私は死にたくないの紹介:1958年アメリカ映画。絶望や死刑の恐怖にさらされる実在の死刑囚を演じたスーザン・ヘイワードが5度目のノミネーションで初のアカデミー賞主演女優賞を手にした。原作はバーバラ・グレアム自身の手紙とモンゴメリー記者の記事で、グレアム冤罪説の立場に立つ作品。監督は数年後に『ウエスト・サイド物語』や『サウンド・オブ・ミュージック』を手がけることになるロバート・ワイズ。作曲家/編曲家のジョニー・マンデルが初めて映画音楽を手がけた作品でもある。映画の冒頭シーンではジェリー・マリガン、アート・ファーマーらがジャズバンドを組んで演奏を披露している。
監督:ロバート・ワイズ 出演:スーザン・ヘイワード(バーバラ・グレアム)、サイモン・オークランド(エドワード・モンゴメリー)、ヴァージニア・ヴィンセント(ペグ)、セオドア・バイケル(カール・パームバーグ)、ウェズリー・ラウ(ヘンリー・グレアム)、フィリップ・クーリッジ(エメット・パーキンス)、ルー・クルーグマン(ジャック・サント)、ほか
映画「私は死にたくない」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「私は死にたくない」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「私は死にたくない」解説
この解説記事には映画「私は死にたくない」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
私は死にたくないのネタバレあらすじ:起・身に覚えのない罪状
売春等の罪を重ねてきた激しい気性のバーバラは、強盗をはたらいた男友達のアリバイ作りのために偽証をして刑務所に入れられる。5年の保護観察期間サンフランシスコを出てはならないという条件で釈放されるが、サンフランシスコを飛び出してしまう。
だが、エメット・パーキンスとジャック・サントの悪事を手伝って一儲けした後、バーテンダーのヘンリー・グレアムと結婚した。落ち着いた主婦の暮らしにあこがれるようになったからだ。そして男の子ボビーをもうけた。
しかし、賭け好きの治らないヘンリーを口論の末追い出す。それでも借金取りに追われ、パーキンスとサントの元に身を寄せる。彼らも警察に追われる身で、バーバラは赤ちゃんをヘンリーの母親に預けてパーキンス、サントの逃亡につきあう。そして警察はバーバラを尾行してパーキンスとサントの隠れ家をみつけて取り囲む。
パーキンスとサントに続いてバーバラは、ボビーのおもちゃの小さなトラのぬいぐるみをもって、モンゴメリー記者ややじ馬の見る前で警察に投降する。モンゴメリーは「血まみれバーバラ」という見出しを考える。
警察でバーバラは自分に、1953年3月9日の夜にパーキンス、サント、それにもう一人キングという男と共にモナハン夫人を殺害した容疑がかかっていることを知る。モナハン夫人は全く知らない女性である。しかし刑事たちはバーバラを犯人と決めてかかり陳述書へのサインを迫る。
私は死にたくないのネタバレあらすじ:承・検察側の罠
モナハン夫人が殺されたときにバーバラは家にいたが、それを証言する人がいなかった。弁護士のティブローからアリバイの証人がいないと勝てないと言われたバーバラに殺人罪で収容されているリタという女が近づいてくる。
金を出せばリタの友だちのベンが偽の証人になってくれるだろうと言うのだ。やがて面会に来たベンとバーバラは相談して話を決める。だが、ベンはなぜかしつこく、本当は殺したのだろうと話を向けてきた。
裁判が始まる。バーバラはベンが検察側の証人として出廷するのを見て驚く。ベンは警察官で、バーバラと面会した時の会話を録音していた。罠にかけられたのだ。バーバラに嘘をつかれたティブローは弁護から手を引こうとする。
やがて、検察に協力したキングをのぞき、バーバラ、パーキンス、サントに有罪が宣告される。
私は死にたくないのネタバレあらすじ:転・新しい味方
売春婦時代の仲間で今は工員と結婚して堅気の暮らしをしているペグが逮捕以来バーバラの味方になっていた。ペグは拘置所にボビーを連れてきてバーバラは久しぶりに坊やと会えた。しかし弁護をティブローから引き継いだマシュー弁護士による再審の申請が却下されバーバラに、パーキンス、サント同様に、死刑判決が下りる。
コロナ女囚刑務所に移され、サンクエンティン刑務所で刑が執行されるまでそこで過ごすことになる。判決を受けてバーバラは、陪審員に悪影響を与えたモンゴリーを始めとする記者たちに皮肉を言うが、モンゴメリーはバーバラを無実と思うようになっていた。
コロナ刑務所にマシューは心理学者カール・パームバーグを連れてくる。バーバラにテストをしたパームバーグは肉体的暴力を嫌悪する彼女は殺していないと確信する。そしてバーバラは左利きであることに気づく。
キングはバーバラが右手で銃を使ったと証言していたのだ。パームバーグは、赤ん坊をかかえる母親が共犯者だと同情を買いやすいと思ってパーキンス、サントがバーバラを共犯者と主張したと推測する。
モンゴメリーはバーバラにインタビューし彼女に好意的な記事を書いた。だがそれでもマシューが準備した上訴申請は却下され12月3日という処刑日が決まる。処刑4日前にボビーを連れて面会に来たペグを前にバーバラは息子が不憫だと泣くが、そこに連邦最高裁が処刑の延期を決めたという連絡が来る。
しかしそれもつかの間の安心で、絶望するバーバラを慰めていたパームバーグが病死し、最高裁はバーバラの嘆願を却下して6月3日が新しい処刑日となる。
私は死にたくないの結末:処刑を前に
処刑日前日、サンクエンティン刑務所に移送されるバーバラの乗る自動車にマスコミややじ馬が群がる。サンクエンティンではやはりバーバラという名の看護師と、もう一人年配の女性が独房に付き添った。
刑吏(刑を執行する役人)たちは念入りにガス室の準備をする。いつ知事からの執行中止の電話がかかってもいいように電話がすぐ近くに置かれる。バーバラは訪問してきた神父に、(死んで)モナハン夫人と会えるのは素敵だわと言う。彼女だけが無実を証明してくれるから。
深夜もマシューとモンゴメリーはバーバラの命を救うべき最後の努力を続けた。死刑執行は2度延期され、執行を待つ間にバーバラはずっと持ち続けていたボビーのおもちゃの小さなトラのぬいぐるみを看護師のバーバラにあげた。
だが結局午前11時30分に死刑が執行される。バーバラはガス室を囲む記者たちを見ないように目隠しの黒いマスクを借りて、刑吏と神父に手を引かれてガス室に入る。扉が閉じられガスが充満し始め間もなくバーバラは動かなくなる。
全てが終わった後、刑務所にかけつけたマシューはモンゴメリーに彼宛てのバーバラからの最後の手紙を渡す。
以上、映画「私は死にたくない」のあらすじと結末でした。
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