わたしの叔父さんの紹介:2019年デンマーク映画。デンマークの南部、静かで美しい農村。27歳のクリスは足の不自由な叔父さんとともに酪農業を営んでいる。クリスの毎日の生活は、叔父さんの世話と家事、数独をしながらの朝食、搾乳や餌やり、牛舎のメンテナンス、夕食後の叔父さんとのボードゲーム、週に一度のスーパーへの買い出しなどを淡々とこなすこと。しかし、獣医ヨハネスをきっかけにかつて抱いていた獣医になる夢を思い出し、教会で知り合った青年マイクからのデートの誘いに胸を躍らせる。別の世界に目を向け始めたクリスを叔父さんはそっと後押しするもののクリスは戸惑いを隠せない。主人公2人を演じるのは実の姪と叔父。東京国際映画祭での東京グランプリ/東京都知事賞受賞をはじめとし、世界各国で多くの国際映画賞を受賞した作品。
監督:フラレ・ピーダセン 出演:イェデ・スナゴー(クリス)、ペーダ・ハンセン・テューセン(叔父さん)、オーレ・キャスパセン(ヨハネス)、トゥーエ・フリスク・ピーダセン(マイク)ほか
映画「わたしの叔父さん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「わたしの叔父さん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
わたしの叔父さんの予告編 動画
映画「わたしの叔父さん」解説
この解説記事には映画「わたしの叔父さん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
わたしの叔父さんのネタバレあらすじ:起
デンマーク南部に位置するユトランド半島の静かで美しい農村。27歳のクリスは14歳の時に父親と兄を亡くしました。死んだ兄を追って父親が自殺をしたのです。
叔父さんに引き取られたクリスは、酪農場を手伝いながら2人で慎ましく暮らしていました。
朝早く起き、足の不自由な叔父さんの着替えを手伝い、朝ごはんを食べて、牛の世話をし、作物を刈り取る。夕食を済ませるとコーヒーを淹れて2人でくつろぎ、週に一度スーパーに出かけ1週間分の買い出しをする、そんな毎日を過ごしていました。
しょっちゅうカウチに寝そべって何かをほおばっている叔父さんに対して、クリスはかたくなで気難しい一面もありました。たまにケンカをし、たまにふざけ合い、ルーティン化された日常をただひたすら淡々とこなすクリスと叔父さんでしたが、互いの間には言葉こそ少ないものの、父娘のような信頼と愛情で結ばれた絆がありました。
わたしの叔父さんのネタバレあらすじ:承
ある日、難産の牛を救ったクリスは、獣医師ヨハネスから手際の良さを褒められ、かつて抱いていた獣医になる夢を思い出しました。当時、獣医学校の進学が決まっていたクリスでしたが、高校卒業前に叔父さんが脳卒中で倒れ、身体が不自由になったことで家業の農業を継ぐことを決めたのでした。
ヨハネスは学びの意欲を持ったクリスが、叔父さんの世話と家事に追われている状況からなんとか抜け出させてあげたいと思い、たびたび助手として問診の同行に誘い出しました。
少しずつ、農場とは違う外の世界に触れていくクリス。
そんなある日、ふと立ち寄った教会で知り合った青年マイクからデートに誘われました。胸のうちではときめきを感じてはいるものの、常に頭にあるのは叔父さんのこと。思い切って飛び込むことができないクリスを、叔父さんは見かねてデートに行くよう勧めます。
そしてデート当日。
マイクの前に現れたクリス。なんと叔父さんも一緒に連れてきたのです。この行動にマイクは困惑しました。
鳥の群れを眺めるクリスとマイク。離れたところに叔父さんもいます。
マイクは言いました。「違う場所で暮らしたいと思ったことはないの?」と。クリスは「できないわ。牛の世話だって収穫だってあるんだから」と。クリスは決して叔父さんがいるからとは言いませんでした。
わたしの叔父さんのネタバレあらすじ:転
その後マイクとは大きな進展はありませんでしたが、クリスはヨハネスがコペンハーゲンの大学で行う講義に助手として同行することになりました。嬉しいはずなのに、手放しで喜べないのは叔父さんをおいて家を空けることが不安だからです。そんなクリスを叔父さんは大丈夫だから楽しんでおいでと送り出しました。
ヨハネスの講義が始まる時間になりました。
しかし、クリスは決めた時間に電話に出ない叔父さんに何かあったのではないかと気が気で仕方ありません。ヨハネスの妻に頼み、様子を見に行ってもらうことにしました。
ヨハネスの妻から連絡があり、泣きだすクリス。叔父さんは牛舎で泥に滑って転び、病院に運ばれたとのことでした。
クリスは急いで病院に向かい、廊下で叔父さんが目を覚ますのを待ちました。クリスもかけ付けてくれましたが、昨日の酒で酔った状態でした。そんなマイクを不誠実に感じ、クリスは彼に辛く当たり追い返してしまいました。
わたしの叔父さんの結末
叔父さんが目を覚ましました。「コペンハーゲンは楽しかったか?」と聞かれ、クリスは答えました。「いいえ」
クリスはヨハネスからの電話に出ませんでした。
病院の食事が合わない叔父さんのために、クリスは家からいつものトースターとパンとヌテラを持ってきました。病室でいつもの朝食をとる2人。また日常が戻ってきました。
叔父さんは退院し、再び自宅へ戻ってきました。
クリスはマイクからの連絡も、ヨハネスの訪問にも応答しませんでした。
朝の静かなキッチン。
叔父さんは壊れてしまったテレビを叩いてみるものの音は出ないままでした。クリスは数独を閉じ、叔父さんを静かに見つめました。
その目には強い光がおびていたのでした。
以上、映画「わたしの叔父さん」のあらすじと結末でした。
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