フレンチ・スタイルでの紹介:1963年アメリカ映画。『舞踏会の手帖』『肉体の悪魔』『フレンチ・カンカン』等のカメラマンであるミシェル・ケルベが白黒で撮影した霧深いセーヌ河岸にイーゼルを立てるクリスティーナ。19才の彼女はシカゴからパリにやってきた。しかし大画家の夢は遠ざかっていく。モデルとして華やかな暮らしに触れ、男性遍歴だけが重ねられていく。演じるのは、クリスティーナ同様アメリカ中西部出身の『悲しみよこんにちは』『勝手にしやがれ』のジーン・セバーグ。赤狩りでハリウッドを逐われた後パリで生活したアーウィン・ショーが自作の二篇の短編小説に基づいて脚本を書きプロデューサーも務めた。アーウィン・ショーの親友だったロバート・パリッシュは子役として映画の仕事を始め、アカデミー賞編集賞を受賞してから監督に転じたが、ジョン・フォード等の先輩映画人の思い出をつづった回想録の著者としてむしろ有名かもしれない。サンフランシスコの医師を演じるジェームズ・レオ・ハーリヒーは『真夜中のカーボーイ』の原作者。『007 サンダーボール作戦』のクローディーヌ・オージェが写真家のギリシア人の恋人の役で出演している。
監督:ロバート・パリッシュ 出演者:ジーン・セバーグ(クリスティーナ・ジェームズ)、スタンリー・ベイカー(ウォルター・ベドーズ)、フィリップ・フォルケ(ギー)、アディソン・パウエル(クリスティーナの父)、ジェームズ・レオ・ハーリヒー(ジョン・ヘイスリップ)ほか
映画「フレンチ・スタイルで」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フレンチ・スタイルで」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
フレンチ・スタイルでの予告編 動画
映画「フレンチ・スタイルで」解説
この解説記事には映画「フレンチ・スタイルで」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
フレンチ・スタイルでのネタバレあらすじ:起・パリの最初の恋
19歳のクリスティーナは、シカゴから絵の勉強をするためにパリに来た。男子禁制のアパートに住み、アトリエで絵を描く日々を送っている。
ある個展に行くが、人でごった返していて中に入れないでいると、一人の若者が「こんな絵は見る価値がない」と言う。「あなたは批評家?」と聞くと、「画家の弟だ」と答える。何にでも歯に衣を着せない、ギーという21歳のその若者とクリスティーナはたちまち親しくなる。
だが、3か月後、ギーが「僕たちは恋人同士になろう、友達が旅行中不在のアパートを貸してくれる」と言う。クリスティーナは「急すぎるわ」と言い、一線を越えることをためらう。
ある日、一人の中年男性がアトリエに現れる。アトリエのある建物の大家の男爵である。クリスティーナの絵を気に入ったので画商に紹介すると言う。後で画商を訪れたクリスティーナは、男爵が彼女の絵を二枚買ったことを知る。そしてその晩、男爵の屋敷のディナーにクリスティーナは招待される。
クリスティーナと芝居に行く予定がキャンセルされたギーは、魂胆の見え透いた男の家に呼ばれることに反対するが、クリスティーナはディナーに出かける。だが、他の盛装の招待客の中で、セーターのクリスティーナは浮いている。他の招待客は彼女に話しかけもしない。失望したクリスティーナは電話を借りてギーを呼び出す。
バイクで彼女を迎えに来たギーとクリスティーナは安ホテルに行く。寒い部屋で服を脱いで二人がベッドに入った後、怖気づいたギーはクリスティーナに、自分は16歳の高校生であることを白状する。本当の年を言えば相手にされないから嘘をついたのだった。
フレンチ・スタイルでのネタバレあらすじ:承・新聞記者ウォルター
クリスティーナはモデルとして収入が得られるようになる。パリに来て4年が経った。その間に多くの男たちと付き合った。彼女の最新の恋人は新聞記者のウォルター。
ある晩、クリスティーナは、ウォルターと待ち合わせたレストランから、軍服姿のギーが出てくるのに出くわす。久しぶりに再会したギーから、イギリス人のフィアンセを紹介される。兵役が終わったら結婚すると言う。
レストランに入ると次々と知人とキスを交わして、なかなかウォルターの席まで来られないクリスティーナ。ウォルターに「フレンチ・スタイルでハローと言っているだけよ」と言う。ウォルターは世界を忙しく飛び回り暇にしていることがない。だから女たちにとっていつも新鮮なのが魅力だが、その生活ゆえに元妻は彼の元を去った。明日も彼はトリポリに取材に行くと言う。
フレンチ・スタイルでのネタバレあらすじ:転・父が来る
シカゴからやって来た父と4年ぶりに会う。さっそく父を、歴史教師の父の目には退廃的に見えるかもしれないパーティーに連れていく。クリスティーナが元恋人の写真家ビリーのために即席でモデルを務めている間に、父は娘の生活をパーティーに来ていた女性から教わる。
パーティーの帰りに、父は何人男がいたのか娘に訊く。クリスティーナは「2,3人」と答える。「でも、恋とは違った」とも言う。今恋をしているから違うことがわかるのだと。
父はクリスティーナの絵を見て、だんだん悪くなっていると指摘し、クリスティーナもそれを認める。パリが娘にふさわしい場所とは思えない父はシカゴに帰ることを勧めるが、娘は承知しない。ちょうどウォルターから電話があり、休暇が出たので南仏に行こうと誘われ、父をパリに残して旅立った。
ヨットの上で世界から隔絶された束の間の静かな時間を過ごす。ウォルターは世界各地で様々な女と付き合ってきたが、クリスティーナは彼にとって特別な存在になっていた。しかし、電報を受け取ったウォルターは空港でクリスティーナと別れてカイロへ飛び立った。
フレンチ・スタイルでの結末:クリスティーナの選択
クリスマスシーズンが来た。クリスティーナはウォルターがフランスを離れて以来アパートに閉じこもっている。そんな彼女の部屋にビリーがやってきて、社交生活に引き戻す。
3カ月ぶりにフランスに戻ったウォルターが空港からクリスティーナに電話をかけ、カフェで待ち合わせる。ブロンドにしていた彼女の髪がナチュラルな色になっていた。ウォルターはそこでアメリカから来たヘイスリップ医師を紹介される。
ウォルターと二人きりになったとき、クリスティーナはヘイスリップと結婚してサンフランシスコで生活することを告げる。平凡で安定した生活を選んだクリスティーナを残して、ウォルターは店を出て街へ歩き去るのだった。
以上、映画「フレンチ・スタイルで」のあらすじと結末でした。
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