風雲のチャイナの紹介:1933年アメリカ映画。異国の地で翻弄される女性の運命を描くドラマ作品。敬虔なキリスト教徒であるアメリカ人女性ミーガンは、宣教師の婚約者ボブと結婚するため戦禍の中国へやって来た。ミーガンは争いに巻き込まれる一般人の姿に心を痛め、人助けに奔走する。しかしその混乱の中、ボブとはぐれたミーガンは負傷して気を失ってしまった。中国の軍人イェン将軍に保護されたものの、ミーガンを手に入れたいと目論む彼に監禁されてしまう。非情なイェン将軍を拒絶するミーガンだったが、次第に理想ばかりの己の未熟さに気付かされていくのだった。別題は「袁将軍の苦いお茶」「風雲の支那」。
監督:フランク・キャプラ 出演者:バーバラ・スタンウィック(ミーガン)、ニルス・アスター(イェン将軍)、ウォルター・コノリー(ジョーンズ)、ギャヴィン・ゴードン(ボブ)、ルシアン・リトルフィールド(ジャクソン氏)ほか
映画「風雲のチャイナ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「風雲のチャイナ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「風雲のチャイナ」解説
この解説記事には映画「風雲のチャイナ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
風雲のチャイナのネタバレあらすじ:異国の地へ
革命の嵐が吹き荒れる中国、上海。敬虔なキリスト教徒であるアメリカ人女性ミーガン・デービスは、婚約者ロバート・ストライク(愛称ボブ)と結婚するため中国を訪れました。人力車で結婚式場へ向かっていると、逃げ惑う人々の波に飲まれて立ち往生してしまいます。
すると突然現れた車がミーガンの車夫を轢いてしまいました。ミーガンは激怒し、車から降りて来た軍人イェン将軍に詰め寄ります。しかしイェン将軍は全く悪いと思っていない様子で、車夫のために一生懸命になるミーガンを面白そうに見ていました。
その後、式場に到着したものの、遅れて現れたボブから結婚式を延期したいと言われたミーガン。ボブは熱心な宣教師で、福祉施設に取り残された孤児達の救出を優先したいと考えたのです。人助けを信条とするミーガンは快諾し、ボブと一緒に孤児達の救出に向かいました。
銃声が鳴り響き、あちこちで火の手が上がる街の中、ミーガンとボブは必死に駅へ向かいます。何とか子ども達を人力車に乗せましたが、混乱の中ミーガンは1人ではぐれてしまいました。その上怪我をさせられて気を失います。
ミーガンが目を覚ますと、軍用列車の中でした。そばにはミーガンを保護したというイェン将軍がおり、彼の使用人マーリーが世話をしてくれています。困惑するミーガンでしたが、今は眠るように言われ静かに目を閉じました。
風雲のチャイナのネタバレあらすじ:イェン将軍の企み
翌日。見知らぬ部屋で眠っていたミーガンは、発砲音に飛び起きます。窓から確認すると、すぐ近くで囚人達が銃殺されていました。ミーガンは急いで部屋から出ようとしますが、ドアが開きません。
しばらくするとイェン将軍とマーリーがやって来て、ここがイェン将軍の館であることを説明しました。ミーガンは上海に帰して欲しいと言いますが、今は戦争中なので移動は危ないと断られます。イェン将軍はミーガンの前で常に微笑んでいましたが、彼の残酷さを知るミーガンは警戒を解きませんでした。
イェン将軍の財務顧問を務めるアメリカ人男性ジョーンズは、ミーガンが館にいることを知り、早く上海に送り返せと警告します。しかしミーガンに興味を持ったイェン将軍は、帰すつもりはないと笑いました。
一方、マーリーからジョーンズの存在を聞いたミーガンは、何か力になってくれるかも知れないと希望を抱きます。ジョーンズがイェン将軍と夕食を共にしていると聞き、再三断っていた夕食の誘いを受けることにしました。
風雲のチャイナのネタバレあらすじ:裏切り
ジョーンズはミーガンが期待していたような人格者ではありませんでした。彼はマーリーが敵方の軍人リー大尉と懇意にし、互いにイェン将軍の情報を渡していたと明らかにします。裏切りを暴かれたマーリーには死が待っていました。憤慨したミーガンは、マーリーを許すようイェン将軍に詰め寄ります。
大切なのは裏切りへの報復ではなく無報酬の愛であり、イェン将軍にもそれが出来るはずだと。イェン将軍は酷薄に笑い、ミーガンの言葉は覚悟の無い理想論だと切って捨てます。するとミーガンは激怒し、マーリーがイェン将軍に忠誠を誓う保証として、人質になると言い出しました。
マーリーが再びイェン将軍を裏切れば、ミーガンの命はありません。イェン将軍はその条件を飲み、マーリーを許すことにしました。マーリーは命を救ってくれたミーガンに感謝し、絶対に信頼に応えてみせると誓います。
そんなある夜、敵兵がイェン将軍の軍隊を襲う事件が起こりました。襲撃に遭った兵士は殺害され、イェン将軍の全財産が奪われてしまいます。急いで事件について調べたジョーンズは、マーリーが敵兵に情報を渡していたことを突き止めました。それが露見した時には、彼女は既にイェン将軍の館から姿を消していました。
風雲のチャイナのネタバレあらすじ:ミーガンの未熟さとイェン将軍の願い
事件を知ったミーガンは、自分の責任だと狼狽えます。ジョーンズは軍の離反も時間の問題だと言いますが、イェン将軍は落ち着いていました。夜、ミーガンはイェン将軍に呼び出され彼の部屋を訪れます。
襲われるのではないかと震えるミーガンの恐怖を、イェン将軍ははっきり否定しました。イェン将軍は、人を信じたために破滅した自分の人生をボブに伝えろと言います。人生は綺麗事だけでは済まないこと、ミーガンの思想は未熟であることを指摘するイェン将軍。改めてイェン将軍を追い詰めた自覚を持ったミーガンは、激しく反省します。
イェン将軍は、今夜ミーガンを殺した後自分も死ぬつもりだったと言い出しました。ただの男と女として、天国で会いたかったとミーガンを抱きしめます。ミーガンは彼の腕の中から足早に立ち去りました。
風雲のチャイナの結末:苦いお茶
館には既に部下も使用人も残っていませんでした。イェン将軍は1人静かに茶の用意をすると、毒薬を混入します。彼がそれを飲もうとすると、美しく着飾ったミーガンが現れました。驚くイェン将軍のそばに跪いたミーガンは、いつまでも一緒にいると涙を流します。
ミーガンの涙を拭ったイェン将軍は無言で茶を飲み、絶命しました。その後、ミーガンはジョーンズの手配により、上海へ向かうボートに乗り込みます。イェン将軍と過ごしたのは1週間ほどでしたが、ミーガンの心は大きく変わりました。
ジョーンズは、以前イェン将軍が言っていたことを思い出します。人間は死なない、姿が変わるだけなのだと。イェン将軍は今、彼が好きだった桜になっているかも知れないし、風になってすぐ近くにいるかも知れないと話すジョーンズ。彼の言葉にミーガンが微笑み、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「風雲のチャイナ」のあらすじと結末でした。
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