アフター・アワーズの紹介:1985年アメリカ映画。平凡な会社員の青年が、謎の美女と知り合ったのをきっかけに迷い込んだ真夜中の不思議な町。そこで出会う奇妙な人々。そして、次々と起こる不可解な出来事。なんとかして家に帰ろうともがく青年の、悪夢のような一夜を描く。巨匠マーティン・スコセッシ監督作品。カンヌ国際映画祭・監督賞に輝いた、ブラック・ユーモア冴えわたるサスペンス・コメディ。
監督:マーティン・スコセッシ 出演者:グリフィン・ダン(ポール)、ロザンナ・アークェット(マーシー)、テリー・ガ―(ジュリー)、ヴァ―ナ・ブルーム(ジューン)、ジョン・ハード(トム)、リンダ・フィオレンティーノ(キキ)、ヴィクター・アルゴ(ダイナー店主)ほか
映画「アフター・アワーズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アフター・アワーズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「アフター・アワーズ」解説
この解説記事には映画「アフター・アワーズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アフター・アワーズのネタバレあらすじ:起
ニューヨークに住む、ワープロ技師のポール。ある晩、カフェで読書をしていると、向かいのテーブルの女性が声を掛けてきました。女性は、これから彫刻家の友人の家へ行くところだと言います。ポールは、その彫刻家の作品が見たいという口実で、女性の電話番号を手に入れます。カフェから帰宅し、さっそく電話をかけたポールに、女性は「こっちへ来ない?」と誘います。女性の名はマーシー。ポールは急いでタクシーに乗り込みますが、乱暴な運転で車は暴走。ポールが握っていた唯一の20ドル札が窓からの風で飛んで行きます。目的地のソーホーに着き、ポールはお札が飛んだと運転手に説明します。怒った運転手は猛スピードで走り去りました。人っ子ひとりいない深夜の通りに、ポールはぽつんととり残されます。
アフター・アワーズのネタバレあらすじ:承
アパートに行くと、マーシーは外出中。いたのは彫刻家のキキでした。キキは、等身大の人間像を制作中で、ポールは「まるでムンクの《叫び》のようだね」と褒めます。戻ってきたマーシーは、コーヒーを飲みに行きたいと言います。深夜営業のダイナーで、別れた夫の不気味な話を聞かされ、ポールはすっかり気が滅入ってしまいました。部屋に戻っても憂鬱な気分は収まらず、マーシーに冷たく当たります。傷ついたマーシーは部屋を飛び出し、キキに泣きつきました。うんざりしたポールが部屋を飛び出すと、外は大雨。地下鉄に乗るには小銭が足りず、一軒のバーで雨宿りすることに。家に帰るタクシー代がないと聞いたトムというバーテンは、金ならやるよとレジを開けようとします。しかし、レジの鍵を家に置き忘れたことに気がついて、ポールに家から鍵を取ってきてほしいと、逆に頼んできます。タクシー代がほしいポールは同意し、トムの家に行って鍵を持ち出しました。キキのアパートの前を通ると、2人の怪しい男が車に何やら荷物を積み込んでいます。よく見るとそれはキキの彫刻。泥棒だと思ったポールが声をかけると、2人は彫刻を放り出し慌てて車で走り去りました。彫刻を担いでキキの部屋へ上がると、キキは、2人は友人で、作品を売っただけだと言うのです。拍子抜けするポール。マーシーの部屋へ入ると、彼女は眠っているようです。しかし息がありません。睡眠薬の瓶が空です。パニックになったポールはキキを呼びますが、彼女は消えていて「クラブ・ベルリンへ来て」というメモが残されています。ポールは「女性が死んでいる」と警察に電話し、アパートを飛び出します。
アフター・アワーズのネタバレあらすじ:転
トムに鍵を渡すため、バーへと走るポール。店につくと扉は閉まり、「30分で戻る」というメモが。茫然とするポールに、バーのウェイトレスが声をかけてきました。彼女の名はジュリーといい、バーの前にある自分のアパートで雨宿りすればいいと言います。マーシーの死にショックを受けているポールは、ジュリーの部屋で泣き出してしまいます。トムが店に戻ったので鍵を渡すと、店の電話が鳴りました。電話に出たトムがショックを受けています。「オレの彼女が自殺した」。それはマーシーのことでした。泣き出したトムに言葉をなくすポール。私の部屋に泊まってと言うジュリーを振り切り、外に飛び出します。するとまたもや、あの怪しい2人組が一軒の家から荷物を運び出しているのを目撃します。やはり彼らは泥棒だったのです。トムのアパートの住民たちは、見慣れないポールのことを泥棒だと勘違いし、「あの男だ!逃がすな!」と追ってきます。驚いたポールは一目散に逃げますが、ポケットに入れていたキキのメモを見て、クラブ・ベルリンへと走りました。入店したポールの目に飛び込んできたのは、大音響で踊り狂うパンク・スタイルの大勢の若者たち。遠くにキキの姿が見えましたが叫んでも聞こえず、店内で若者たちにもみくちゃにされたポールは、命からがら逃げ出します。通りに出ると、ポールを捕まえようと集結した町の人々が、ぞろぞろと歩いています。あちこち逃げ回るポールは、ゲイルという女性に出会います。彼女もまた、マーシーやジュリーと同じく不可解な言動を繰り返します。車を持つゲイルに、家まで乗せていってくれと頼み込むポール。ゲイルは承知しますが、そこへ町の人々が現れ、またもやポールは逃亡。「一体この僕が何をした?ただのワープロ技師なのに!」と絶叫します。
アフター・アワーズの結末
深夜の通りをさまようポール。眼鏡をかけた1人の男性を見つけ、電話を貸してほしいと懇願します。男性の部屋でポールは、悪夢のような今夜の出来事を一気にまくしたてました。「たった一晩の楽しみを求めただけなのに、どうしてこんな目に?」。外に出ると、またもや追手の姿が。再びクラブ・ベルリンに逃げ込むポール。若者たちは消え、テーブルに女性が1人座っています。彼女の名はジューン。店の地下にある彼女の部屋には、キキの作品とそっくりな人間像が。ジューンもまた彫刻をやると言うのです。彼女は石膏をポールに塗りたくり、像に見せかけて追手を騙そうとします。ポールは躊躇しますが、石膏で全身を塗り固められて動けなくなります。そこへ追手が下りてきました。部屋を捜索しますがポールには気づかず、店を出ていきます。安堵したポールが石膏の塊から出してくれと頼むと、ジューンはポールを石膏まみれにしたまま、部屋を出て行ってしまいます。真っ暗な部屋で途方にくれるポール。すると、誰かが部屋に忍び込んできました。あの2人組の泥棒です。彼らはポールを彫刻だと思い込み、路上にとめた車の荷台に積みました。車は走り出します。空はどんどん白み始めています。車が角を曲がった拍子に荷台のドアが開き、ポールは勢いよく道路へ転げ出ました。石膏とホコリにまみれ、ボロボロになったポールが立ち上がると、なんとそこは自分が勤めている会社の前です。入口のゲートが開ました。ポールは、吸い込まれるように建物に入って行きます。大勢の社員たちが通勤してきました。いつもと同じようにデスクへ座り、コンピュータを起動します。画面に「おはよう」の文字が点滅します。ポールはにっこり微笑むのでした。
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