ヒッチャーの紹介:1985年アメリカ映画。2019年に亡くなった俳優ルトガー・ハウアー。1982年『ブレードランナー』のレプリカントのリーダー・ロイ役で一気に世界的な人気俳優となった彼の、圧倒的な怪演が光る『ヒッチャー』が2021年、HDリマスター化され帰ってきた。これは、得体のしれない殺人鬼に追い回される青年の理不尽な道行きを、極力説明を排したシンプルな構成で見せきってしまう快作。35年前の作品とは思えない画面の美しさ、そして片時も安心できないスリリングな展開は必見!
監督:ロバート・ハーモン 脚本:エリック・レッド キャスト:C・トーマス・ハウエル(ジム・ハルジー)、ルトガー・ハウアー(ジョン・ライダー)、ジェニファー・ジェイソン・リー(ナッシュ)、ジェフリー・デマン(エスターリッジ警部)ほか
映画「ヒッチャー(ニューマスター版)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ヒッチャー(ニューマスター版)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ヒッチャー ニューマスター版の予告編 動画
映画「ヒッチャー(ニューマスター版)」解説
この解説記事には映画「ヒッチャー(ニューマスター版)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ヒッチャー(ニューマスター版)のネタバレあらすじ:起
まだあたりは真っ暗な早朝。荒野の一本道をひとり、高級車を陸送している青年ジム・ハルジー(C・トーマス・ハウエル)。
外は雷雨。前方に手をあげている男の姿を発見し、ジムは車を停めて男を乗せます。ジョン・ライダーと名乗るその男(ルトガー・ハウアー)は行き先を言わず、ジムが道端に止まっていた車を心配して停まろうとするとアクセルを踏み込ませて妨害します。不審に思ったジムが「降りてくれ」と車を停めてもジョンは降りません。それどころか、さっき止まっていた車の主を殺したと話し、ナイフをジムに突きつけて「オレを止めてくれ」と言い出します。「その前にお前が刺すだろ?」とジムが恐る恐る反論すると、「どうせ死ぬなら止めろ」と言ってきます。
ジムは一瞬のすきをつき、ドアロックのかかっていない助手席のドアからジョンを外に蹴落とします。
すっかり明るくなったころ、走り続けるジムの車を、ボートを引いた家族連れの車が追い越していきました。その後部座席から女の子がジムの車に向かっておもちゃを振っています。笑顔で応えるジムでしたが、そのとなりにジョンが座っているのをみて凍りつきます。あわててその車に並び、危険を知らせようと叫びますが気づいてもらえません。すると対向のバスに接触してしまい、親子の車は走り去ってしまいます。
バスの運転手から逃げて走り続けていると、前方にあの親子の車が止まっているのが見えてきました。ジムは車を停め様子を見に行きますが、すぐに戻ってきて嘔吐します。
再び走り始めたジムの車を、今度はいきなりジョンが運転する車が追突してきました。そして、道をはずれ荒野へと走っていきました。
ジムが電話をしようと次のガソリンスタンドに立ち寄ると、突然建物の壁を破壊してジョンの車が飛び出してきました。給油機をなぎ倒し、あたりにはガソリンがもれ始めます。車を停めたジョンはガソリンまみれになって倒れたジムを見つめ、ニヤッと笑いながらマッチに火をつけ落とします。ジムは間一髪、火のついた車で逃げ出しました。
ヒッチャー(ニューマスター版)のネタバレあらすじ:承
その先のガソリンスタンドに、従業員の女性がバスで出勤してきました。彼女がダイナーの開店準備をしているとジムがやってきます。ただならぬ様子に仕方なくドアを開けると、ジムは真っ先に警察に電話をかけに行きます。その後ジムはトイレで上半身を洗い、事情を察した女性はジムのためにハンバーガーとポテトを用意してカウンターに出しておきました。
ナッシュというその女性(ジェニファー・ジェイソン・リー)はジムにハンバーガーをすすめ、「ゆっくり食べてて」と言うと仕込みのため店の奥へ行ってしまいます。
放心状態でポテトをつまんでいたジムがふと手元を見ると、それはポテトではなく人間の指でした。
驚いたジムが外へ飛び出し吐いていると、パトカーに乗ったふたりの警官がやってきました。警官はいきなりジムに銃を向けて発砲し、パトカーのボンネットに組み伏すとポケットから所持品を取り出します。あるはずの財布がなく、代わりに血のついたナイフが出てきました。
凶悪犯として警察に連れてこられたジムは身分証もなく、仕事を依頼した会社や兄に電話をしてほしいと伝えても電話はつながりません。ジムは留置所に勾留されますが、刑事たちはジムが犯人ではないとわかっているようでした。
留置所内で眠ってしまったジムが目を覚ますと、なぜか鍵がかかっていません。電話は鳴りっぱなし、無線の声に応答する気配もありません。ゆっくりとジムが進んでいくと、血まみれで倒れている刑事の血を警察犬がなめていました。他の刑事も死んでいるようです。
すると、外には複数のパトカーが到着。ジムは死体が握っていた拳銃を取ると裏口から逃げ出しました。
ジムは一軒のガソリンスタンドにやってきます。電話をかけようとしますが間に合わず、やってきたパトカーに向け焦って銃を向けてしまいます。警官を脅して後部座席に乗り込んだジムはパトカーを走らせ、無線で責任者と話したいと訴えます。エスターリッジ警部と話し自首すると約束したジムですが、次の瞬間、なんとパトカーのとなりにジョンの車が現れ警官ふたりを射殺してしまいました。必死に車を止めて飛び出したジムはパニックになり大声で叫びます。そして銃をアゴの下にあてて自殺しようとしますができませんでした。
立ち上がって歩き続け、とあるダイナーに入ったジム。コーヒーを注文すると奥の席に座り、両手で顔を覆うのでした。
ヒッチャー(ニューマスター版)のネタバレあらすじ:転
気配を感じて顔を上げると、向かいの席にジョンが座っていました。
ジムがテーブルの下で銃を向けると「銃はカラだ」とジョンは言います。ジョンが「バンッ!」とハッタリで脅かすと、驚いたジムは何度も引き金を引いてしまいますがやはり弾は入っていませんでした。
なぜ自分を追い回すのか質問するジムに「自分で考えろ」と言い残すと、ジョンは6発の銃弾を置いて去っていきます。
外ではちょうどバスが到着し、休憩のためほとんどの乗員乗客が降りてきました。ジムはこっそりバスに乗り込むと、奥のトイレに入って銃に弾をこめました。やがてバスは出発し、ジムは静かに最後部の席に座ります。そのバスに乗っていたナッシュがトイレに入りにきたので、ジムは「信じてほしい」と訴えます。
追跡してきたパトカーにバスは止められ、ジムは銃を投げ捨て自首するためバスを降ります。しかし警官のひとりは仲間を殺されたことを恨み、ジムに銃口を向けたまま言いがかりをつけてきます。その様子に怒ったナッシュがジムの投げた銃を拾い、空に向けて発砲しました。
再度地面に向け発砲し、ジムとナッシュはパトカーを奪って逃走します。その様子を、少し離れた場所からジョンが見ていました。
2台のパトカーに追われ、さらに銃撃され、ジムはナッシュにこちらからも撃ち返すよう指示します。ナッシュは渋々撃とうとしますが銃を車外に落としてしまいます。2台のパトカーに両側からはさまれ、タイヤを狙われたジムはその瞬間ブレーキをかけて1台だけ下がります。2台のパトカーは横転して大破、ジムはその横をゆっくりと通り過ぎていきます。
今度はヘリコプターが近づき銃撃してきました。さらに3台のパトカーにも追われ絶体絶命の状況。それを救ったのはジョンでした。ジムたちの車と並走するように荒野を走るジョンがヘリを撃ち落とし、その墜落にパトカーが巻き込まれたのです。ジョンは再び去っていきました。
ジムとナッシュはパトカーを乗り捨て、歩いてモーテルにたどり着きました。家に電話をしたいというナッシュをジムは制します。
夜中に目覚めたジムは、ナッシュを起こさないようバスルームへ向かいます。シャワーを浴び始めると、実は起きていたナッシュがこっそり家に電話をしてしまいます。
ナッシュが眠ろうと横になると、となりに横たわる人が…。違和感をおぼえナッシュが振り向くとそれはジョンでした。
ヒッチャー(ニューマスター版)の結末
ジムがバスルームから出るとナッシュの姿がありません。あわてて外に出てトラックの間を探し回ると、何台ものパトカーが走っていてなかなか思うように探せません。そして、ジムは警察に確保されてしまいます。
それはエスターリッジ警部(ジェフリー・デマン)でした。警部はジムに「助けてくれ」と言います。実は、ナッシュがジョンに拉致され、トレーラーの運転席と荷台とのつなぎ目にしばりつけられていたのです。ジョンは運転席でエンジンをふかしており、発進すればナッシュの身体は引きちぎられてしまいます。ジョンを殺したら、その足がクラッチから離れ発進してしまうのでうかつに手を出すことができません。ジムが助手席に乗り込むと、ジョンは拳銃を出して「殺してくれ」と言います。ジムはそれを手に取りますが、どうしても引き金を引くことができません。
「役立たずだな」
そう言うと、ジョンはトレーラーを発進させました。
逮捕されたジョンが取調べを受けています。しかし情報はなにもなく、ジョンは質問にまともに答えません。ジムは、なにかの手がかりになるかもしれないと取調室に入ることを許されます。ジムは手を差し出し、その手をジョンが両手で握ります。しかし次の瞬間、ジムはジョンの顔にツバを吐きかけます。ジムは部屋から連れ出されますが、ジョンはかけられたツバを手に取って顔にのばし、唇にもすりつけるのでした。
やがてジョンは護送車で運ばれていきます。ジムはエスターリッジ警部の運転するパトカーに乗り込みますが、「奴は逃げます」と警部に忠告します。以前より落ち着いた表情のジムは、警部の拳銃を奪い、降りるよう命令します。おだやかにジムを諭しながらも警部は命令に従い、ジムはパトカーを∪ターンさせて護送車のあとを追います。
一方護送車内では、緊張感のない警察官たちをジョンが襲い、ショットガンを奪って全員を殺していました。後部扉を開けると、追いついたジムのパトカーがちょうどすぐうしろに。ジョンは迷わず飛び出し、パトカーのフロントガラスを破ってジムに襲いかかります。ジムは急ブレーキをかけてジョンを振り落とすことに成功。路面に転がったジョンはゆっくりと身体を起こします。手の指が折れたようですが、気にせずショットガンを拾い上げると、少しずつジムの方へ近づきながら1発、2発と撃ってきます。ジムはエンジンをかけようとしますがなかなかかかりません。3発、4発、5発撃ったところでようやくエンジンがかかり、ジムはパトカーを発進させてジョンをはね飛ばします。
路肩にうつ伏せで転がったジョンの身体。ジムは近づいてショットガンを拾い上げると、つついたり蹴ったりして動かないことを確認します。そして背を向け、パトカーの方へと歩き出しました。
すると、ゆらりとジョンが立ち上がります。笑顔のジョンに対し、ジムは今度こそ躊躇なくショットガンを3発撃ち込みました。
すべてが終わり、ジムは車にもたれながらひとりタバコを吸うのでした。
以上、映画「ヒッチャー ニューマスター版」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する