NOPE/ノープの紹介:2022年アメリカ映画。『ゲット・アウト』(2017年)、『アス』(2019年)のジョーダン・ピール監督が、とびきり怖いUFO映画を撮ろうと製作したのが本作。前2作同様、人種差別への問題提起も織り込みつつ過去の様々な作品をリスペクトする内容になっている。主演は『ゲット・アウト』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたダニエル・カルーヤ。その妹にシンガーとしても活躍するキキ・パーマー。元子役のジュープを「ウォーキング・デッド」『ミナリ』のスティーヴン・ユァンが演じている。
監督:ジョーダン・ピール 出演:ダニエル・カルーヤ(OJ・ヘイウッド)、キキ・パーマー(エメラルド・ヘイウッド)、スティーヴン・ユァン(リッキー・“ジュープ”・パク)、ブランドン・ペレア(エンジェル・トーレス)、マイケル・ウィンコット(アントレス・ホルスト)ほか
映画「NOPE/ノープ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「NOPE/ノープ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「NOPE/ノープ」解説
この解説記事には映画「NOPE/ノープ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
NOPE/ノープのネタバレあらすじ:起
ヘイウッド・ハリウッド牧場では撮影に使う馬を調教しています。最近は仕事が減って機械のメンテナンスなどもひと苦労ですが、牧場主のオーティスは新しい仕事に前向きです。息子のOJが家に戻ろうとすると突然、空から何かが降ってきました。降り注ぐ金属片のようなものが当たりオーティスは病院で死亡。彼の頭の中に入っていたのは硬貨でした。
半年後、以前父が受けた仕事をしにOJは撮影現場に馬を連れてやってきました。しかし慣れない無口なOJに現場は困惑、結局馬が暴れてしまいOJは仕事を失ってしまいます。
妹のエム(エメラルド)と帰宅途中、OJは牧場に隣接するジュピターズ・クレイムという西部劇のテーマパークに立ち寄り、連れていた馬のラッキーを買い取ってもらいます。既に10頭ほど買ってもらっているというOJはいずれすべて買い戻したいと思っています。
普段いっしょに住んでいないエムは、OJが安く買い叩かれていないか不安で交渉に同席します。そこでオーナーの“ジュープ”が一斉を風靡した子役だと気づくと交渉そっちのけでその話を振り、気をよくしたジュープはかつて出演したドラマの思い出を飾った秘密部屋を見せてくれました。「ゴーディ、家に帰る」というそのドラマは、出演していたチンパンジーが撮影中に暴れ出し、出演者に重症を負わせたことで打ち切りになったいわくつきのものでした。
家に戻るとふたりは酒を飲みながら昔話をします。エムが9歳の誕生日にもらえるはずだった“Gジャン”という馬が急な仕事のためもらえなかったと話すエム。調教される様子を2階の窓から見ていたエムに、OJは(わかっている)と示すようにハンドサインを送ったのでした。
<ゴースト>
夜なのに外に出ている白馬のゴースト。父が死んだときに乗っていたゴーストを連れ戻そうとOJは近づきますが、エムがかけた戸外まで鳴り響く大きなレコードの音に驚き走っていってしまいます。ゴーストを探してジュープの土地に足を踏み入れたOJの耳に、遠くで行われている金曜夜のイベントの様子が聞こえてきました。
怪しげな雰囲気のアナウンスのあと、もの凄い風が巻き起こり砂嵐であたりはよく見えなくなってしまいます。そのとき空飛ぶ円盤のようなものを目撃したOJは、家に戻って監視カメラの映像を見ようとします。でもその瞬間はなぜか停電していてカメラは動いていませんでした。エムはOJが何を見たのか気になって仕方がありません。
NOPE/ノープのネタバレあらすじ:承
翌日ふたりは監視カメラを増設するため家電量販店に向かいます。UFOを撮影して専門チャンネルに高値で売り込もうというのです。店の技術者エンジェルはふたりの思惑に気づき、サポートがいらないか聞いてきました。
ふたりはエンジェルに依頼し、やってきた彼は2台のカメラを屋根の上と柵に取り付け、機械を納屋に設置します。その間でかけていたエムは、ジュープのところからガーランドがついたままの馬の像を盗んできてそれを牧場の中に置きます。そしてもっと協力したいというエンジェルを追い返すのでした。
<クローバー>
その夜、厩舎の照明がついているのを不思議に思いOJが消しにいくと、何者かが再び照明をつけてしまいます。そこには小さな宇宙人のようなものがいて、OJは怯えながらその場を離れようとしますがそれはOJの様子をうかがいながら近づいてきます。
しかも一体ではなく複数います。OJが叫び声を上げるとそれらは笑いながら走っていきました。それはジュープの子どもたちの悪質ないたずらでした。
そのころエムは馬のクローバーが外に出ていることに気づき、OJに知らせます。屋根のカメラにはカマキリがくっついて映像を確認することができません。するとエンジェルから、もう一台のカメラが止まっていると電話がかかってきました。彼は店で監視カメラの映像を勝手に見ていたのです。
OJはあの馬の像が空に吸い上げられるのを目撃し、その後雲の中に何かが“いる”ことに気づきます。エムの声掛けで建物に逃げ込んだOJでしたが、クローバーは巻き上げられてしまいました。エムは恐怖に震え、急いでここから去るべきだと言いますが、OJは馬の世話があるから、と動きません。
自分たちの手に負えないと思ったエムは、動物の番組などで知られるカメラマンのホルストに電話をかけ、撮影を打診します。現場で会ったエムのことを覚えていたホルストですが、眉唾ものの話に乗ってはくれませんでした。
そのとき、エンジェルがやってきました。違法行為を非難されるのは承知の上で、彼は牧場の上に動かない雲があることを知らせに来たのです。UFO発見の糸口を得たエムやエンジェルは興奮しますが、OJだけは「船じゃない」と冷静です。
NOPE/ノープのネタバレあらすじ:転
<ゴーディ>
1996年秋から放送されていたホームコメディドラマ「ゴーディ、家に帰る」の撮影中、メアリーという子役の少女がチンパンジーのゴーディに誕生日プレゼントを渡すシーン。そばには子ども時代のジュープもいます。大きな箱が開くと中からたくさんの風船が飛び出し、それらが割れる大きな音をきっかけにゴーディが暴れ始めます。
メアリーを執拗に襲うゴーディは血だらけです。彼女がかすかに動くと再び襲いかかりやがて動かなくなってしまいます。大人の俳優も攻撃され、ついにゴーディはテーブルの下に隠れたジュープに気づきます。
怖くて動けないジュープににじり寄ってきますが、ゴーディはなぜか拳を出してきます。ジュープが同じように拳を出してタッチしようとしたとき、ゴーディは射殺されその血をジュープは浴びてしまいました…。
そのときのことを思い出していた現在のジュープ。心配そうに見守る妻に応え、今夜のイベントに向けてリハーサルをおこなうのでした。
<ラッキー>
嵐の予報を聞き、エンジェルはカメラにシートをかけています。しかしそのころジュピターズ・クレイムでは“星との遭遇体験”というイベントが始まろうとしていました。そこには特別ゲストとして、ベールで顔を隠したメアリーも参加しています。
派手な衣装に身を包んだジュープは、これからここで人生を変えるような特別な体験ができると盛り上げます。そして隠していた布をはずすと、大きなガラスケースには馬のラッキーが入っていました。すると遠くから帽子のような形のUFOが飛来してきます。「いつもより早い」とジュープはラッキーをケースから出そうとしますが動かず、焦ってしまいます。
妻のアンバーは「今夜は激しいわよ」と観客を煽ります。するともの凄い砂嵐とともにジュープたちや観客・スタッフ全員が吸い上げられてしまいます。口から食道のような器官に取り込まれ悲鳴を上げる人々…。
そこへOJが到着し、UFOから身を隠しながらラッキーを助けようとしますが風にあおられて思うように動けません。
そのころ家ではエンジェルが帰ろうとしていましたが、車が動かなくなってしまったので急いでエムのもとに引き返します。OJからの電話で惨劇を知ったエムは、人々の悲鳴が聞こえるのでUFOが家の上に来ていることを悟ります。父のときと同様、コインや鍵などを吐き出しているUFO。さらに人々の血まで撒き散らし、家には血の雨が降り注ぎます。
ラッキーを保護したOJは車で戻ってきますが、自宅から少し離れたところで車が止まってしまいます。恐ろしい姿になった我が家を見つめながらエムのことを心配しますがなすすべがありません。一旦静かになりOJは少し車のドアを開けて様子をうかがいます。UFOは真上にいました。そっとドアを閉めてロックすると、OJは朝までそこで眠りました。
夜が明けてエンジンがかかるとOJは家に近づきます。すると空から馬の像の首が落ちてきてフロントガラスに突き刺さりました。仕方なくエンジェルの車に乗り換えて玄関に近づき、エムとエンジェルを乗せてその場を離脱します。
NOPE/ノープの結末
ジュピターズ・クレイムの人々が姿を消したニュースが報じられ、マスコミの注目を集めています。エンジェルの家に世話になっているOJは、目を見なければ襲われないと語り、馬の世話があるから家に戻るといいます。渋っていたエムにはあのホルストから撮影に協力したいと連絡があり、結局3人は戻ることに。
手回しのIMAXフィルムカメラなどを持ってやってきたホルスト。早速4人は作戦会議を始めます。UFOを“Gジャン”と名付けたOJは、自らオトリになるのでホルストに離れた斜面から撮影するよう頼みます。エンジェルはホルストのサポート、エムは家で監視カメラのチェックをします。
彼らはまず、Gジャンの接近を知るために電気で動くスカイダンサーを大量に手に入れてきました。そしてそれを動かすバッテリーを駐車場の車から盗み出します。短期決戦で終わらせなければあっという間にマスコミが押し寄せ、手柄を横取りされてしまいます。4人はトランシーバーを手に作戦決行です。
<Gジャン>
目立つオレンジのパーカーを来たOJはラッキーに乗って疾走します。ホルストは薬を飲み、エムのかけた大音量のレコードの音でエンジェルはスカイダンサーを起動させます。50体ものスカイダンサーが踊り、その中をOJが走っていきます。
すると招かれざる1台のバイクが近づいてきました。外に出たエムにバイクからぶしつけにカメラを向けたのはゴシップサイトTMZの記者でした。質問に答えないエムに悪態をついて走り出したその記者は、スカイダンサーが倒れている地帯に差し掛かりバイクの不調で放り出されてしまいます。
エムの意見を無視し助けに向ったOJですが、現れたGジャンを撮影しようとする記者を止めることができず仕方なく救出をあきらめます。その直後、記者はGジャンに食われてしまいました。折悪しくホルストのカメラのフィルム交換中で、その決定的瞬間をおさめることができませんでした。
OJは目のような模様のフードを被り、さらにGジャンを挑発します。そして狙いとおりに旗のガーランドを浮き上がらせてGジャンの猛追を回避します。Gジャンは体内に詰まってしまうこのような異物を嫌うのです。その様子を撮影していたホルストは、もっと凄い映像を撮ってやる!と飛び出し、自らGジャンに吸い込まれながらも撮影を続けました。
近くにいたエンジェルは突風で斜面を転がり落ち、防水シートやら有刺鉄線が身体に巻きついてしまいます。なかなかそれは外れませんが、そのおかげで一度はGジャンに吸い上げられたものの吐き出されて助かりました。エメラルドも風に乗って宙に浮いてしまいますが危うく難を逃れます。
OJは記者の乗ってきたバイクに乗って逃げるようエムに指示しますがエンジンがかかりません。エムの危機を救うため、OJはハンドサインを送りエムもそれに応えます。OJはラッキーに乗るとGジャンの注意を自分に引きつけます。円盤の形から帆のような、クラゲのような形態に変化していたGジャンはOJに襲いかかり、OJとラッキーの姿は見えなくなってしまいました。
ようやくエンジンのかかったバイクにまたがると、エムはUFOを誘うように走り始めます。エムがやってきたのはジュピターズ・クレイム。そこにある大きなキャラクター人形のバルーンを留めていたガーランドを外すと、ヘリウムガスによってそれは空に上り始めます。
人の形をしたそれに興味を示したGジャン。エムは園内の、井戸から頭上を撮影することができるスポットを使って捕食の瞬間を撮影するつもりです。地面に散らばっていたコインを拾って撮り始め、ようやく何枚目かにそのシーンを写真に撮ることに成功しました。大きなバルーンを飲み込んだGジャンは消化しようと圧力をかけ、ガス爆発を引き起こし自爆してしまいました。
勝利を手にしたエムは歓喜の声を上げ、そして辺りに集まっていたマスコミに気づきます。立ち上がったエムはOJを失ったことを思い出し、涙を流します。すると視界の先に、ラッキーに乗ったOJの姿が現れたのでした。
以上、映画「NOPE/ノープ」のあらすじと結末でした。
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