人生に乾杯!の紹介:2007年ハンガリー映画。ハンガリーの高齢者の生活をユーモアも交えて描く人間ドラマ。旧ソ連時代、運命的な出会いで結ばれたエミルとヘディは老夫婦になっていた。年金生活は苦しく、ある日二人の思い出であるダイヤのイヤリングを手放してしまう。翌日エミルが起こした郵便局強盗をきっかけに、夫婦は悠々自適な強盗犯として逃避行を続ける。二人の行動はやがてハンガリー社会を動かすほど大きな影響となっていく。
監督:ガーボル・ロホニ 出演:エミル・ケレシュ(エミル)、テリ・フェルディ(ヘディ)、ユーディト・シェル(アギ)、ゾルターン・シュミエド(アンドル)、ジョコ・ロシック(ドン・ホアン)ほか
映画「人生に乾杯!」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「人生に乾杯!」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
人生に乾杯!の予告編 動画
映画「人生に乾杯!」解説
この解説記事には映画「人生に乾杯!」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
人生に乾杯!のネタバレあらすじ:起
旧ソ連の公用車チャイカの運転手であるエミルは家財を押収するため、共産党員とある屋敷の捜索を始めます。エミルが屋根裏へ行くと、屋敷の令嬢・へディがいました。へディはエミルにイヤリングを握らせ、エミルは彼女を逃がします。それが何十年も連れ添う老夫婦の出会いでした。
時は流れ、年金生活を送る老夫婦・エミルとヘディに財産差押えの危機が迫ります。エミルの大切な蔵書が狙われますが、ヘディは代わりに思い出のイヤリングを督促人に渡します。
その夜、エミルは駐車場でチャイカを手入れし車を走らせ、その足で翌朝ある郵便局で強盗を行います。なんと受付の女性以外犯行に気づかず、難なく強盗に成功してしまいました。
同じ頃、警察官・アンドルは単独行動とストリッパーと羽目を外したことが職場で発覚、職場の恋人・アギにも振られていました。そんなアンドルのもとに交通違反の取締中、郵便局強盗の知らせが入ります。その頃エミルはガソリンスタンドで強盗を起こしていました。
人生に乾杯!のネタバレあらすじ:承
ガソリンスタンドから通報が入った後、アンドルは正式な捜査官として上司兼元恋人のアギと共に捜査することになります。現場の防犯カメラに銃を構えた老人が映り、古い車種のタイヤ痕が残っていました。タイヤ痕は取締中に見かけたチャイカを彷彿とさせます。アンドルはチャイカのナンバーを特定、強盗犯はエミルであることを突き止めました。アンドルとアギはヘディを訪問し、捜査協力を依頼しているとエミルから翌朝鉱山まで迎えに行くとの電話が入ります。
翌朝、へディは覆面タクシーで鉱山に到着し、その跡をアンドルとアギが追います。エミルとヘディは数日ぶりの再会を果たし、薄れかけていた愛情を再確認し鉱山から逃亡します。アンドルとアギは追いかけようにも砂地の急斜面でうまく動けません。元運転手・エミルとチャイカの性能は色褪せることなく、颯爽と急斜面を走り去るのでした。
2人は次に銀行と、ヘディのイヤリングを取り戻すため宝石商を狙います。
人生に乾杯!のネタバレあらすじ:転
二人は、なんなく宝石商でイヤリングを取り戻し、エミルはヘディに大きなテディベアをプレゼントしました。その後ホテルのスイートルームで優雅なひと時を過ごします。
その頃、ホテルのフロントマンは指名手配のニュースを見て警察へ通報していました。アンドルはひとり勇んで駆けつけますが、老夫婦はすでに非常口から逃亡していました。
老夫婦は次に旧友ドン・ホアンの元を訪れます。ホアンは過激なキューバ人で、家の周りを塀で囲み、バリケード付きのバスまで持っているほど。老夫婦はホアンと3人で現金輸送強盗に成功しますが上手くいかず、気まずい雰囲気になります。
さらにホアン地域の要注意人物だったため、すぐに警察に家を包囲されてしまいました。3人はバリケード付きのバスで逃走しますが、その時現場に居合わせたアギをはねてしまいます。介抱するためアギをバスに乗せるも、人質を取ったように見えていました。
老夫婦の犯行は連日ニュースに取り上げられていました。しかし街の声は2人を好意的に捉えます。特に年金受給者はヒーローのように扱い、年金制度の改善を求める動きになります。老夫婦の逃亡劇は社会を動かしつつありました。
度重なる失敗で停職中のアンドルは、ニュースでアギが人質になったこと、老夫婦の一人息子が30年前軍用トラックに轢かれ亡くなっていたことを知り、急いで老夫婦の自宅へ向かいます。手がかりとなりそうな“ヴィーグテレクにて”と記された息子の写真を見つけ、急いで道路封鎖予定の場所に向かいます。現場ではチャイカと囮のホアンを確保していました。
老夫婦はバスで逃げ去り、ヴィーグテレクのキャンプ場にいました。へディはアギの看病をしますが、アギの警戒心は抜けません。そのうち警察のヘリがキャンプ場に追いつき、周囲は徐々に警察に封鎖されていました。
しかし夫婦は諦めません。アギの身柄と引き換えにチャイカを取り戻し最後の逃避行をします。
森の中で解放されたアギは警察に保護され、道路封鎖が再開されます。やがて、森から猛スピードのチャイカが現れますがスピードは一向に衰えません。あっという間にロードローラーに突っ込み、チャイカは老夫婦もろとも大炎上します。老夫婦の連続強盗事件はこうして幕を閉じました。
人生に乾杯!の結末
事件後日、アンドルとアギは病院でわが子のエコー写真を見つめていました。ふと待合室で流れていた老夫妻の追悼番組に目が止まります。
いつの間にかアギはキャンプ場での出来事を思い出していました。警察に包囲されながら、エミルはテディベアのおなかに保管していた現金をカバンに詰め替え、ヘディはインスリンの注射を打っていました。炎上前チャイカに乗っていたのはあのテディベアだったのかもしれないと、アギは笑みを浮かべるのでした。
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