オールドの紹介:2021年アメリカ映画。『シックス・センス』『サイン』など、衝撃的なサスペンス作品で知られるM.ナイト・シャマラン監督。本作では異常なスピードで老化が進む謎のビーチから出られなくなってしまった人々の一日がスリリングに描かれる。このストーリーはシャマラン監督が娘たちから送られたグラフィックノベル「SANDCASTLE」にインスパイアされたといい、より普遍的な物語にするためさまざまな人種・国籍の俳優たちが集められたという。なお、いつものように監督自身も運転手役で出演している。
監督: M.ナイト・シャマラン キャスト:ガエル・ガルシア・ベルナル(ガイ・キャパ)、ヴィッキー・クリープス(プリスカ・キャパ)、アレックス・ウルフ(トレント・キャパ)、トーマシン・マッケンジー(マドックス・キャパ)、ルーファス・シーウェル(チャールズ)、エリザ・スカンレン(カーラ)、アビー・リー(クリスタル)、ケン・レオン(ジャリフ)、ニキ・アムカ=バード(パトリシア)、アーロン・ピエール(ミッドナイト・セダン)ほか
映画「オールド」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「オールド」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
オールドの予告編 動画
映画「オールド」解説
この解説記事には映画「オールド」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
オールドのネタバレあらすじ:起
ガイ(ガエル・ガルシア・ベルナル)とプリスカ(ヴィッキー・クリープス)のキャパ夫妻は子どもたちとともに休暇を過ごすため、とあるリゾートホテルへとやってきました。大人にはウェルカムカクテル、子どもたちにはドリンクバーのサービスがあり姉のマドックスと弟のトレントは大喜び。そこにはホテル従業員の息子イドリブがいて、早速トレントと仲良くなります。
その夜、夫妻は離婚に向けての話し合いをしていました。それはプリスカが言い出したことで、もう住む場所も見つけたといいます。プリスカには悪性の腫瘍があり離婚は彼女の希望でした。となりの部屋では姉弟がその話を聞いています。でも幼いトレントはイドリブから渡された暗号文が解けて楽しそうです。
翌朝レストランで朝食をとっていると、ホテルのマネージャーがガイたちにプライベートビーチへ行くことをすすめてきました。とそのとき、ひとりの黒人女性がてんかんの発作を起こして倒れます。しかしすかさず夫が薬を与え、落ち着きを取り戻しました。
キャパ家4人がビーチに行くためマイクロバスに乗っていると、別の家族が乗り込んできました。医師チャールズ(ルーファス・シーウェル)と妻クリスタル(アビー・リー)、娘のカーラとチャールズの母、そして飼い犬のグスタフです。
運転手は皆を森の中で下ろすと5時に迎えにくる、その前に必要なら電話をするよう言ってそそくさと帰ってしまいます。一行が狭い岩壁の間を抜けて歩いていくと、美しいビーチが現れました。そんなに広くはないものの、垂直に切り立った崖に囲まれたそこは秘密の場所といった風情が漂っています。
オールドのネタバレあらすじ:承
そこには先客がいました。有名ラッパーのミッドナイト・セダン(アーロン・ピエール)です。チャールズはセダンを警戒しますが、マドックスは有名人と会えて大はしゃぎです。
姉弟が幼いカーラといっしょに遊んでいると、トレントのそばにいきなり全裸の女性の死体が流れてきました。
それはホテルの宿泊客で、ゆうべ泳ぎに出てから戻るのをずっと待っていたとセダンは言います。死体を砂浜に横たえるとチャールズはセダンを疑いますが、本人は「オレじゃない!」と反論します。
そこへもう一組、あのてんかんの女性パトリシア(ニキ・アムカ=バード)とその夫ジャリフ(ケン・レオン)がやってきました。状況を知ったジャリフは電波の届くところで電話を掛けようと、もと来た道を引き返していきます。しかし岩の間で急に圧力がかかったように頭が重くなり、気がつくと浜に戻って気絶していました。
チャールズは具合の悪くなった母親を診ていましたが、そこへプリスカがやってきて「息子が変なの」と訴えます。チャールズがその場を離れると、まもなく母親は亡くなってしまいました。
姉弟と話していたパトリシアとジャリフは、彼らが実年齢よりだいぶ大人びていると感じていました。そこへプリスカが子どもたちを見なかった?とやってきます。目の前の姉弟を見て驚くプリスカ。ふたりは別人のように成長していたのです。トレントはあまり気にしていない様子で、向こうの山の上でなにか光ったとマドックスに話しています。
セダンを敵視しているチャールズはいきなりナイフで切りつけます。あわてて集まってきた皆の前でセダンの傷はみるみる治っていきます。病気療養のためここを訪れたというセダンは、死体の彼女とはホテルで知り合い彼女も病気だったといいます。すると今度は犬が死んでいる、と叫ぶ声がしました。
パトリシアが「集まって」と声を掛け、ここにいる人々の共通点が<病気>ではないかと推測します。プリスカの腫瘍は3cm位だと本人は言いますが、それよりだいぶ大きくなっているようです。そのまま気を失ったプリスカ。これ以上大きくなったら危険だと判断したチャールズは夫のガイに決断を迫ります。
迷った末、酒とナイフだけで緊急手術が始まりました。腹部につけたナイフの傷はあっという間にふさがってしまいますが、協力して傷口をひろげながら摘出した腫瘍はメロン位の大きさに成長していました。ガイの勇気によって命を救われたプリスカはやさしくほほ笑むのでした。
セダンが最初の死体を確認するとそれは白骨化していました。博物館に勤めているプリスカは7年ほど経過している状態だと判断します。ここでは時間が異常な速さで進んでいるということが明らかになり、それは30分で1年が経つ計算になります。
大人たちが騒いでいたころ、ティーンエイジャーになっていたトレントとカーラはテントの中で結ばれてしまいます。しばらくしてふたりがテントから出てくると、成長したカーラは妊娠していました。慌てる両親たちの前でカーラは産気づき、パトリシアの協力で出産は成功するも急激な成長速度に耐えられず赤ちゃんはすぐに死んでしまいます。
クリスタルは混乱し逃げようとして気絶、マドックスが寄り添っています。男たちはこの崖の岩が原因なのではないかと推測しますが解決策は見つかりません。そんな中、チャールズは恐ろしい形相でナイフを砂に何度も突き立てています。
オールドのネタバレあらすじ:転
騒がしい声がして皆が行ってみると、チャールズがセダンに襲い掛かりナイフでメッタ刺しにしています。倒れたセダンはそのまま絶命し、ガイは恐る恐るチャールズからナイフを取り上げます。
ジャリフは妻の薬がないことを気にかけ、泳いで別の浜へ向かうと言い出します。元水泳選手だから心配ない、と力強く泳いでいってしまいました。
ガイは崖を上ろうとするトレント(アレックス・ウルフ)を止め、チャールズはうずくまって「ママどうしよう」とつぶやいていました。
プリスカは自分たちがなぜここに来たのか考えています。たしか薬のレシートの裏にあった広告をみてネット予約したはず…。
そのとき、娘のマドックス(トーマシン・マッケンジー)が離婚について聞いてきました。ガイのほかに男性がいることをプリスカが告白すると、マドックスは不快感をあらわにして母の手を振り払い、落ち着くため海へ入っていきます。
しばらく考えごとをしているとなにかが当たりました。ジャリフの溺死体です。おそらく泳ぎながら気絶してしまったのだろうとガイ。パトリシアは泣き崩れます。
トレントが赤ちゃんの遺体を砂に埋めていると、このまま何もしないで死ぬのはイヤ!とカーラが崖を上り始めます。皆がハラハラしながら見守る中、やがてカーラは動かなくなり、落下してしまいます。
姉に会いたいと騒ぎ出したパトリシアはてんかんの発作を起こし、泡を吹いて死んでしまいました。
クリスタルは娘が死んだことを知らず、「カーラ!」とその名を呼び続けています。
トレントは海に泳ぎ出そうとしますがガイに止められます。そんなガイですが、急速に目が見えなくなってきており、ぼんやりとしかあたりを認識できなくなっていました。一方プリスカは片方の耳が全く聞こえなくなっています。夕闇迫るなか、夫婦ふたりは静かに話し始めます。
プリスカの浮気を知っていたというガイ。よりによってあんな男と…と思っていましたが、いまはもうおだやかな気持ちのようです。プリスカも自分が悪かったと認め、過ちを遠い昔のことのように感じています。いま、ふたりでここにいることが幸せだと思っているガイとプリスカ。
そのころトレントとマドックスは、以前ここに来たホテルの客たちの置き土産を発見していました。そこにはこの現象を記録・考察したノートがあり、この地の磁力と岩に含まれる特殊な鉱物が影響していると書かれていました。そしてX線の要領で、さえぎる金属の筒があれば脱出できるかもしれないという結論に至りました。またそのノートにはここにいた人たちの名前と住所も残されていました。
並んで座るキャパ夫妻に向かい、ナイフを手にしたチャールズが迫っています。危険を知らせるガイの声はなかなかプリスカに聞こえず、相手が良く見えないガイは何度も切りつけられてしまいます。やっと気づいたプリスカは洞窟の中にいた子どもたちに逃げるよう伝え、再びガイの元へ戻ります。
洞窟で脱出に必要なものを探していたトレントとマドックスに、正気を失ったクリスタルが近づいてきます。姿を見られることを嫌がるクリスタルはふたりに石を投げ始めます。しかし衰えている彼女の身体は次々と関節がはずれ、のたうちまわってありえない姿へと変貌しそのまま動かなくなりました。
プリスカはガイを守ろうとして自分もチャールズに刺されてしまいます。彼女は砂の中から拾い上げた錆びたナイフでチャールズを刺し、その毒の成分がまわった彼は醜い姿となって死にました。
もうこの浜にはキャパ家の人間しかいません。月明りの下、4人は波打ち際にすわりおだやかな時間を過ごしています。夫妻はお互いに感謝しながらほほえみ、家族は寄り添います。ガイが倒れ、立ち上がったプリスカも倒れ、キャパ夫妻は子どもたちに見送られながらそこで亡くなりました。
オールドの結末
朝。すっかり中年になったトレントとマドックスはまだ脱出をあきらめていませんでした。荷物の中にイドリブからの暗号文が入っていたことを思い出したトレントはそれを解読します。
『伯父さんはサンゴが好きじゃない』
それは、この地でよからぬことが起きていると直感していたイドリブからの警告でした。サンゴが磁場の力を遮る金属の代わりになると理解したふたりは、海の中のサンゴ礁を目指して泳ぎ始めます。
その姿を山の上から見つめていたのはあの運転手でした。サンゴ礁に到達して海中に潜ったままふたりは上がってきません。運転手は1分半以上見つめていましたが、ふたりとも溺れたと理解し、「全員死亡」とどこかに報告します。
運転手が戻ってきたのは近くにあるウォーレン製薬の研究所でした。そこにはホテルのマネージャーや宿泊客担当の女性もいて、今回死亡した“治験者”たちの部屋の痕跡を消し、パソコンの履歴を削除するよう指示を出しています。
「注目!治験参加者全員に黙祷」とマネージャーが発声し、しばし全員で黙祷を捧げると今回の成果をたたえて皆で拍手します。時間のかかる治験をここでは一日で終わらせることができ、ウォーレン製薬は容易に新薬を開発していたのです。
あらたな宿泊客が到着したとの連絡が入り、マネージャーたちはホテルに戻っていきました。
トレントとマドックスはサンゴ礁の下に続く穴を通ってとなりの浜にたどり着いていました。ホテルに戻ってきたふたりは、宿泊客の中にいた警官の男に話しかけます。ビニール袋に入れて浜から持ち帰ったノートを渡し、そこに記された人たちの安否を確認してほしいと頼むトレント。
ホテルの入口で、新しい宿泊客にウェルカムカクテルが渡されようとしたその瞬間、だれかがぶつかってグラスが割れます。
「ぼくはトレント・キャパ」
「マドックス・キャパ」
ふたりはそう名乗り、カクテルを飲んだら殺されてしまうと言います。警察官の問い合わせによってノートに名前のあった人たちは失踪者となっていたことがわかり、ホテルのマネージャーたちは取り調べを受けることになりました。
その様子を不安そうにみていたイドリブに、中年となったトレントは彼からもらった暗号の手紙を取り出して見せました。
警察のヘリコプターに乗って救出されるトレントとマドックス。魔のビーチにそそり立つ崖を見ながら、彼らを待つ年下の叔母に思いをはせるのでした。
以上、映画「オールド」のあらすじと結末でした。
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