北国の帝王の紹介:1973年アメリカ映画。冷酷非情な体制を体現する貨物列車車掌であるアーネスト・ボーグナインに反体制で個人主義のホーボー、リー・マーヴィンが無賃乗車を挑む戦いに、キース・キャラダインの日和見主義者の若者がからむ異色のアクション映画。
監督:ロバート・アルドリッチ 出演者:リー・マーヴィン(A-No.1)、アーネスト・ボーグナイン(シャック)、キース・キャラダイン(シガレット)、チャールズ・タイナー(クラッカー)、マルコム・アタベリー(ホガー)、ハリー・シーザー(コーリー)
映画「北国の帝王(1973年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「北国の帝王(1973年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
北国の帝王の予告編 動画
映画「北国の帝王(1973年)」解説
この解説記事には映画「北国の帝王(1973年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
北国の帝王のネタバレあらすじ:起・シャックの19号
1933年。アメリカは大恐慌のさなかだった。ホーボーと呼ばれる浮浪者が職を求めて鉄道に無賃乗車して国の中を移動し続けていた。だが、一人の鉄道員、貨物列車の19号の車掌シャックは彼らの撲滅に異常な情熱を傾けていた。彼はホーボーを見つけると汽車からハンマーで冷酷に叩き落し、ホーボーの命を気にかけることはなかった。
シャックをも出し抜けるホーボーと言えば、Aナンバーワンだけだった。ある日、Aナンバーワンのニワトリを盗もうとして失敗したシガレットという若者が、Aナンバーワンの後について19号の同じ貨車に飛び込む。シガレットの姿を見たシャックが貨車の上から鍵をかけたためにAナンバーワンもシガレットも閉じ込められるが、Aナンバーワンが貨車の牧草に火をつけて貨車の板張りの壁を燃やして脱出に成功する。それがAナンバーワンとシガレットの出会いだった。
北国の帝王のネタバレあらすじ:承・19号への挑戦
鉄道労働者たちにつかまったシガレットが自分の力で19号に乗ったと吹聴していることがAナンバーワンに伝わる。彼は自分こそが「北国の帝王」――ホーボーの第一人者――であることを仲間のホーボーたちに示すために、「Aナンバーワンは19号でポートランドへ」というシャックへの挑戦のことばを給水塔に書かせる。鉄道労働者たちはこの話を電話や電報で広め、シャックが勝つかAナンバーワンが勝つか賭けを始める。威張り散らすシャックをほとんどの労働者は嫌っていた。
朝もやの中19号が、Aナンバーワンが乗り込めないように全速力で走り出す。しかしホーボーたちがポイントを動かして19号を支線に送ってしまう。シャックたちが郵便列車との衝突を避けようと大わらわのうちにAナンバーワンは平台型貨車に積まれたパイプの一つの中に隠れた。ところが、朝もやが消えた時に、シガレットも別のパイプに隠れていることに気づく。
北国の帝王のネタバレあらすじ:転・Aナンバーワンに学ぶ
シガレットが目覚めると崖にかかる橋の上で汽車は停車し、シャックはAナンバーワンを探し始めていた。シガレットがパイプから出て辛うじて橋脚を伝って逃げると、Aナンバーワンは既に崖下のゴミ捨て場で休んでいた。
Aナンバーワンの拒絶にも関わらず、シガレットは彼についてくる。徐行する19号の貨車の下にAナンバーワンが、続いてシガレットが潜り込む。シャックはロープに結んだ鉄棒を線路の間の地面ではねさせる。鉄棒が体にぶつかる痛みに苦しむシガレットを助けてAナンバーワンは貨車の屋根へ上がろうとするが、二人とも汽車から落ちてしまう。
A・ナンバーワンは油の空きカンを集めて、底に残っていた油を線路に塗り始める。シガレットもそれにならう。油のせいで一時停止した客車の屋根に二人は乗り、19号車に追いついて駅で降りる。
A・ナンバーワンとシガレットは盗んだニワトリをみやげにホーボーの仲間たちの元に身を寄せる。A・ナンバーワンはシガレットに一人前のホーボーになるための道を諭すようになる。そして再び給水塔に「Aナンバーワンは19号でポートランドへ」という文が描かれた。シャックは不敵な笑みを浮かべてそれを見る。
北国の帝王の結末:最後の戦い
今度はあえて、Aナンバーワンが乗りやすいように、シャックは通常の速度で機関車を走らせるように機関士のホガーに指示する。貨車の下に潜り込んだ二人を、シャックは再びロープに結んだ鉄棒で撃退しようとする。今回はAナンバーワンに鉄棒がぶつかる。しかし、苦しむAナンバーワンを前にしながら、シガレットは助けようとしない。やむなくAナンバーワンはブレーキのバーを足で動かして汽車を急停車させる。そのせいで機関助手のコーリーは大やけどを負い、補助車掌のクラッカーは首を折って死んでしまう。一方、川で傷の応急治療をしているAナンバーワンに対してシガレットは、これからはおれが北国の帝王だと大口をたたく。
改めて発車した19号でシャックは、貨車をよじ登るシガレットを見つけ、ハンマーをもって列車の最後尾に追いつめる。そこでAナンバーワンは俺が相手になると怒鳴り、最後尾の屋根なし貨車にシャックを押し倒す。屋根なし貨車の上で鎖を手にしたシャックと、角材を手にしたAナンバーワンの死闘が始まる。最後はAナンバーワンがマサカリを手に取りシャックは角材を手に取る。Aナンバーワンはシャックに傷を負わせて車から突き落とした。シャックはなおも列車に向かってののしり声を上げる。
これを見たシガレットは再び大口をたたく。ただし今度は、二人で組めば何でもできると。彼をAナンバーワンは川に投げ落とす。Aナンバーワンは遠ざかる列車からシガレットに叫ぶ。「お前はホーボーの器ではない。北国の帝王にはなれない。線路に近寄るな」。
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