対峙の紹介:2021年アメリカ映画。アメリカのとある高校にて、生徒による銃乱射事件が勃発。多くの生徒が無残に殺され、犯人の少年も自ら命を絶った。それから6年が経ち、いまだ息子の死を受け入れられないジェイとゲイルの夫妻は、加害者の両親リチャードとリンダに会って話すことに。教会の奥の小さな部屋で立会人はおらずたった4人で会話はスタートした。「お元気ですか?」とぎこちなく挨拶が交わされたのち、遂にゲイルの「息子さんについて何もかもは話してください」という言葉を合図に、4人の対話が展開される。ほぼ全編、密室の4人だけで繰り広げられる緊迫感に満ちた会話によって、英国アカデミー賞をはじめ各国の映画賞81部門でノミネートを果たし、43の映画賞を受賞。被害者と加害者の対話というセンシティブなテーマを臨場感とともに描き、人間の複雑さと脆さを表現した作品。
監督:フラン・クランツ 出演:リード・バーニー(リチャード)、アン・ダウド(リンダ)、マーサ・プリンプトン(ゲイル)、ミッシェル・N・カーター(ケンドラ)、ブリーダ・ウール(ジュディ)、ケージェン・オルブライト(アンソニー)ほか
映画「対峙」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「対峙」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「対峙」解説
この解説記事には映画「対峙」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
対峙のネタバレあらすじ:起
のどかで美しい風景に佇む小さな教会で、朝から慌ただしく動いているジュディ。離れの質素な一室である会合が開かれようとしていました。
間もなく仲介役のケンドラが到着し、部屋の隅々までを入念にチェックしていきます。ケンドラは神経質そうに椅子の配置を変え、窓に貼られた子供たちお手製のステンドグラスに難色を示していました。
そんな中、2組の男女が到着しました。
「お元気ですか?」「おかげ様で、あなたは?」と、2組はぎこちない挨拶を交わしました。
ケンドラが部屋を出ていき、部屋には4人のみとなりました。
対峙のネタバレあらすじ:承
最初に口火を切ったのはジェイでした。「会ってくださり感謝します」
彼に促されて妻のゲイルは娘の写真を取り出して、向かいに座るリンダとリチャードに見せました。
今はリチャードと別居している元妻のリンダは、「美しい娘さん」と目を細めて称賛の言葉を口にしました。
「もしよかったら息子さんの写真も見せてほしい」そうリンダに言われ、「これが最後のクリスマスよ…」と写真を見せるゲイル。
その家族写真を見たリンダは、突然涙を流して取り乱しました。
対峙のネタバレあらすじ:転
一瞬にして空気は張り詰め、4人の笑顔はなくなりました。
緊張感に満ちた刺々しいやり取りが続いた後、ゲイルが「息子さんについて覚えていることを何でも話してください」と、今日の会合の本当の目的を口にしました。
リチャードは反射的に身を護る姿勢で「なぜ?」と聞きます。ゲイルは刺すような視線をリチャードへ向けながら「うちの息子を殺したからよ!」と言い放ちます。さらにジェイが「なぜこうなったのか、私達はそれを聞く必要がある!」と強く求めました。
リンダは「もちろんです」とジェイ夫妻に応えました。
アメリカのとある高校で起こった、生徒による銃乱射事件。事件直後に自らの命も絶った犯人の少年がリンダとリチャードの息子で、彼に殺された生徒の1人がゲイルとジェイの息子だったのです。
冷静に、丁寧な口調で息子の幼少期から語り出すリンダ。
しかし「人を殺すような子ではない」という彼女の言葉に、こみ上げる感情を抑えられなくなったジェイは「あなたたちは何も分かっていない!」と話を遮るように盾突きました。
しかしリチャードは冷静に、息子の犯行時間と犯行の状況、そして亡くなった生徒の1人1人の名前を聞かせました。彼は事件後に現場に足を運び、亡くなった生徒たちのためにも息子を理解しようとしていたのでした。
対峙の結末
4人の対話は、後悔、悲しみ、怒り、絶望に溢れるものとなっていました。出口のない感情のぶつけ合いが続き、やがてゲイルとジェイは気付きます。目の前の2人をどれだけ問い詰めても息子は決して帰っては来ません。
ゲイルはジェイの膝に手を置き、リンダとリチャードに言いました。
「私達はあなたの息子さんを赦します」
2時間の話し合いは終わり、部屋を出る4人。
リチャードは早々に教会をあとにしましたが、リンダがゲイルのもとに戻ってきて言いました。
「人殺しをするような子ではないと言ったけれど、実は息子に些細なことを注意したら1度だけ“殺すぞ”と言われたことがあった」と告白したのです。耳を傾けるゲイルにリンダは涙ながら続けます。
「あの時に、“私を殺しなさい”と言うべきだった。そうすればこんな惨事にはならなかった。でも怖かったんです」
恐怖を前に逃げ出した自分を責めるリンダをゲイルは優しく抱きしめました。
その瞬間、2人は心からの安心を手に入れ、本当の意味で心を通わせることができたのでした。
以上、映画「対峙」のあらすじと結末でした。
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