ストリーマーズ/若き兵士たちの物語の紹介:1983年アメリカ映画。ベトナム戦争下のアメリカ軍において、日毎に精神を摩耗させていく若者の苦悩を描いたドラマ作品。舞台を兵舎に限定し、兵士たちの閉塞感と悲壮感を効果的に演出している。ビリー、ロジャー、リッチーは全く違う環境に生まれ育ったものの、同じ小隊に所属しそれなりに仲良くやっていた。しかし新入りの兵士カーライルが出入りするようになり、絶妙なバランスを保っていたビリー達の関係はおかしくなっていく。そして異様な軋轢の中、彼らは思わぬ悲劇を引き起こしてしまうのだった。
監督:ロバート・アルトマン 出演者:マイケル・ライト(カーライル)、マシュー・モディーン(ビリー)、ミッチェル・リヒテンシュタイン(リッチー)、デヴィッド・アラン・グリア(ロジャー)、ガイ・ボイド(ルーニー)ほか
映画「ストリーマーズ/若き兵士たちの物語」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ストリーマーズ/若き兵士たちの物語」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ストリーマーズ/若き兵士たちの物語」解説
この解説記事には映画「ストリーマーズ/若き兵士たちの物語」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ストリーマーズ/若き兵士たちの物語のネタバレあらすじ:4人の若者
舞台はベトナム戦争下のアメリカ。アメリカ陸軍の空挺部隊に所属する3人の若者は、泥沼化する戦争に苛立ちと恐怖を募らせていました。白人で大学出のビリー。黒人で陽気なロジャー。白人で女性的なリッチー。彼らは時に笑い、時に怒ったりして共同生活を送っています。ビリーとロジャーは出来るだけ明るく過ごそうと、上官であるルーニー軍曹の訓練をディズニーアニメの泥棒そっくりだと真似して笑っていました。しかし戦争への恐怖が日毎に膨らみ、今や志願したことを後悔しています。ビリーとロジャーは、リッチーがホモセクシャルではないかと疑っていました。元々女性的な仕草の多いリッチーでしたが、最近は拍車が掛かっているのです。ビリーは確信していましたが、ホモセクシャルを嫌悪するロジャーは違うだろうと顔を顰めました。そんな折、別部隊に所属している新入りの黒人カーライルが兵舎にやって来ます。同じ黒人であるロジャーに会いに来た彼は、周囲が不抜けていると憤っていました。白人との折り合いを聞かれ、心配無いと答えるロジャー。掃除の時間だと話すと、ムッとしたカーライルは白人の機嫌取りかと言い出しました。そしてシャワールームから出てきたリッチーに絡み始めます。ロジャーは苛立って、自分の兵舎に帰れとカーライルを追い出しました。
ストリーマーズ/若き兵士たちの物語のネタバレあらすじ:不安に軋む心
カーライルが出て行った後、肌の手入れをしていたリッチーは体をくねらせながらビリーに擦り寄ります。ビリーは不快感も顕に拒絶しました。しばらくして、泥酔したルーニーとその友人コークスが兵舎にやって来ます。ルーニーはコークスを前線帰りの英雄だと賞賛しました。2人は戦争の体験を生々しく語り、ビリー達に少しずつストレスを与えていきます。コークスは蓋つきのタコつぼに潜んでいた敵兵の話をしました。コークスはタコつぼに手榴弾を投げ込み、閉めた蓋に座って敵兵の悲鳴を聞いたそうです。ルーニーとコークスは、開かずに落ちる落下傘を歌った「ビューティフル・ストリーマーズ」を口ずさみました。すると突然コークスが倒れます。彼は白血病に冒されていましたが、未だにその事実を受け入れられずにいました。一緒に前線へ戻ろうと励ましたルーニーは、消灯を告げ兵舎から出て行きます。静かになった兵舎に、今度は大きな音を立ててカーライルが転がり込んで来ました。クラブ帰りのカーライルは酔っているのか、自分は独りだと喚いて泣き崩れてしまいます。3人は仕方なくカーライルを一泊させることにしました。
ストリーマーズ/若き兵士たちの物語のネタバレあらすじ:カーライルの挑発
翌日。ビリーとロジャーが中庭に出ている時、カーライルが兵舎にやって来ました。彼は親しみを感じると言い、リッチーに近付きます。自分もリッチーと同じく男性を好きになることがあり、好きになると触りたくなるのだと。リッチーは怯えたように身を固くしてカーライルから逃れようとしました。そこにビリーが戻って来ます。リッチーと関係しているのだろうとカーライルに笑われ、ビリーは怒りに震えました。ビリーとリッチーから厳しい目を向けられたカーライルは兵舎を出ていき、ロジャーを町に誘います。承諾したロジャーは、ビリーとリッチーも誘いました。カーライルを嫌う2人に、除け者は酷いよと悪気なく笑います。カーライルに腹を立てる一方、誘うようなリッチーの視線も拒絶したいビリーは、結局ロジャーと一緒に行くことにしました。
ストリーマーズ/若き兵士たちの物語のネタバレあらすじ:思わぬ悲劇
夜。それぞれベッドに入ったビリーとロジャーに構うことなく、リッチーとカーライルは恋人同士のような雰囲気を漂わせていました。自分達は家族だと笑うカーライル。苛立つビリーは、偽物の演技だと相手にしません。するとリッチーはビリーを馬鹿で嘘つきだと侮辱し、カーライルを褒めました。調子を合わせるカーライルにロジャーは呆れ果てます。精神的な弱点を突くのが上手いカーライルはついにビリーを激怒させてしまい、一触即発の修羅場に突入しました。靴を投げられたカーライルは怒りのままナイフでビリーの手のひらを切ってしまいます。痛みに呻くビリーもナイフを持ち出し、憎しみに燃える目で不潔な奴らは出て行けとリッチーとカーライルを怒鳴りつけました。カーライルは思わず突き出したナイフでビリーを刺殺。その上偶然現れたルーニーまでもメッタ刺しにして殺害しました。カーライルはロジャーを脅し、口止めをして兵舎から飛び出していきます。
ストリーマーズ/若き兵士たちの物語の結末:それぞれの後悔
すぐにリッチーが呼んだMPが兵舎に到着しました。ロジャーはたちまち犯人扱いされてしまいます。直後に連れて来られたカーライルは意味不明なことを言ってシラを切ろうとしました。しかし冷静な声を上げたのはリッチーです。ロジャーは無関係であり、カーライルが突然ビリーを刺したと報告。軍を辞めて故郷に戻ると言い出したカーライルを、MPは眉を顰めながら連行します。ロジャーとリッチーはそのまま就寝するよう命令されました。ベッドに入ったロジャーは、ホモセクシャルだと明言しないリッチーの態度がビリーを殺したのだと呟きます。リッチーはビリーのことが好きだったのだと懺悔しました。そこへ、泥酔して何も知らないコークスがルーニーを探しにやって来ます。陽気にワインを呷りながら、いつものようにルーニーとの思い出を語り始めるコークス。すると泣いているリッチーに気付きます。ロジャーがリッチーのホモセクシャルを暴露しますが、コークスは責めませんでした。そして世間にはホモセクシャルより悪いものがたくさんあると、最悪なのは白血病だと語ります。コークスはこれまでの人生で出来なかったことを振り返りました。もし妻子がいたらどうだったか。もしタコつぼの敵兵を助けてやっていたら、何か変わったのか。コークスが口ずさむ「ビューティフル・ストリーマーズ」の悲しい調べが兵舎に響き、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ストリーマーズ/若き兵士たちの物語」のあらすじと結末でした。
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