悪い種子(わるいたね)の紹介:1956年アメリカ映画。一見無邪気で可愛らしい少女が殺人を重ねていく背景にその少女の母親の暗い過去が潜んでいます。その母親自身も知らなかった過去を暴きながら、少女の殺人も暴かれていきます。パティ・マコーマックが子役で好演しています。母親役のナンシー・ケリーも過去に対する疑念と娘への不安を見事に演じています。
監督 :マーヴィン・ルロイ 出演:パティ・マコーマック、ナンシー・ケリー、ヘンリー・ジョーンズ、アイリーン・ヘッカート、イヴリン・ヴァーデンほか
映画「悪い種子」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「悪い種子」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「悪い種子」解説
この解説記事には映画「悪い種子」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
悪い種子(わるいたね)のネタバレあらすじ1
恵まれた家庭に育つローダという可愛らしい少女は家族にも隣人にも愛され、何不自由なく暮らしています。
でも実は学校では問題児扱いされ始めていました。わがままで思いやりがないため、友人ができないことが原因でした。
ここまでは裕福な子供によくありがちなことなのですが、現実はそんなに単純なものではありませんでした。
悪い種子(わるいたね)のネタバレあらすじ2
ローダは自分のほしいものを手に入れずにはいられないのでした。事件が起こったのは学校のピクニックでローダの同級生の少年が溺死したのです。
なぜ禁止されていた橋の近くへ少年がいったのか、目撃した人もいませんでした。ローダは同級生が亡くなっても動揺したり悲しんだりする気配もなく、ピクニックが台無しになってしまったと無感情に話すばかりです。
そのあたりから母親は不安を感じはじめます。ローダの家の手伝いにきている男性がまずローダの異常性に気づいており、少年の死は事故ではなく、殺人事件だと察してローダの嘘を暴いたため、この男性はローダに焼き殺されてしまいます。
悪い種子(わるいたね)のネタバレあらすじ3
母親はローダが少年が持っていたメダルほしさに殺したということに気づきます。と同時にどうしてこんな幼い子供が殺人犯になりうるのかと考え始めます。
ローダの母親は幼いときから自分が両親の実の子供ではないのではないかと疑っていました。そして遊びに来ていた父親に尋ねます。父親は実はある女性殺人犯の娘を引き取ったと打ち明けるのでした。
溺死した少年、焼死したお手伝いの男性、そして以前にも旅先で亡くなった老婦人もローダが殺していたということが判明し、ローダには殺人鬼の遺伝子が潜んでいるということを知って、娘を道連れに心中を企てますが、失敗し、二人とも命を取り留めます。
悪い種子(わるいたね)の結末
ローダが隠し持っていたメダルはローダの母親の手で少年が溺死した海に捨てられましたが、ローダはあきらめきれません。
ローダは鼻歌を歌いながら雨の中を海辺へ行き、メダルを探しているところを雷に打たれ、即死しました。その光景はまるで天罰さながらでした。
以上、映画「悪い種子(わるいたね)」のあらすじと結末でした。
「悪い種子」感想・レビュー
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とても恐ろしく物語、サイコパス
金字塔 -
恐れ入りました!っと、只々感嘆し驚愕せずにはおれない凄い内容の作品である。脚本と女優陣のセリフの密度が濃くその迫真の演技に圧倒された。お母さんの心の葛藤と娘の異常なる敵意(攻撃性)と狂気、そして息子を失った母親の悲痛なる苦悩が重層的に奏でられる。この三重奏の迫力には舌を巻くほかあるまい。事実、三人共アカデミー賞にノミネートされている。そしてこの映画にはローダ役のパティ・マコーマックの天才的な熱演が不可欠である。ローダ役が並みの子役であれば異なる印象の作品になっていたのではないだろうか。ブロードウェイで舞台に立ち好評を得て、それを映画に持ち込み昇華させたパティ・マコーマックの並外れた力量に心から拍手を送りたい。パティ・マコーマックのパフォーマンスは全く非の打ち所がない高次元の名演としか言いようがない。アカデミー助演賞にノミネートされたと言うが今日であれば文句なしにアカデミー賞を受賞したであろう。お母さん(クリスティーン)と娘(ローダ)のやり取り(会話・振る舞い・リアクション)には終始ハラハラさせられた。ローダが凶悪な目でお母さんを睨みつける場面はホラー映画そのもの。典型的なサイコパスで模範的なパーソナリティ障害。決してローダの性格が悪いのではなく、持って生まれた能力を育て才能を発揮しているに過ぎない。ネコ科の猛獣にいくら山羊を襲うなと言っても酷である。クリスティーンはだからこそ娘を道連れにして旅立とうと決心した。ローダの狩猟本能を抑え込むことが不可能だと悟ったからだ。ローダが繰り返すピアノ演奏(練習)も、どこか不自然で無機的で怖かった。更に後半から終盤に掛けてピアノの音量が増して加熱し激化する狂気にも震撼した。鼻歌を歌い無表情でままごとをしてその傍らで殺人を繰り返すローダ。ローダはままごとや人形遊びには微塵も満足してはいない。ままごとは気を紛らわすルーティンワークに過ぎないからだ。ローダは殺人ゲームをして遊んでいるのである。心から殺人を楽しんでいるのだ。「本当は怖い童話」と言うカテゴリーがあるがこの映画は正にそれである。ローダがクリスティーンに犯行を打ち明けてからの展開も恐ろしい。親切だがお節介な大家さんに見せる優等生の笑顔とお母さんに見せる冷徹な素顔のギャップ。もしも違う筋書きにするならば周囲の誤解がサブテーマになる。「周囲の人間が妄想に耽る母親が狂いだして娘に辛く当たっていると思い込む。そして遂に母親が娘に手をあげて精神病院送りになる。残された娘は周囲の目を盗んでは悪事に手を染める。」不謹慎だが映画を観ながら勝手な想像をしていた。所でこの映画のコンセプト自体が今の日本では到底受け入れられないであろう。「悪い種子」と言うタイトルからして非難されかねない。差別だの蔑視だのとノイジーマイノリティーが幅を利かせる世の中になったからだ。都合の良いものには表現の自由と言うお墨付きを与えるが気に食わないものは徹底して排除する日本の現状。この作品はその意味でも大変貴重であり、制作に関わったスタッフの勇気と真の善意には胸が熱くなる。スリラー映画としてもホラー映画としても人間ドラマとしても超一流の歴史的な大傑作であると断言する。絶賛の上に絶賛を重ねてその偉業を称えたいと思う。
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犯人にされたという、さよさんの実話が怖いです。そして、恐らく真犯人は駐在所の娘という・・・つまり警察官のお子さんですよね?映画レベルのホラーです。
小学生の頃、伯母がこの映画を観てこんな怖い少女がいるのよ。あんたはこんな少女になってはいけない。と言われました。私は観ていないのに73歳になるまでハッキリ憶えています。小さい頃何等かの犯罪に巻き込まれて私が犯人にされたことが多く、今頃になって近所の駐在所の娘さんが犯人だったことに気が付きました。私自身は虐められなかったので気が付きませんでした。この少女は発達障害なのか、前頭側頭変性症七日、犯罪心理学としては興味があります。これほどひどく無くても結構いますねこんな人。