僕がいない場所の紹介:2005年ポーランド映画。孤児院から母親のいる町へ帰ってきたクンデルは母親に新しい恋人がいる事を知る。そんな彼は同じく居場所のない少女と出会う。
監督:ドロタ・ケンジェジャフスカ 出演:ピョトル・ヤギェルスキ(クンデル)、アグニェシカ・ナゴジツカ(クレツズカ)、バジア・シュカルバ、エディタ・ユゴフスカ、パヴェウ・ヴィルチャック、ほか
映画「僕がいない場所」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「僕がいない場所」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「僕がいない場所」解説
この解説記事には映画「僕がいない場所」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
僕がいない場所のネタバレあらすじ:起・母のいる街へ
孤児院に馴染めないクンデルは、ある日、施設を抜け出して母親のいる町へ。川で船を運航している船長は、彼をおかえりと言って迎え入れるが、母親の事は知らないと言った。船を降り、町へ行こうと言うクンデルに、船長は行く場所がなければここへ来なさいと声をかけた。 母親のアパートへ行くと、彼女は他の男とベッドで寝ていた。アパートを去ろうとしたクンデルに気づいた彼女は、一人きりは寂しい、誰かに愛されたいのだと彼に許しを乞うが、彼女を噛んで出て行った。町では、「ヤツ」が戻ったとたむろしている子供たちに追いかけられ、頼みの船乗りは女性を船へ招いており、仕方なくクンデルは河畔に止めてあった無人船で寝泊まりをすることにした。そこからは川縁に住む裕福そうな家が見えた。 翌日、クンデルはバーへテレニャおばさんを訪ねたがすでに故人となっており、料理人とウェイトレスは、彼の母親が乱れた生活をしていることを笑っていた。
僕がいない場所のネタバレあらすじ:承・生きていくために
クンデルはアパートの地下室で自分が赤ん坊の頃持っていたオルゴールを拾い、ショーウィンドウを割り食料を手に入れた。船の窓からは川縁の家が庭でパーティーをしているのが見えた。川縁に住む姉妹の一人、クレツズカは何度か船を覗きにやってきた。そんな彼女をよそに、クンデルは鉄くずを集めては売り、施しを受けるまいとバーでお金を払ってスープを食べた。その帰り、母親がアパートの中庭で他の男や子供とパーティーをしているのを、塀から覗き見た。 ある夜、酔っぱらったクレツズカが、クンデルの船に入って来た。酒臭いと言うと、君も臭うと言い返され、翌日クンデルは溜池で身体を洗った。 その日も鉄くずやガラクタを探しに行ったが、たむろしていた子供が煙草とシンナーを吸っているのを見つけ、逃げた。せっかく見つけた鉄の球は零れてしまい、一粒しか持ち帰れなかった。
僕がいない場所のネタバレあらすじ:転・居場所を探す二人
クレツズカの姉が船へ見に来たので、訪ねると、クンデルがこの船にいる事は知っているが父親はそれを無視していると答えた。そして酒を飲む女は嫌いだと言うと、姉のように可愛くない自分が嫌いだから酒を飲むのだと答え、クンデルにキスをねだった。キスの代わりに銀色の球をあげると、もう二度と来ないと言って彼女は出て行った。それから、クレツズカはビニール袋にパンといらなくなった電池を入れて家の柵にひっかけておいてくれるようになった。クンデルはそのパンを食べ、電池を鉄くずと一緒に売った。バーで母親を見かけた日、鉄くず屋に行くと、先客の男性がクンデルの母親に用があるから行きたいと言った。その日はお金はないが子猫なら上げると言われたが、飼えないクンデルが触るだけにとどめた子猫は、後で川に捨てられた。船の暖炉をつけラジオを聞いていると、クレツズカがやってきた。クンデルは詩人になりたいのだと言って彼女の将来の夢を聞きき、売れ残り(オールドミス)になりたいと答えたクレツズカに、白縁のサングラスをあげた。彼女はクンデルを家に入れ、自宅のお風呂に入らせたが、途中で姉が来たので、窓からクンデルは逃げた。 岸にもやう綱を解くと船が離れることを知ったクンデルは、たむろす不良の子供たちに追いかけられ船を見つけられた夜、クレツズカに、一緒に船でここから逃げないかと誘った。
僕がいない場所の結末:母との決別
母親のアパートへ行くと、来るはずの彼が来ないから二度と来ないでと言われ、アパートを出ようとすると、やってきた鉄くず屋で会った男性に、お前の母親と寝たと追い打ちを掛けられてしまう。そのまま川でオルゴールを落とし自分も入水しようとしたが、できなかった。クレツズカの父親は、クンデルが川縁で焚火をしているのを見て、服を乾かしているだけだと知ると、火の始末だけはしろと怒鳴った。翌日、母親のことがショックで起きれないクンデルは、やってきたクレツズカに、母親に嫌われ、死のうとしたことを告白した。誰にも愛されないと言うと、私がいると言う彼女に、一緒に明日遠くへ行こうと約束した。翌日いつものように翌日パンを取りに行くと、窓から見ていた姉がどこかに電話を掛けた。パンの中に入っていた、ダイスキと書かれたメモを銀が見に包ん持っていると、クンデルは身元不明の少年として確保されてしまった。クレツズカは姉にヘッドフォンをつけられソファで飛び跳ねて彼の叫びは聞こえず、父親は無関心を決め込んだ。 連れて行かれた場所でクンデルは僕は僕と答えた。
以上、映画「僕がいない場所」のあらすじと結末でした。
クンデルは、居場所のあるはずだった孤児院からわざわざ自分の居場所のなくなってしまった母親の元を訪ねる。施されるくらいなら盗んででも食つなぐ彼らしい選択だと思う。最後にクンデルは名前を聞かれて「僕」と答える。母親に拒絶された少年の、自分を支えるのは自分だと決意した少年の一つの着地点だと思う。