ベトナムを懐うの紹介：2017年ベトナム映画。祖国ベトナムを離れ、移民としてアメリカにやってきた主人公トゥー。言葉の通じない慣れない暮らしに、施設から抜け出したトゥーは孫娘の元に転がり込んでいく。祖父を受け入れられない孫娘とトゥーは衝突してしまうのだった。
監督：グエン・クアン・ズン 出演：ホアイ・リン（トゥー）、チー・タイ（ナム）、ウィル（365）、ディン・ヒワ、オアイン・キウ、タイン・ミー、チョン・カン、ほか
映画「ベトナムを懐う」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ベトナムを懐う」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
作品紹介・キャスト
ベトナムを懐うの予告編 動画
映画「ベトナムを懐う」解説
この解説記事には映画「ベトナムを懐う」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ベトナムを懐うのネタバレあらすじ：起
1995年、ニューヨーク。老人ホームを抜け出し、寒空の中、息子グエンと孫娘タムのいる家までやってきたベトナム人移民のトゥー(ホワイ・リン)。彼氏とお楽しみ中にやってきたトゥーにタムは驚きます。親類といえど勝手に入ってくるのは失礼だと怒るタム、トゥーにはなぜタムが怒るのか分かりません。
やがてトゥーは冷蔵庫の中にタムが作ったケーキを見つけ、亡くなった妻の命日だったから作ってくれたと喜びますが、それはタムが彼氏の誕生日のために作ったものでした。怒られてばかりのトゥーは、同じベトナム人で親友のナム(チー・タイ)に連絡をして呼び出しました。
ナムがやってきて、トゥーは妻の命日のための準備を始めます。タムが作ったケーキも勝手に持ってきていました。トゥーが老人ホームにあった布に描いた故郷ベトナムの絵を飾り、2人は懐かしい昔話に花を咲かせます。
トゥーとナムは子供の時からの仲良しで、貧乏なトゥーと裕福なナムで立場は違いましたが2人はいつも一緒にいました。大きくなり2人はウットという娘に恋をします。2人ともウットと結婚したいと思っていましたが、貧乏なトゥーは金持ちのナムと結婚した方がウットが幸せだと諦めるつもりでいたのです。
しかし、ウットはトゥーが好きでした。ウットの本当の思いを知ったナムは身を引き、トゥーはウットと結婚することになります。幸せに暮らしていたトゥーとウット、グエンという息子も生まれて順調な人生を送っていました。
ベトナムを懐うのネタバレあらすじ：承
そこにタムが入ってきて、勝手にケーキを持っていった事に激怒します。妻ウットの命日のためにタムの作ったケーキを見せてやりたかった。そう話すトゥーですがタムは怒りはおさまりません。トゥーは、いい機会だから思っている事を話しなさいとタムに告げると、タムは今まで言わなかった胸の内を吐き出し始めました。
父グエンが仕事を掛け持ちしてまでトゥーが入る老人ホームのためのお金を払っていたこと、そのためにグエンの妻は逃げていったこと、アメリカの文化しか知らないタムにとってはベトナムの事は分からない、夜部屋に入ってくるのもプライバシーの侵害だと訴えました。それらは全てトゥーの知らなかった事でした。
老人ホームはタダだと思っていたし、タムの部屋に入っていたのも窓をよく締め忘れるタムのために入り、シーツを掛けてあげただけの事でした。確かに文化の違いによるすれ違いがあったのかもしれない、しかし息子に苦労をかけ、孫娘を悲しませた事に、トゥーは悲しみタムに謝りました。
そしてナムに、ここにはいられないから一晩泊めてほしいと懇願しました。トゥーはタムに、父グエンの書いた日記を渡し「これを見ればどうしてこうなったか分かる。悪いが私は見てしまった」と話すと、ナムと2人で出ていきました。
出ていったトゥーとナム。「俺のS字」が見たいと言うトゥーに付き合い、2人はとあるビルの屋上にやってきました。雪の降る中、寒さを和らげるために酒を飲み、煙草を吸い始めます。
ベトナムを懐うのネタバレあらすじ：転
2人が出ていった後、仕事を終えて老人ホームにいない父を探し回っていたグエンが帰ってきます。何やら父とタムが言い争った事を知ったグエンは、トゥーが読んだというグエンの日記をタムに読むように促します。日記にはトゥーがグエンが送った仕送りは一切手を付けずに、ウットの死後に田畑を売り、その金を全てタムの大学の資金にあてるよう書いてある手紙がありました。
そしてトゥーは結局、海を渡ることの出来なかったウットの希望を叶えるため、故郷を捨ててアメリカへ渡ったのです。そしてグエンは自らが渡米した時の事を綴っていたのです。
難民だったグエンと身重の妻は嵐に遭い、沈没寸前まで追い込まれてしまいます。次々と周りが死んでいき、命からがら生き残ったグエン達は、大きな船に導かれてとある島に連れて行かれます。
領海を出た船は島に誘導され、略奪され殺されたりする事を知っていたグエンは、降りるなり妻の手を引き懸命に逃げたのでした。妻と生まれてくる子供を守るために、同胞のベトナム人を救うことなく逃げたのです。以降、復讐されるのではないかと怖くなり、ベトナムへ帰ることなくアメリカに渡り、アメリカ人として生き、娘もそう育ててきたのでした。
グエンは自分を許せなかったのです。さらに日記は続きます。明らかにグエンとは違う文字で「お前は悪くない、これ以上自分を責めないで、それでも自分を許せないならその罪は私が背負う、だからお前は悪くない。だからどうかタムから故郷を奪わないで欲しい…」
ベトナムを懐うの結末
それはトゥーがグエンに宛てて書いたものでした。グエンとタムは涙が止まりません。タムは泣きながらウットの遺影に謝り、そして感謝の言葉を述べます。
一方で、寒空の下トゥーとナムはまだ語り合っていました。どこか様子のおかしいトゥーにナムは気づきません。トゥーは弱々しくナムの肩にもたれ、「ベトナムに帰りたい」そう告げました。そして歌を歌ってほしいとナムにお願いすると、ナムが歌っている途中で息絶えてしまいます。
トゥーの様子がおかしい事に気づいたナム、必死で呼びかけますがもうトゥーが目を開けることはありませんでした。「先に行きやがって…バカ野郎」と泣きながらトゥーを抱きしめるナム。
そこに、トゥーの本当の気持ちを知りトゥーを探していたグエンとタムが駆けつけます。「ごめんなさい。私分かったの」とトゥーに語りかけるタムの言葉は、もうトゥーには届きませんでした。
美しく壮大な景色が一面に広がります。それはトゥーが愛した故郷ベトナムでした。トゥーの死後、ベトナムにやってきたタムの姿が見えます。
以上、映画「ベトナムを懐（おも）う」のあらすじと結末でした。
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