ウォーデン 消えた死刑囚の紹介:2019年イラン映画。1960年代、イラン革命が勃発する以前のイランの刑務所を舞台にしたサスペンスです。取り壊しが決まった刑務所からひとりの死刑囚が忽然と姿を消し、所長は死刑囚の行方を探すうちに自身の正義と良心を揺さぶられていくことに・・・。
監督:ニマ・ジャヴィディ 出演者:ナヴィド・モハマドザデー(ヤヘド少佐)、パリナズ・イザディアール(カリミ)、セタレ・ペシャニ(アフマドの妻)ほか
映画「ウォーデン 消えた死刑囚」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ウォーデン 消えた死刑囚」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ウォーデン 消えた死刑囚」解説
この解説記事には映画「ウォーデン 消えた死刑囚」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ウォーデン消えた死刑囚のネタバレあらすじ:起
1966年、イラン南部のとある刑務所。この古い刑務所は近くの空港の滑走路建設に伴い取り壊されることが決定していました。雨の中、刑務所では撤収作業が急ピッチで行われていました。
これまで幾多の死刑囚を処刑してきた絞首台も解体されようとしていました。刑務所のヤヘド所長は囚人の中で腕っぷしが強そうな者に新たな絞首台を作るよう命じました。
この刑務所に服役する囚人たちはバスに乗せられ、移転先の新刑務所へと送られていきました。一方、ヤヘド所長のもとに軍の大佐が訪れ、昇進を伝達しました。ヤヘド所長はその場では冷静を装いつつ、洗面所でこっそりと喜びを露わにしました。
そんな時、ヤヘド所長に移転先の刑務所から電話が掛かってきました。なんと移送された囚人の数が1名足りないということでした。このことが発覚すればヤヘド所長の昇進は取り消しになってしまうため、ヤヘド所長は手始めに看守たちを集合させ、事情を聞きました。
この刑務所は万全の管理体制を敷いており、脱獄は不可能だと自信を持つヤヘド所長はこの囚人はまだ刑務所内にいると確信。囚人の大捜索が開始されました。ヤヘド所長はマイクを通じて囚人に呼びかけ、出てきたら今までのことは不問にすると伝えました。そこに現れたのは囚人ではなく、社会福祉士のカリミでした。
ウォーデン消えた死刑囚のネタバレあらすじ:承
カリミは行方不明になった囚人・アフマドの調査のために刑務所を訪れたのです。ヤヘド所長はカリミに密かに想いを寄せましたが、カリミはアフマドは先日の控訴審で死刑が確定したことを告げました。
他の囚人の証言により、アフマドは極秘裏に靴墨を手に入れていたことが判明しました。ヤヘド所長は再び刑務所内をくまなく捜索しましたが、靴墨の黒い跡がある以外はアフマドにつながる手がかりは見つかりませんでした。
カリミは所要があるとのことで一旦刑務所を離れることにし、ヤヘド所長は用事が済んだらすぐ戻ってくるよう伝えました。その時、洗濯室では牧場主から借りている犬が吠えだし、確認したところ洗濯機の中からアフマドが飼っていたカエルが発見されました。
まだこの刑務所に残っている他の囚人の証言では、黒い人影が岩山の方に逃げて行ったとのことでした。程なくしてカリミが刑務所に戻ってきました。実はアフマドの無実を証明したいカリミは密かにアフマドを脱獄させてあげたいと考えていました。カリミはまだ刑務所内にいるであろうアフマドに呼びかけましたが、その様子をヤヘド所長に見つかってしまいました。自分がカリミへの恋に敗れたと感じたヤヘド所長は、刑務所から出ていくようカリミに告げました。
ウォーデン消えた死刑囚のネタバレあらすじ:転
その頃、刑務所の外では解体業者が今か今かと待ち構えてきました。そこにアフマドの妻が娘と共に現れました。夫がまだこの刑務所内にいると信じているアフマドの妻は解体を止めるためにやってきたのであり、ヤヘド所長は解体業者にもう少しだけ待ってもらえるよう交渉しました。
アフマドの妻は夫の無実を訴えている間、娘は忽然と姿を消してしまいました。その後、娘は人形を手に姿を表し、この人形はアフマドからもらったのではないかと考えたヤヘド所長は厳しく娘を問い詰めました。実はこの人形は看守からもらったものでした。
アフマドは一向に見つからず、途方に暮れたヤヘド所長は独房の壁に描かれた首吊りの落書きを見つめていると、独房の扉が勝手に閉まってしまい、ヤヘド所長は閉じ込められてしまいました。何とか脱出したヤヘド所長は最後の手段として刑務所内を完全封鎖し、内部に催涙ガスを流し込みました。しかし、それでもアフマドは姿を表しませんでした。
ヤヘド所長はベッドに横たわっていました。そこにアフマドの証人である老人が訪れ、改めてアフマドの無実を訴えると処刑を中止してほしいと涙ながらに訴え出ました。アフマドが飼っていたカエルはヤヘド所長の傍でひっくり返ったまま息絶えていました。
ウォーデン消えた死刑囚の結末
ヤヘド所長はアフマドの捜索を断念し、刑務所内の全員に撤退を命じました。ヤヘド所長らは複数台の車に乗って刑務所を後にしましたが、ヤヘド所長は途中で車を停止させ、岩山に隠れて双眼鏡で刑務所の門を確認しました。
一方、証人の老人を送り届けていたカリミは何かに気づいたのか、再び刑務所へと戻りました。刑務所の門の奥では人影らしきものがあり、岩山に隠れているヤヘド所長らの存在に気づいたカリミは車を門に衝突させました。人影は刑務所の奥へと消えていきました。
ヤヘド所長の前に軍の大佐が現れ、事情を聞きましたがヤヘド所長は事実を打ち明けることができませんでした。早く撤退するよう命じられたヤヘド所長が車に戻ると、そこには絞首台の設計図が置かれていました。もしかして、と勘づいたヤヘド所長はこれから廃棄処分される絞首台を載せたトラックの後を追い、カリミもアフマドの妻と娘を車に乗せて後を追いました。
トラックを停車させたヤヘド所長は絞首台の中から人の荒い息遣いがすることに気づき、当て木を1本外して中を確認したところ、何とアフマドは絞首台の中に隠れていました。追いついたカリミやアフマドの家族が見守るなか、ヤヘド所長はアフマドを見逃すことにし、そのままトラックに発車を命じました。絞首台の中のアフマドと妻の目が合ったところで映画は幕を閉じます。
以上、映画「ウォーデン 消えた死刑囚」のあらすじと結末でした。
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