AWAKEの紹介:2020年日本映画。2015年4月に行われた、人間対コンピューターによる「将棋電王戦FINAL」第5局の対局に着想を得たオリジナルストーリーの作品です。将棋棋士になる夢に挫折し、コンピュータ将棋ソフトの開発者となった主人公と永遠のライバルである将棋棋士との苦闘を描きます。
監督:山田篤宏 出演者:吉沢亮(清田英一)、若葉竜也(浅川陸)、落合モトキ(磯野達也)、寛一郎(中島透)、馬場ふみか(磯野栞)、川島潤哉(山崎新一)、永岡佑(堀亮太)、森矢カンナ(山内ひろみ)、中村まこと(清田英作)ほか
映画「AWAKE」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「AWAKE」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
AWAKEの予告編 動画
映画「AWAKE」解説
この解説記事には映画「AWAKE」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
AWAKEのネタバレあらすじ:起
2003年。少年時代の清田英一は将棋会館の前に立っていました。英一はそこで同い年の将棋少年・浅川陸に声をかけられ、日本将棋連盟の棋士養成機関である奨励会に入会しました。
英一は指導担当の山崎新一(川島潤哉)から、奨励会員160名のうち3級リーグに昇進できるのは年に多くて4名しかいない狭き門であることを告げられ、切磋琢磨して日本一の棋士になってほしいと励まされました。英一はそれからというもの、必死で将棋の本を見て勉強しながら同年代の少年たちとしのぎを削りあいました。
そんなある日、英一がある少年と対戦していた時のことでした。時間切れまで粘った英一に、山崎が「詰んでいたのになぜ投了しない?」と問いかけてきました。英一は「負けたくないから」と答えると、山崎は相手を尊重することの大切さを説きました。そんな英一は自分を将棋の道に誘った陸と対局の時を迎え、200手を超える激闘の末に英一が勝利を収めました。
この時はまだ英一が陸に対して優位に立っていた時期でした…。
AWAKEのネタバレあらすじ:承
時は流れて2010年。成長した英一(吉沢亮)にはかつての強さは見られませんでした。ことごとく対局で負け続け、それでも諦めずに寝る間を惜しんで将棋の研究を続けていた英一は、今や才能を開花させ、圧倒的な強さで頭角を現していた陸(若葉竜也)との対局に挑みました。
解説を務める山崎は、陸を強くしたのは紛れもなく英一だと確信していました。互いに全力を出し切った対局の末、勝利を収めたのは陸でした。いさぎよく負けを認めた英一は父・英作(中村まこと)に将棋をやめることを伝えました。
2011年。英一は一般人としての人生を送るべく大学に入学しました。一方、プロとなった陸は1年目で新人王戦に優勝していました。
これまで将棋しかしてこなかった英一は大学生活に中々慣れないでいました。そんなある日、英一は英作がパソコンの将棋ソフトで遊んでいることに気づきました。試しにソフトで遊んでみた英一はこれまでのライバル棋士が打ったことのないような、定跡に囚われないその一手に感心を覚えました。
将棋ソフトのプログラムに興味を抱いた英一はサークル勧誘のチラシで知った「人工知能研究会」の門を叩きました。先輩部員の磯野達也(落合モトキ)は新入部員を入れるつもりはありませんでしたが、英一の熱意に打たれて入会を認めました。
磯野からプログラミングの基礎を叩き込まれた英一は自力で将棋のプログラムを作り上げ、“目覚め”“覚醒”を意味する「AWAKE」と名付けました。英一と磯野は将棋研究会の部員に対戦を申し込み、「AWAKE」は部員に敗北を喫しました。英一は改めて「AWAKE」を強くしたいとの思いを強くし、それからというもの磯野と共にソフトの改良・強化にのめり込んでいきました。
AWAKEのネタバレあらすじ:転
2015年。英一は電王戦トーナメントに「AWAKE」で臨み、見事に優勝を果たしました。英一から優勝トロフィーを受け取った英作は、捨てずにとっておいていた将棋盤を英一に渡しました。
電王戦を主催する「ドワンゴ」は「AWAKE」とプロ棋士を対戦させ、その模様を「ニコニコ動画」で生配信する企画を打ち立てました。「ドワンゴ」担当者の堀亮太(永岡佑)からその話を持ちかけられた英一は「生身の棋士と対戦させるために「AWAKE」を作ったんじゃない」と返事を保留しましたが、将棋連盟が指名した対戦相手は何とあの陸であることを知り、引き受けることにしました。
対戦を2か月後に控え、英一はかつての奨励会時代の同期で今は「東西新聞」記者として将棋コーナーを担当する中島透(寛一郎)と再会しました。に呼び止められる。電王戦トーナメントに興奮したという中島は、この対局がプロ将棋の歴史を変えてしまうものになるかもしれないことを語りました。一方の陸は将棋連盟から「AWAKE」を試してみるよう勧められ、姉の山内ひろみ(森矢カンナ)に手伝ってもらって対局してみました。陸は「こんなに強いのか」と驚きました。
その頃、既に大学を卒業した磯野はIT企業に就職していました。英一は磯野が妹・栞(馬場ふみか)と暮らす家を訪れ、磯野は自社開発の高スペックパソコンで「AWAKE」を強化しようと提案しました。一方の陸はマスコミの取材に対して電王戦は「全力で戦う」と宣言、「AWAKE」を開発したのが奨励会の同期であることに言及されると「特に意識はしてません。僕が戦うのはあくまでも彼が作ったコンピュータソフトなので」と答え、もし対局に敗れれば自分は引退しなければならないかもしれないと覚悟を滲ませました。
英一はプログラムの改良を重ね、そして「ドワンゴ」にそのプログラムを提出しました。規定により、一度提出したプログラムは修正ができないことになっていました。その後、英一は一方の陸も、町の人の「機械の計算より人間の直感の方が絶対優れている」との声を聞いていました。陸は何度も自宅のパソコンで「AWAKE」と対戦しましたが、どうしても勝てずに焦りを感じ初めました。
英一は前哨戦として、「ドワンゴ」が主催した「AWAKE」とアマチュアとの対戦企画「電王AWAKEに勝てたら賞金100万円」に参戦しました。「AWAKE」は順調に75連勝したものの、1人に敗れてしまいました。驚いた英一が改めて分析すると、これまでプロが使わない一手に隙を突かれるというプログラムの欠陥を見つけました。
規定によりもうプログラムの修正は認められず、英一は陸との敗北を覚悟しました。落ち込む英一の前にに栞が現れ、英一は栞に「コンピュータ将棋に出会って生きる望みを見つけた。人間と勝負するとか、どっちが強いとか、そんなことのために「AWAKE」を作ったんじゃない。だけど、今度のチャンスを逃がしたら、もうあいつと一生勝負できなくなると思った」と心境を語りました。
AWAKEの結末
遂に対局の当日がやってきました。英一は初めて陸と出会った将棋会館を訪れ、当時のことを思い出しました。
会場には英作も駆け付け、控室では磯野と栞と中島が、将棋部室では部員たちが世紀の一戦の中継を見守っていました。そして遂に対局が始まり、陸は以前にアマチュアが「AWAKE」に勝った時と全く同じ手を差しました。ネットでは陸も「AWAKE」の攻略法を知っていたのかという書き込みが溢れるなか、「AWAKE」の次の一手は解説者にも読まれてしまい、勝負は英一がいさぎよく敗北を認めて幕を閉じました。
あっけない展開にネット上は「何だ、このつまらない結末」などと荒れましたが、解説を務めた山崎は「二人とも立派だった。勝利に徹した陸も、再び競った英一も良い将棋を指した。いつか自由な場で戦わせたい。将棋は楽しい物だから」と感想を述べました。その後、英一は廊下で陸とすれ違い、陸は「強かった」と呟きました。
2017年。英一はIT企業に就職していました。英一は空港で、陸が王将戦に2連勝したと報じた新聞記事を見て微笑みました。ロビーではたまたま居合わせた陸の甥が将棋盤とにらめっこしており、甥は英一を椅子に座らせると戻って来た陸を相手に将棋を指し始めました。
以上、映画「AWAKE」のあらすじと結末でした。
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