サイゴン・クチュール(別題:仕立て屋 サイゴンを生きる)の紹介:2017年ベトナム映画。1969年のサイゴン。9代続く伝統的なアオザイ仕立て屋の娘ニュイは、ミス・サイゴンに選ばれるほど美しくスタイルもファッション・センスも抜群。しかし古臭いアオザイは大嫌い。アオザイを仕立てる母と対立していた。そんなニュイがある日突然、現代にタイムスリップ。そこにあったのは変わり果てた自分の姿と、倒産した母の店だった。取り上げ寸前の家を守るためにニュイはトップデザイナーの元で働くことを決意する。いまだ男性優位なベトナム映画界で、俳優やスタッフは女性メインで製作。ベトナムの民族衣装アオザイをテーマにポップなファッション・エンタテインメントを作り上げた。
監督:グエン・ケイ 出演:ニン・ズーン・ラン・ゴック(ニュイ)、ホン・ヴァン(アン・カイン/2017年のニュイ)、ジエム・ミー 9X(ヘレン)、オアン・キエウ(1969年のタン・アロン)、ジエム・ミー(2017年のタン・アロン)、S.T365(トアン)、ゴ・タイン・バン/英名:ベロニカ・グゥ(ニュイの母)ほか
映画「サイゴン・クチュール」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サイゴン・クチュール」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
サイゴン・クチュールの予告編 動画
映画「サイゴン・クチュール」解説
この解説記事には映画「サイゴン・クチュール」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サイゴン・クチュールのネタバレあらすじ:起
1969年のベトナム、サイゴン。
ここに9代続く伝統的なアオザイ仕立て店タン・ヌーがありました。
この仕立て屋の店主を母に持つ娘ニュイはミス・サイゴンに選出されるほど美しくスタイルもファッション・センスも抜群でした。
しかし彼女の興味は60年代の新しいモードファッション。アオザイは古臭いファッションだと嫌い、母の店を継ぐ意思はありません。そのことで母娘は常に対立していました。
跡継ぎに興味のない娘に代わって、有望なアシスタントのタン・ロアンが店を支える手助けをしてくれていました。しかしニュイと母の溝は深まるばかり。そこで母はニュイにアオザイの良さを分かってもらうために、不死鳥が描かれた美しいアオザイを仕立てニュイの部屋に置きました。
アオザイに気付いたニュイ。さすがの彼女も母が全てを込めて仕立てたアオザイの美しさに惹かれ、試着してみたい気持ちになりました。そしてアオザイを身にまとい鏡の前に立った瞬間・・・衝撃とともに2017年の世界へタイムスリップしてしまいました。
ニュイが降り立ったのは薄暗く埃っぽい部屋。しかし見慣れた風景でもありました。
なんとそこは変わり果てた我が家だったのです。そこには、ちょうどいま首にひもをかけ自殺をしようとしている女もいます。ニュイに自殺を邪魔された女は不機嫌そうににらんで言いました。「あんた誰?」丸々と太り酒浸りのこの女はアン・カインと名前を変えた未来のニュイだったのです。
サイゴン・クチュールのネタバレあらすじ:承
ニュイはアン・カインから、母親は急死し間もなく商売は倒産、従業員はいなくなりもうじきこの生家も取り上げられることが決まっていると聞かされました。あまりのショックに怒りをぶつけるニュイでしたが、アン・カインは生きる気力をなくしていました。見かねたニュイは、自分の未来の人生と生家を守るために、トアンの力を借りて家を取り返す決意をしました。
ニュイはトップデザイナーのエレンの元で働き、セレブに自分がデザインした服を着てもらうことで名前をあげようと考えました。
しかしこれまで生きていたのは60年代。エレンから時代遅れのレッテルを貼られてしまいます。それでもニュイはあきらめませんでした。
ある日のこと、なかなか顧客のデザインが決まらずイラついているエレンがアシスタントに無茶な仕事を押し付けていました。依頼主はベトナムで一番有名なセレブ。
ニュイはここぞとばかりに、アシスタントに自分が描いたデザイン画を見せ、セレブのプレゼンテーションを担うことになりました。
結果は大成功。
ニュイがデザインしたレトロカジュアルはベトナム中をかけめぐり大流行しました。
サイゴン・クチュールのネタバレあらすじ:転
この成功に嫉妬し一人浮かない顔をしているエレンは、ニュイのアオザイ嫌いを知りアオザイをデザインするよう意地悪な命令をします。
このオーダーにはニュイも困りました。母親がアオザイの仕立て屋だったにもかかわらず、作った経験もなければ教えてもらったこともなかったからです。
ニュイは早速アン・カインに相談し、協力してもらうことにしました。
ところが製作は大苦戦。ニュイは何もできないアン・カインにいら立ち怒りをぶつけました。
これにはアン・カインも腹を立て出ていき、ある場所へ向かいました。
それは母親を支え続けていた、タン・ロアンの店でした。タン・ロアンはタン・ヌーの伝統的なアオザイで今や大成功していました。
若いころは彼女に憎しみを抱いていたアン・カインでしたが、深々と頭をさげアオザイの作り方を伝授してほしいと願い出たのです。
タン・ロアンは言いました。「あなたを待っていた」と。亡くなる母親を看取ったタン・ロアンは、いつかニュイが訪ねてきたらアオザイの作り方を教えてほしいと頼まれていたのでした。
ニュイは子供のころから、忙しくて母親と一緒に過ごす時間がなかった寂しさが、いつの日かアオザイが嫌いという気持ちに変わっていったことに気付きました。
サイゴン・クチュールの結末
こうしてできた数々のアオザイは、伝統的な作り方と現代のアレンジをほどこし、どれも美しいものでした。
ニュイを貶めるつもりだったにもかかわらず、逆に注目される機会を与えてしまったことを悔やむエレンは、舞台裏へ行くとショーの最後に呼ばれるデザイナー名をニュイからエレンチームへ変更するよう命じていました。目撃したトアンは咎めましたがエレンは何も言わず出ていきました。
そしてショーは始まりました。
会場にはアン・カインやタン・ロアンの姿もありました。
素晴らしいアオザイの数々にニュイは心から満足していました。そして最後のデザイナー紹介・・・呼ばれたのはエレンではなくニュイでした。
ステージで挨拶を終えると「最後に感謝を伝えたい人がいます」とニュイはエレンを紹介しました。たくさんの拍手喝采の中、ショーは無事終わりました。
1969年へ戻ったニュイ。
これまでと同じように元気な姿で仕事をしている母を見て、安心の表情を見せました。
ニュイは自分が仕立てたアオザイを母親にプレゼントしました。
そこにはこれまでにない幸せそうな母娘の姿がありました。
以上、映画「サイゴン・クチュール」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する