黒い罠の紹介:1958年アメリカ映画。チャールトン・へストンの口利きで久しぶりにハリウッド映画に復帰したオーソン・ウェルズがその才気を充分に発揮したサスペンス・ドラマ。冒頭の長いワンショットはその後様々な映画で模倣された。
監督:オーソン・ウェルズ 出演:ラモン・ミゲル・ヴァルガス(チャールトン・へストン)、ハンク・クインラン(オーソン・ウェルズ)、ジャネット・リー、ジョセフ・カレイア、エイキム・タミロフ、ほか
映画「黒い罠」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「黒い罠」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「黒い罠」解説
この解説記事には映画「黒い罠」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
黒い罠のネタバレあらすじ:1
アメリカとメキシコの国境の町、ロス・ロブレス。誰かが仕掛けた時限爆弾が1台の車をふっ飛ばします。新婚旅行の途中だったメキシコ人麻薬捜査官ヴァルガスとその妻スーザンはそれを目の前で目撃。乗っていたのはその町の顔役リネカーと若い愛人でした。やがてクインラン刑事と他のアメリカ人捜査官が到着。ヴァルガスは自己紹介し、車に爆弾が仕掛けられたのはメキシコ領だから自分が捜査を担当すると主張します。
黒い罠のネタバレあらすじ:2
捜査に参加する夫を残してホテルに戻ろうとしたスーザン。すると、地元のヤクザ、ジョー・グランディに無理矢理引き止められます。留置場にいる彼の兄弟を釈放するよう夫に伝えろ、と言うのです。適当にあしらうスーザンですが、ホテルに戻るとグランディの手下たちが付近をうろついて監視しています。嫌がらせも相次ぐため、ヴァルガスも心配し、妻にアメリカ側のモーテルに移ってもらうことにします。
黒い罠のネタバレあらすじ:3
一方、爆破事件の捜査は進み、クインランは被害者の娘マーシャと彼女の恋人サンチェスを逮捕。アパートにあったダイナマイトを証拠としてあげますが、ヴァルガスはその場所を事前にチェックしており、クインランが自分で用意したものだと考えます。口論となる2人。もともと正義感の強いヴァルガスが気に入らなかったクインランは、グランディと協力。ヴァルガスの妻を麻薬漬けにしてしまい、麻薬捜査官としての立場を失わせようと計画します。
黒い罠のネタバレあらすじ:4
グランディの手下が、スーザンを誘拐。彼女を監禁したホテルの部屋に現れたクインランは、口封じのためグランディを絞殺します。その殺人の罪もスーザンに着せようというのです。ヴァルガスは留置所のスーザンに会いにゆきますが、そこでクインランの相棒メンジースからクインランの杖を見せられます。殺人現場にあったもので、どうやらクインランが犯人らしいのです。協議を凝らした結果、クインランを盗聴することになり、メンジースは彼を酒場から誘い出します。
黒い罠の結末
橋の上で、自分が犯人と怪しまれていることに気づいたクインランはメンジースを銃殺。跡をつけていたヴァルガスが出てきて、クインランと対決します。彼も殺そうとするクインラン。しかし、瀕死のメンジースに撃たれてしまいます。妻は容疑が晴れて釈放。夫婦は帰宅の途へ。一方、爆弾事件の容疑者であるサンチェスが罪を認めた事が判明。その点ではクインランは正しかったのでした。
アメリカとメキシコの国境近くの町で、富豪の車が爆破される事件が起き、それが麻薬事件に発展していく。
この事件の調査は、町を支配する警察官クインラン(オーソン・ウェルズ)とメキシコの麻薬捜査官バルガス(チャールトン・ヘストン)の見解の対立からもつれを見せはじめ、バルガスはクインランのでっち上げ捜査を見破るが、精神異常風なクインランはバルガスの妻(ジャネット・リー)を誘拐して殺人事件を偽装する。やがてバルガスはクインランの恐るべき正体を知ることになる。
犯罪映画をフィルム・ノワール(黒い映画)と呼ぶことがあるが、この映画「黒い罠」は、画面の暗さから物語のどす黒さまでがまさにフィルム・ノワールそのものだ。
この映画は、オーソン・ウェルズが監督・脚本・出演の三役をこなし、まさしく天才の本領を発揮した異色のサスペンス映画で、冒頭の長い、長い移動撮影は、後の多くの映画監督に影響を与えたことでも有名で、このラッセル・メティによる撮影がとにかく凝っていて、ワンショット、ワンショットがスタイリッシュで個性的で、その映像の新鮮さに酔わされてしまう。
オーソン・ウェルズは、晩年よりもさらにお腹を膨らませた巨体で登場し、モンスター的な警官を楽しみながら悠々と演じていてさすがだ。
そして、彼の情婦役でマレーネ・ディートリッヒがゲスト出演しているのも、映画ファンとしては嬉しくなってしまいます。