母という名の女の紹介:2017年メキシコ映画。「或る終焉」「父の秘密」を手掛けたミシェル・フランコ監督が毒親と呼べる異常性を持った母、それに振り回される娘を見事に描いています。淡々と異常な事を事もなさげに普通に行動する母が何とも恐ろしく映ります。
監督:ミシェル・フランコ 出演:エマ・スアレス(アブリル)、アナ・バレリア・ベセリル(バレリア)、エンリケ・アリソン(マテオ)、ホアナ・ラレキ(クララ)、エルナン・メンドーサ(マテオの父)、ほか
映画「母という名の女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「母という名の女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
母という名の女の予告編 動画
映画「母という名の女」解説
この解説記事には映画「母という名の女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
母という名の女のネタバレあらすじ:起
メキシコのリゾート地にある別荘で、クララ(ホアナ・ラレキ)とバレリア(アナ・バレリア・ベセレル)の姉妹が暮らしていました。父は新しい女を作って出ていき、母アブリル(エマ・スアレス)ともずっと疎遠になっていて、姉妹だけで暮らしています。
バレリアは若くして妊娠していました。子供の父親は一緒に住むマテオ(エンリケ・アリソン)です。二人とも定職につかず、子の親になるという自覚がまるでないようですが、子供が生まれてくる事をとても喜んでいます。
そんなある日、時折母アブリルに連絡をとっていたクララが、今まで隠していたバレリアの妊娠を教えてしまったために、疎遠だったアブリルが帰ってくることになりました。
突然の帰宅に驚くバレリアでしたが素直に母の帰宅を喜びます。こうしてアブリルの手助けを受けながらバレリアは無事カレンという女の子を出産しました。元々親になる自覚の足りなかったバレリアだったので、泣き止まないカレンの世話を率先してすることが出来ず、結局アブリルにやってもらう事が増えていました。
父であるマテオも同様に自覚はなく我関せずでいます。娘の手の足りないところは母がフォローする。至って普通の光景ですが、この普通に見えたアブリルの行動がこのあと加速度的に異常性を増していくことになります。
母という名の女のネタバレあらすじ:承
マテオとバレリアの若すぎる夫婦には子育てはとても無理だと判断したのか、アブリルは二人に何の承諾もなくマテオの父親の元に向かい、親権を放棄させる書類にサインさせます。そして現在別の女と結婚して子供もいる元夫の所に行き、金を無心したかと思うと、元夫が利用しているハウスキーパーにカレンを預けて世話をさせようとしたのです。
カレンがいなくなった事を知ったバレリアはアブリルが勝手に養子縁組をしたことに怒りを見せ、塞ぎこんでしまいました。そのせいでマテオとの関係もギクシャクしてしまいます。そこに目をつけたアブリルは、カレンに会えなくて悲しんでいるマテオに声をかけ、カレンに会わせると話すと、カレンを世話してくれているハウスキーパーの元にマテオを連れていきました。
当然カレンに会えて喜びを見せるマテオ。しかしまた離れないといけない悲しみ、バレリアと上手くいかない不安からか泣き出してしまったマテオをたぶらかしたアブリルは、マテオと体の関係を結んでしまいます。
一旦バレリアの元に戻ったマテオでしたがバレリアの態度は相変わらず、居場所がなかったマテオは再びアブリルとカレンの所に戻ってしまいます。カレンがいなくなりマテオまで行方不明になってしまった。すっかり落ち込んでしまい塞ぎ混むバレリア。マテオからは何回か連絡がきたものの、どこにいるのか、何をしているのか全く話してくれません。
母という名の女のネタバレあらすじ:転
バレリアはマテオの行方を懸命に探し始めます。そんな中、バレリアとクララが住む家に不動産屋がやってきました。今住んでる家が売りに出されているから写真を撮りたいというのです。またアブリルは、娘達がまだ住んでるにも関わらず何の承諾もなく売りに出したのです。
信じられないバレリアは不動産屋に向かい真実を確認しますが、確かにその家はアブリルが売りに出したものでした。アブリルと連絡を取ることの出来ないバレリアは不動産屋に確認しますが、個人情報だからと教えてくれませんでした。
バレリアは、かなり遠くなりますがアブリルが家を売りに出した不動産屋の支店を訪ねます。しかし、ここでもアブリルの連絡先は教えてもらえませんでした。しかし社員から近くのヨガ教室にアブリルがよく行っていることを教えてもらいます。
そのヨガ教室に行き、しらみ潰しにアブリルを知る者を探すバレリア。しかしなかなか見つかりません。諦めかけた頃、カフェで休んでいるとアブリルとマテオがカレンを連れて歩いているのを見つけたバレリアは、後をつけて彼らが住んでいる場所を見つけました。
母という名の女の結末
再び彼らが出てくるのを待つバレリア。やがて車で出かけるのを見つけると「ママ!ママ!」と叫びながら無謀にも車を追いかけていきます。アブリルは躊躇することなく車を走らせました。
何故ここにバレリアが…。完全にパニックになったアブリルはマテオを強引に車から下ろし、とあるカフェに立ち寄りると、カレンをそこに置き去りにしたままどこかへ走り去っていきました。カレンの泣き声だけが響きます。
その後、保護されたカレンの元にバレリアはやってきました。ようやくカレンに会える…。喜ぶバレリアでしたが、父親が一緒でないとカレンは渡せないと言われてしまいます。マテオが実家に戻ったことを知ったバレリアは仕方なく地元に戻りました。
マテオに会い、もう一度一緒にやり直したいとマテオに告げ、一緒にカレンを迎えに行きます。無事カレンは引き渡され、家族三人で帰路につく空港に向かいました。飛行機を待つ空港でマテオにカレンの物を買いに行くと告げ、マテオから離れたバレリアはそのままカレンと二人タクシーに乗り込みます。
「とにかく走らせて」と運転手に告げるバレリア。呑気に「やり直せる」と思っている何も知らないマテオを置いて車は走り出します。バレリアは何かをやり遂げた満足した表情で笑顔を見せました。
以上、映画「母という名の女」のあらすじと結末でした。
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