生きるべきか死ぬべきかの紹介:1942年アメリカ映画。1939年.ヒトラーの野心に怯えるポーランドの首都ワルシャワ。劇団のスターであるヨーゼフの妻で相手役でもあるマリアと若い軍人との情事が進行中だった。やがて劇団は、ドイツ軍に占領された街でナチ相手の大芝居を打つ。本作はアメリカの第二次世界大戦への参戦前に製作が開始され、公開は参戦後になった。サスペンスと色恋をめぐるギャグとが一体となった、コメディー映画の名作でルビッチ監督の代表作の一つだが、公開当時は時局にふさわしくない悪趣味な映画として否定的な評価が強かった。コメディーを得意としたキャロル・ロンバートは戦時公債キャンペーン中に飛行機事故で死亡し、この作品が遺作となった。『メル・ブルックスの大脱走』(1983年)は本作のリメイク
監督:エルンスト・ルビッチ 出演者:キャロル・ロンバート(マリア・トゥラ)、ジャック・ベニー(ヨーゼフ・トゥラ)、ロバート・スタック(ソビンスキー中尉)、ライオネル・アトウィル(ラウィッチ)、フェリックス・ブレサート(グリーンバーグ)、シグ・ルーマン(エアハルト大佐)、トム・デューガン(ブロンスキー)、スタンリー・リッジス(シレツキー教授)、ほか
映画「生きるべきか死ぬべきか」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「生きるべきか死ぬべきか」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
生きるべきか死ぬべきかの予告編 動画
映画「生きるべきか死ぬべきか」解説
この解説記事には映画「生きるべきか死ぬべきか」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
生きるべきか死ぬべきかのネタバレあらすじ:起・ヒトラーが来た
1939年8月、ポーランドのワルシャワに突然アドルフ・ヒトラーが現れた。
実は、ナチを風刺する新作の芝居『ゲシュタポ』で、ヒトラーを演じるブロンスキーが、通りに立てば自分は本物のヒトラーで通ると大見えを切って街に出てきたのだ。だが、子供がブロンスキーにサインを求めて、皆それが俳優であるとわかる。
今その劇団は『ハムレット』を上演中。名優気取りの主役ヨーゼフ・トゥラは「生きるべきか死ぬべきか」という台詞を言う時に、自分の目の前で席を立つ青年がいてショックを受ける。
その青年、ソビンスキー中尉は、オフェーリアを演じる、ヨーゼフの妻マリアに花を送り続けた後、ついに手紙を書き、その日マリアから「生きるべきか死ぬべきか」という台詞のところで楽屋に来るように伝えられていたのだった。軍服の美男にうっとりしたマリアは、彼の基地を訪問する約束をする。
『ゲシュタポ』は、今日が上演初日というときにドイツとの関係を考慮してキャンセルされ、『ハムレット』が続演になる。ヨーゼフはまたも軍服の同じ青年が「生きるべきか死ぬべきか」の台詞で席を立つのを見てしまう。楽屋に来たソビンスキーは、マリアが夫と離婚して自分と結婚して引退するものと思い込んでいて、マリアは困ってしまう。
そこへ、ドイツのポーランド侵攻の報が届く。爆撃機乗員のソビンスキーは別れを告げ、マリアの元を去る。その後サイレンが鳴り響き、芝居の客は逃げ出し、俳優たちは地下に避難する。
ワルシャワの街は破壊され、ドイツ軍兵士が行進するようになる。『ベニスの商人』のシャイロックを演じることを夢見ながら『ハムレット』の槍もちの役に甘んじていたグリーンバーグは、槍もちすら再び演じる機会が訪れるのだろうかと嘆きながら、ヒトラーを演じることができなかったブロンスキーと雪かきをする。
生きるべきか死ぬべきかのネタバレあらすじ:承・スパイを追え
やがてワルシャワでは地下抵抗活動が始まる。そしてソビンスキーはイギリスでイギリス空軍ポーランド人中隊の一員として活動していた。
1941年12月のある夜、空軍のサロンで抵抗運動指導者のシレツキー教授が秘密任務でワルシャワに入ることをほのめかす。中隊の若者たちは懐かしい人々への伝言を頼む。ソビンスキーも「生きるべきか死ぬべきか」という言葉をマリアに伝えることを託す。
だが、有名女優マリア・トゥラの名をシレツキーが知らないことを不審に思う。ソビンスキーの通報を受けた軍情報部は、シレツキーがスパイであるかもしれないと考え、シレツキーとゲシュタポの接触を断つために、ソビンスキーをポーランドに送ることにする。
雪原にパラシュートで降りたソビンスキーはドイツ兵の目をかいくぐってワルシャワの街に消える。マリアにかくまわれ、マリアがソビンスキーの代わりに地下組織への連絡を果たす。だがシレツキーは先にワルシャワ入りしていて、マリアを呼び出し、ナチの側につくように誘う。
マリアはシレツキーとディナーの約束をしてから、ドレスに着がえるためと言って帰宅するが、先に帰宅していたヨーゼフが「生きるべきか死ぬべきか」の例の青年が、自分の家で寝ているのを見て、妻を寝取ったらしい彼と揉めている最中だった。事情を呑み込みきれないながらも、ヨーゼフはポーランドのために、シレツキー暗殺に加担することにする。
生きるべきか死ぬべきかのネタバレあらすじ:転・二つのゲシュタポ支部
ホテルのシレツキーの部屋に戻ったマリアが、彼の誘惑に乗りナチに寝返ったと思わせたところに、ゲシュタポからの使いが来てシレツキーは出かける。だが、彼が連れていかれたのはゲシュタポ支部に見せかけた劇場だった。
ヨーゼフはワルシャワで権勢を振るっていたエアハルト大佐を演じるが、最後に正体を見破られる。劇団員たちが劇場の中を逃げるシレツキーを捜し、最後にソビンスキーが舞台上でシレツキーを射殺する。
ヨーゼフは、今度はシレツキーに扮してシレツキーの部屋に行き、マリアに地下組織のリストの処分を委ねるが、本物のエアハルトに呼ばれて本物のゲシュタポ支部へ行かなければならなかった。
だが、エアハルトをだまし、マリアと海外に逃亡するための飛行機を予約させ、しかもヒトラーのワルシャワ訪問があることを知る。
翌日、劇場でシレツキーの死体が発見されたことをエアハルトがゲシュタポ支部に招かれたマリアに知らせる。ところがそのことを知らずにシレツキーに扮したヨーゼフがゲシュタポ支部に行ってしまう。
大根役者のラウィッチ扮する将軍の率いる偽のヒトラー護衛隊が、ヨーゼフを引き取ることに成功するが、ヨーゼフとマリアが逃亡する飛行機がなくなってしまった。それどころか、ヒトラーがワルシャワに到着したら、今や劇団員全員の命が危ない。そこで劇団の演出家が国外脱出作戦の計画を立てる。
生きるべきか死ぬべきかの結末:ワルシャワ脱出
マリアをのぞく劇団員とソビンスキーが軍服を着て、軍服のドイツ人がそろった劇場にもぐりこみ、ヒトラー一行が到着するまでトイレに身を隠す。
そして、ヒトラーが入場してドイツ国家が斉唱されているとき、念願の大役を初めて得たグリーンバーグが民間人の服装でヒトラーのボックス席に突進しようとして拘束される。護衛隊長役のヨーゼフに尋問されて、ブロンスキーの偽ヒトラーを相手にシャイロックの台詞をつかってポーランド人への抑圧に抗議した後、ブロンスキーは連行される。
警備の不備を理由に偽ヒトラー一行は劇場を去り、本物のヒトラー一行の専用車で空港へ行く。だが、途中でマリアを拾わなければならない。
トゥラ夫妻のアパートに尋問に来たエアハルトは、マリアが人と待ち合わせていると言うのも意に介さず、彼女に言い寄っていたが、彼女を迎えに来た男がヒトラー(ブロンスキー)であったので茫然。
一座はヒトラー専用機のパイロットを追い出し、ソビンスキーに操縦させてイギリスに渡ることに成功し、新聞の取材を受ける。
シェークスピアの国で『ハムレット』を上演することになったが、ヨーゼフが「生きるべきか死ぬべきか」という台詞を言うときに、ここでも立ち上がって出ていく若者がいるのだった。
以上、映画「生きるべきか死ぬべきか」のあらすじと結末でした。
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