を脱走したその女ルース・ブリュースターの顔写真の載った人相書きを持っていて騙しようがなかった。
その時、船が別の船と衝突し、ヴァン・ワイデンとルースも海に投げ出される。ヴァン・ワイデンが気を失ったルースを助けながら救命ボートにしがみついていると「ゴースト」(幽霊)という名の帆船が現れ、二人を救い上げる。
船室で目を覚ましたヴァン・ワイデンは、ウルフ・ラーセン船長によって、ちょうど死んだ船員の補充の船員にされてしまう。アザラシ猟をして日本沿岸へ向かうとされるゴースト号の下級の船員は、警察の目を逃れるためにサンフランシスコから乗り込んだリーチのように、いわくつきで陸にいられない者か、やはりサンフランシスコで乗船したジョンソンのようにだまされて連れられてきた者ばかりである。船長は彼らを残忍にこき使う。
掃除のために船長室に入ったヴァン・ワイデンは、書架に並ぶダーウィンやエドガー・アラン・ポー等の著書を見て驚く。机の上にはミルトンの『失楽園』が置かれ、詩の下に線が引かれている。「天国で仕えるよりも地獄で統治する方がましだ」。船長はヴァン・ワイデンに極貧状態から身を起こし、自学自習で航海に必要なあらゆる知識を身に着けたと話す。そして、炊事係で告げ口屋のクッキーが持ってきた、ウルフ・ラーセンが主役のヴァン・ワイデンの書きかけの物語を読んで、実は喜んでいた。
海の狼のネタバレあらすじ:辱められた人々
ルースはまだ危険な状態にあった。酔いどれ船医ルイは、血液型がわからないが、一か八かでルース・ブリュースターに輸血を試みることにする。船長はリーチの血を使えと言う。
ルースは一命をとりとめ元気になり、ルイは珍しくきちんとした身なりをして、ルースを甲板に導く。
ルースは船長とリーチに感謝の言葉を言うが、船長は彼女をどこかの港に下ろすことは拒否する。さらに、彼女のうわごとを聞いて、ルースが脱獄囚であることを知っていた船長は、そのことでルースをからかって恥ずかしい目にあわせる。
かつて名医だったルイはルースの命を助けて自信を取り戻し、これからは自分をばかにせず、「プレスコット先生」と皆に呼ばせてほしいと船長に要求するが、船長はルイを転ばせ、船員たちはルイの服を引きちぎる。
船員たちから逃げてマストのてっぺんまで上ったルイは船員たちに、なぜゴースト号は普通の航路を取らず他の船を避けているのか、上級の船員だけが知る秘密を教える。積み荷のアザラシの皮はラーソン船長が彼自身の兄弟から盗んだものであって、ラーセン船長の兄弟の船マセドニア号が大砲を積んでこの船を破壊して船長を殺しに来ると叫ぶ。そこまで話してルイは甲板に身を投げて死ぬ。
海の狼のネタバレあらすじ:船長の秘密
ルースは船長に反抗するリーチに同情する。リーチは絶望するルースに、いっしょに船を脱出して自由になろうと言う。リーチはジョンソンたち他の船員を誘って、夜、船長を襲い海に投げるが、船長は辛うじて甲板に上り、反乱は失敗する。
その後、船長室に呼ばれたヴァン・ワイデンの目の前で船長は激しい頭痛に襲われ、目が一時的に見えなくなる。ヴァン・ワイデンはこの病気を誰にも話すなと口止めされる。
海の狼のネタバレあらすじ:脱出
船長は、アザラシの皮が盗品であることを認めるが、それが売れればお前たちの儲けも増えると言って、下級の船員を懐柔する。リーチとジョンソンはそれでも逃亡を目指す。
夜、自ら舵をとろうと甲板に上がるラーソン船長が、またも目が見えなくなっているのにヴァン・ワイデンは気づき、リーチとジョンソンに今なら救命ボートで逃げられると教える。リーチは、私は縁起の悪い女だからと同乗を拒むルースを殴ってボートに乗せ、ジョンソン、さらにヴァン・ワイデンと4人で逃げる。
だが、ゴースト号からその夜奪った飲み水の樽には酢が入っていた。リーチの逃亡を予測したラーセン船長が樽の中身を変えていたのだ。
海の狼の結末:ゴースト号の最期
暴風雨に襲われたボートから飛び降りて死のうとするルースをリーチが抑え、どこかに上陸したら結婚して二人で新しい人生を始めようと言う。
朝、リーチがボートで目を覚ますと、ジョンソンは既に波に飲まれて消えていた。やがて近くに、マセドニア号に発見されて砲撃され難破したゴースト号が見える。船長の失明も露見して船員は皆逃げてしまっていた。
リーチは水と食料を取ってこようとゴースト号に入るが、船に残っていたラーセン船長によって食料貯蔵庫に監禁される。ヴァン・ワイデンは貯蔵庫の鍵を得ようと船長室に行く。船長は船と共に沈む覚悟を決めていて、自分の物語の最終章を作家に話す。
だが、自分に逆らったリーチに復讐して道ずれにする結末は全く英雄的ではない みじめなものだと、作家に真実を言い当てられて耐え切れず、作家の胸をピストルで撃ってしまう。船長はそれが致命傷であるのを見えないことにヴァン・ワイデンはつけこむ。
自分がいっしょに死ぬ代わりにリーチを助けてくれと請い、船長はドアの外に来たルースに貯蔵庫の鍵を渡す。ヴァン・ワイデンはルースには「甲板で会おう」と言って安心させたが、そのまま死んでしまう。
海上の霧がついに消え、リーチとルースを乗せたボートの前に日本付近の島が現れるのだった。
以上、映画「海の狼」のあらすじと結末でした。
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