ブロンドの殺人者の紹介:1943年アメリカ映画。富豪の美しい後妻の陰謀にまきこまれる探偵。『深夜の告白』とならび、いわゆるフィルム・ノワールというジャンルの流行を決定的にした作品。レイモンド・チャンドラーの『さらば愛しき女よ』が原作。フィリップ・マーロウが登場した最初の映画。ミュージカル映画のスターだったディック・パウエルはこの作品でハードボイルドなヒーローへの転向に成功した。
監督:エドワード・ドミトリク 出演者:ディック・パウエル(フィリップ・マーロウ)、クレア・トレヴァー(ヘレン・グレイル)、アン・シャーリー(アン・グレイル)、マイク・マズルキ(ムース・マロイ)、オットー・クルーガー(ジュールズ・アムソール)、ほか
映画「ブロンドの殺人者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ブロンドの殺人者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ブロンドの殺人者」解説
この解説記事には映画「ブロンドの殺人者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ブロンドの殺人者のネタバレあらすじ:人さがしの依頼
警察の取調室。両目を覆うように頭部に包帯を巻かれた私立探偵フィリップ・マーロウにはいくつかの殺人の嫌疑がかかっている。ランドール警部補が部屋に入ってきてやっとマーロウは供述を始める。
午後7時頃、音もなく事務所に入ってきた大男、刑務所から出所したばかりのムース・マロイから8年間会っていない赤毛の恋人ヴェルマを捜すのを手伝えと依頼される。無理強いされその晩から調査を始める。マロイは純情で頭が弱いが、短気で危険な男だった。
ヴェルマがかつて歌っていた店の、当時の所有者フロリアンの未亡人にマーロウは会う。ヴェルマは死んだと未亡人は嘘をつくが、彼女が隠そうとしたヴェルマの写真が手に入る。
ブロンドの殺人者のネタバレあらすじ:ネックレスさがしの依頼
翌朝、事務所にはマーロウより先に別の依頼人が来ていた。マリオットという男が、友人が強奪された宝石を買い戻しに行くのに付き合ってほしいと言う。一晩で100ドルという報酬につられて引き受ける。だが、人里離れた待ち合わせ場所で様子を探るために先に自動車を降りたマーロウは後頭部を殴打されて失神。目覚めた時に若い女が声をかけてくるが、マーロウを見て逃げさる。自動車を見るとマリオットは殺されていた。
マリオット殺害を警察に通報するがランド―ル警部補はマーロウに疑いの目を向ける。事務所ではアン・グレイルという女が記者と身分を偽ってマーロウを待っていたがマーロウは嘘を見破る。マリオットが買い戻すことになっていたヒスイのネックレスはアンの父親の所有物で、アンが嫌っている義母がマリオットに仕事を依頼したのだった。豪邸に乗り込んだマーロウはネックレスをみつける仕事を請け負うが、ブロンドのグレイル夫人、ヘレンはマーロウを誘惑するようなそぶりを続ける。その時部屋に入ってきたのは、警察がマリオットの悪事の仲間とみるジュールズ・アムソールだった。
ヘレンはマーロウを誘ってナイトクラブに行き彼をてなずけようとするが、アンもマーロウに付きまとってそこに行き、ヘレンとマーロウを遠ざけようとする。
ブロンドの殺人者のネタバレあらすじ:囚われたマーロウ
なぜかそのナイトクラブにマロイもいる。ある男に会ってほしいと言われてマーロウが連れてこられたのは高層ビルディングにあるアムソールのアパートだった。マロイは、マーロウがヴェルマの居場所を知っていながら隠しているとアムソールにふきこまれ、手下にされていたのだ。
マーロウはアムソールとマリオットが仲間割れしてアムソールがネックレスをもっているのではと疑っていたが、アムソールは、マーロウがネックレスを横取りしたと疑っている。マロイに首を絞められた上にアムソールに銃で殴られて気を失ったマーロウはソンダーバーグという医師の施設で三日間、ネックレスの行方を吐かせるために薬漬けにされ監禁される。
ブロンドの殺人者のネタバレあらすじ:人殺しの依頼
逃げ出したもののまだ意識が朦朧としているマーロウが頼りにしたのは、ナイトクラブでアンに渡された住所だった。アンが親と離れて暮らすアパートに逃げのびたマーロウは彼女が、マリオットが殺されたときに自分に声をかけた女であることに気づく。ヘレンの浮気相手に嫉妬して父が殺人を犯すのではないかと心配してアンはその場に来ていたのだった。そして、殺されたマリオットのポケットから取り出した紙片に書いてある住所を見て次の日にマーロウの事務所に行ったのだ。
マーロウは、グレイル氏からマリオットに貸されていた海辺の別荘を調べる。ヘレンがそこに潜伏していた。彼女によると、アムソールは怪しげな心理療法の過程で知ったヘレンの過去の話を使ってヘレンを脅迫してネックレスを手に入れようとしたが、ネックレスがアムソールの手に渡る前に盗まれてしまった。彼女はアムソール殺しをマーロウに頼む。
ブロンドの殺人者の結末:度重なる銃声
ヘレンの誘いに乗ったふりをしてマーロウはアムソールのアパートに行くがアムソールは既に殺されていた。アムソールにだまされていると気づいたマロイがやったに違いない。事務所に帰るとまたも音もなくマロイが入ってくる。今度こそマーロウは明日ヴェルマに会わせるとマロイに約束する。ヴェルマとはヘレンに他ならなかった。
マロイを外で待たせ、マーロウは一人で別荘に入る。ヘレンはマーロウにネックレスを見せる。強盗はヘレンの狂言だった。ヘレンはアムソールがマリオットを殺したと主張するが、マーロウは別の推理を披露する。フロリアン未亡人からの電話でマロイがマーロウを使って彼女を捜していることを知ったヘレンは、ネックレスを受取りに来たマリオットとマーロウを一まとめに殺すつもりだったがアンが現れたせいでマーロウは殺し損ねた。マーロウを味方につけることに失敗したヘレンが拳銃をマーロウに向けた時、密かに別荘に来て隠れていたアンとグレイル氏が姿を現す。グレイル氏はマーロウから銃を奪うが、結局自分の手で妻を射殺する。銃声を聞いて別荘に入ってきたマロイは愛するヴェルマを殺したグレイル氏を襲おうとする。止めようとするマーロウの目の前をグレイル氏のもつ銃から放たれた弾丸がかすめる。
供述を終えたマーロウはマロイもグレイル氏も死んだことを知る。一時的に視力を失っているマーロウは、刑事につきそわれて警察署を出るまでアンのことをほめそやし続けるが、取調室にいたアンは無言で刑事とマーロウについてきていた。いっしょにタクシーに乗ったのが刑事でなくアンであると香水の匂いで気づいたマーロウは彼女にキスをする。
以上、映画「ブロンドの殺人者」のあらすじと結末でした。
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