手錠のまゝの脱獄の紹介:1958年アメリカ映画。憎み合うもの同士が手錠につながれるという設定を用いた映画は多くあるが、その代表作といえる名作。シドニー・ポワチエがスターへと登りつめるきっかけとなった。アカデミー賞では脚本賞を受賞。
監督:スタンリー・クレイマー 出演:トニー・カーティス(ジョン・“ジョーカー”・ジャクソン)、シドニー・ポワチエ(カレン)、セオドア・バイケル(ミラー)、チャールズ・マックグロー、ほか
映画「手錠のまゝの脱獄」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「手錠のまゝの脱獄」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「手錠のまゝの脱獄」解説
この解説記事には映画「手錠のまゝの脱獄」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
手錠のまゝの脱獄のネタバレあらすじ:1
激しい雨の中、真夜中の道を走る幌をかけた車。囚人護送車です。いきなり出てきた対向車のライトのせいで運転を誤り、車は道を外れて横転。中にいた囚人2人が逃げ出します。彼らはジャクソンとカレン。白人と黒人です。2人は鎖でつながれており、別々に逃げることが出来ません。しかもジャクソンは大の黒人嫌い。彼の憎悪むき出しの態度にカレンはウンザリします。
手錠のまゝの脱獄のネタバレあらすじ:2
警察と民間人グループが協力して捜索を開始。付近は森林地帯で、隠れ場所はいくらでもあります。警察犬も使って捜索は大規模なものとなりました。ジャクソンとカレンは河を渡り、洞窟に隠れます。食料となるのは沼にいるカエル。すべての行動を共にしなければならない2人は相手のことを憎み合い、早く鎖を切って別々になりたくて仕方ありません。食料を探して近くにあった村にゆきますが、2人は住人に見つかってしまいます。おまけに住人たちは警察に知らせるより前に2人をリンチしようとするのです。しかし、1人の住民が2人に同情して手を貸してくれたため、何とか逃げ出します。危機を一緒に乗り切ってもお互いの憎悪は収まらず、2人は殴り合いに。その時、ライフルを持った子供が彼らの前に現れます。カレンが素早く銃を奪い、子供に案内させてその家へ。そこには子供の若い母親がいました。彼女は2人に食べ物を出し、器具をつかってようやく鎖を切ってくれます。早速さらに逃げようとしたところ、ジャクソンが逃亡中に負った傷のせいで発熱。逃亡に疲れたカレンもしばらくそこで休むことにします。
手錠のまゝの脱獄の結末
この母親は夫に棄てられ、子供と2人で寂しい思いで暮らしていました。ジャクソンに惹かれるようになった彼女は彼が逃亡犯であるにもかかわらず、一緒に逃げたいと懇願。一方のカレンには逃亡用の道を教えます。しかし、彼が立ち去った後、彼女はジャクソンに、あの道は流砂のせいで危険なところだ、と告げます。その冷酷な態度にジャクソンは激怒。彼女を棄ててカレンの後を追い、彼を助けます。しかし母親に冷たい仕打ちをしたジャクソンに少年がライフルを撃ったため、彼はまた負傷していました。列車に一緒に乗ろうとしても怪我のために不可能。2人そろって線路脇に倒れ込みます。捜索隊が来た時、憎悪を乗り越えた2人は捕まるというのに幸せそうに見えました。
スタンリー・クレイマー製作・監督の「手錠のままの脱獄」は、1958年度のアカデミー脚本賞、撮影賞を受賞し、同年のベルリン映画祭で、主演のシドニー・ポワチエが、主演男優賞を受賞した、人種問題をテーマにしたサスペンス映画の秀作だ。
手錠で繋がれた黒人と白人が、お互いに人種的偏見のため、葛藤しつつ逃走する。
豪雨のハイウェイで、囚人護送車が道路から転落、黒人のシドニー・ポワチエと白人のトニー・カーティスが脱走した。
彼らは手首を鎖で繋がれたまま、危機また危機の逃避行を続ける。
互いに人種的偏見を抱く二人は、憎しみ合いながらも心を通わせていく。
細かいエピソードの積み重ねと、シドニー・ポワチエとトニー・カーティスの熱演が、絶え間ない緊張感を生み出していると思う。
撮影は野外ロケを中心とし、音楽はラジオから流れるジャズとシドニー・ポワチエの歌だけという演出が、この映画のリアリティを盛り上げていると思う。