ミミックの紹介:1997年アメリカ映画。ニューヨークで子供だけが罹患する病が流行り、科学者のスーザン・タイラー博士は遺伝子操作したハイブリッド生物を放った。媒介者であるゴキブリたちを一掃するために…。そして3年後、少年達が彼女の元に持ってきたある昆虫がかつて子供達を救ったハイブリッド生物だとわかる、繁殖能力がなかったはずだったが…。
監督:ギレルモ・デル・トロ 出演:ミラ・ソルヴィノ(スーザン・タイラー博士)、ジェレミー・ノーサム(ピーター・マン博士)、アレクサンダー・グッドウィン(チューイ)、ジャンカルロ・ジャンニーニ(マニー)、チャールズ・S・ダットン(レナード)、ジョシュ・ブローリン(ジョシュ)、ほか
映画「ミミック」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミミック」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ミミックの予告編 動画
映画「ミミック」解説
この解説記事には映画「ミミック」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミミックのネタバレあらすじ:起
ニューヨークに潜むゴキブリが媒介する病原菌によって多くの子供達の命が奪われていました。科学者のスーザン・タイラー博士はゴキブリを一掃するために人工的に造りだした「ユダの血統」と呼ばれるハイブリッド生物を地下に放ち、その効果が認められ病は根絶されました。
それから3年後、当時の事件のおかげでスーザンは衛生局職員のピーターと結婚していました。ある日教会の神父が行方不明になり、衛生局が調査に乗り出すことに。教会の向かいに住む靴磨きのマニーと孫のチューイは不審な男性が出入りするのを目撃していました。そんな折、スーザンの元に少年2人がやってきます。子供が昆虫の生体や羽を売りに来たのです。スーザンは1匹のおかしな昆虫に目を奪われます。とても凶暴で顎が強く、彼女はすぐさま標本用の針で腹を突き刺し昆虫を固定しました。紛れもなくそれは彼女が3年前ゴキブリを駆除するために放ったハイブリッド生命体でした。ところが窓から何者かが侵入し、昆虫は盗られてしまいます。
ミミックのネタバレあらすじ:承
スーザンはピーターにこれを報告し、二人で少年達に事情を聞くことに。少年達が昆虫を捕らえたのは地下鉄の一室で、普段は人が出入りするようなところではありませんでした。スーザンとピーターは部屋の下部大きな穴があるのに気づき、探索しようとしますが、市警のレナードに止められてしまいます。翌日スーザンは事の次第を知る妹のレミーから連絡を受け、下水道の拾得物係へ。そこには変色した変死体。昆虫と同様に脚が6本ありましたが、陸上のほ乳類のように巨大でした。彼女は死体を撮影したインスタント写真を手に、再び地下鉄へと向かいます。衛生局が本格調査に入りました。
ミミックのネタバレあらすじ:転
ピーターと同僚のジェレミー、そして市警のレナードが大きな穴に入っていきます。想像していたより広く、まるでアリの巣のように長く続いていました。ある時、レナードとピーターが乗っていた木造の台が崩れ落ち、2人は帰れなくなってしまいます。ジェレミーに上に行って助けを呼ぶように依頼しましたが、道を戻る途中何者かに殺害されてしまいます。一方のスーザンは地下鉄の終電を前にプラットフォームで写真を眺めていました。水死体の両前肢の部分を合わせると人面のようになることに気づきました。既に駅には人の姿が無く、時間を聞こうと柱のそばの人に声を掛けますが、様子が変です。次の瞬間、人だと思っていたそれが巨大化した「ユダの血統」だと気づきます。しかし時既に遅し、彼女は連れ去られてしまいました。地下でユダの血統に殺されそうになったスーザンを助けたのは靴磨きのマニーと、レナードとピーターでした。マニーはチューイがいなくなったため、事件のあった教会から穴に潜り込んでいました。合流した4人は大型のユダの血統に標的にされ、古い車両に逃げ込みます。しかしレナードがユダの血統に脚を深く切られてしまいます。
ミミックの結末
4人は地下鉄をよく知るレナードを中心に作戦を立てることにしました。ピーターとマニーが外へ出て車両を動かすための電気配線を調節することになりました。ピーターはうまく作動させましたが、マニーはチューイを見つけてたすけようとしたためユダの血統に見つかり殺されてしまいました。マニーを心配してスーザンが外へ出ます。スーザンとピーターとがチューイをかくまい、逃げたところでピーターは2人に逃げるようにいいます。レナードは出血のため長くないと悟り、ユダの血統の囮になろうと車両の外に出て、襲われてしまいます。ピーターは追い詰められた先でユダの血統の巣を見つけ、ガス爆発で焼き殺しました。チューイとスーザンは命からがら地上に這い出て無事でした。ユダの血統はようやく根絶されました。スーザンはピーターの死にショックを受けていましたが、爆発から奇跡的に助かっていたのでした。
この映画「ミミック」は、鬼才ギレルモ・デル・トロ監督が、ニューヨークの地下に蠢く、進化した昆虫の猛威を描いた”バイオ・スリラー”の傑作だ。
遺伝子操作によって作り出された生物が、昆虫学者の予測を裏切って独自の進化を遂げてしまい、遂に人間を襲撃するようになるという話だ。
キワモノ映画かと最初は思って観ていたが、意外と予想以上に面白く、そして怖い。
昆虫学者のスーザン(ミラ・ソルヴィーノ)は、流行する疫病の防止のために、新種の昆虫”ユダの血統”を開発する。
そして、3年後、街の地下で絶滅したはずの”ユダ”に似た昆虫の死骸が見つかった。
真相を探り始めたスーザンたちは地下へ潜入。
そんな彼らに、変態を遂げて巨大化したユダが襲いかかり——-。
「誘惑のアフロディーテ」で私を虜にした、ミラ・ソルヴィーノ扮する昆虫学者が、空飛ぶ”怪物”に連れ去られる場面には、懐かしいB級映画の味があるし、ニューヨークの地下鉄の更に下の世界の描写には、都市伝説的な”陰性のロマンティシズム”が漂っている。
古い地下鉄の車輛が動き出すところなど、ジャック・フィニィの傑作小説「レベル3」を連想してしまうほどだ。
かつて、アメリカでクローン人間化計画がとりざたされていた事を思うと、「ミミック」の怖さには戦慄を覚えてしまいます。
遺伝子操作に批判的な学者(F・マーリー・エイブラハム)の「街は研究室より広いんだ」という言葉。
つまり、現実は学者の机上の計算通りには運ばないものなんだという言葉が胸に突き刺さります。
迷路のような暗闇の地下世界と、巨大なゴキブリを思わせるクリーチャーの造形も不気味で、陰影に富んだ映像を駆使して恐怖の演出を見せた、ギレルモ・デル・トロ監督。
彼はやはり、当時からタダ者ではなかったことがわかります。