グッドライアー 偽りのゲームの紹介:2019年アメリカ映画。ニコラス・サールが2016年に発表した小説『老いたる詐欺師』を『グレイテスト・ショーマン』『美女と野獣』などのビル・コンドンが監督・製作を務めて映画化したクライム・サスペンスです。夫を亡くした資産家と冷酷なベテラン詐欺師が繰り広げる騙し合いを、二人の意外な過去を絡めて描きあげました。
監督:ビル・コンドン 出演者:ヘレン・ミレン(ベティ・マクリーシュ)、イアン・マッケラン(ロイ・コートネイ)、ラッセル・トーヴィー(スティーブン)、ジム・カーター(ヴィンセント・ハロラン)、マーク・ルイス・ジョーンズ(ブリン)、ローリー・デヴィッドソン(ハンス・トーブ(1948年))、セリーヌ・バッケンズ(アナリース)、フィル・ダンスター(ロイ・コートネイ(1948年))、スパイク・ホワイト(ハンス・トーブ(1943年))、ネル・ウィリアムス(リリー・シュローダー)、ルシアン・ムサマティ(ベニ)、ヨハンネス・ハウクル・ヨハネッソン(ヴラド)、トゥンジ・カシム(マイケル)、ベシー・カーター(秘書)ほか
映画「グッドライアー 偽りのゲーム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「グッドライアー 偽りのゲーム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
グッドライアー 偽りのゲームの予告編 動画
映画「グッドライアー 偽りのゲーム」解説
この解説記事には映画「グッドライアー 偽りのゲーム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
グッドライアー 偽りのゲームのネタバレあらすじ:起
2009年、イギリス・ロンドン。資産家である初老の女性ベティ・マクリーシュ(ヘレン・ミレン)はインターネットの出会い系サイトに「エステル」という名前で登録、ワインを飲みながら「飲酒しない」との項目にチェックしました。
一方、初老の男性ロイ・コートネイ(イアン・マッケラン)もこのサイトに「ブライアン」という名で登録、煙草を吸いながら「非喫煙者」の項目にチェックしました。さらにベティとロイはそれぞれの家族構成についても入力、ベティは一人息子を交通事故で亡くしたと記入、ロイもまた息子とは不仲であると記入しました。
ベティとロイは実際に会う約束をし、レストランで待ち合わせました。先に到着したベティは酒を飲まないと言ったにも関わらずロイの前でウォッカ・マティーニを飲み、二人は互いに偽名を使っていたことを明かして打ち解け合いました。
ベティは孫のスティーブン(ラッセル・トーヴィー)が残された唯一の家族であると語り、ロイは3年前に妻を亡くし、一人息子のロバートは今オーストラリアに住んでいると語りました。やがてベティは迎えに来たスティーブンと共に帰路に就き、彼女を見送ったロイはタクシーに乗ってとあるストリップクラブへと向かいました。
実はロイは冷酷なベテラン詐欺師であり、詐欺仲間のヴィンセント・ハロラン(ジム・カーター)と組んで投資家のブリン(マーク・ルイス・ジョーンズ)を騙そうと目論んでいました。ロイとヴィンセントは外国人相手のハイリターンの投資話をブリンに言葉巧みに持ちかけ、ビルの1室を借りてロシア人投資家のヴラド(ヨハンネス・ハウクル・ヨハネッソン)とブリンを引き合わせました。
しかし、ロシア嫌いのブリンは余計な一言でヴラドを怒らせ、ヴィンセントのとりなしで何とか取引話は進められることになりました。ヴラドに謝罪したブリンはお詫びの気持ちとして出資額を倍に引き上げると約束、ヴラドとウォッカで交渉成立の祝いをしようと持ちかけましたが、ブリンはヴラドが盗聴器を持っていることに気が付きました。
そこへ警察官が突入、顔色が真っ青になったブリンはその場から車で逃走していきました。実は警察官役もロシア人投資家役を演じたヴラドもロイの協力者であり、まんまとブリンから大金をせしめることに成功したロイたちは作戦成功の祝杯をあげました。
グッドライアー 偽りのゲームのネタバレあらすじ:承
ロイはベティとすっかり打ち解け合い、デートを重ねるようになりました。ある日のこと、ロイは自分の膝の調子が悪いことをベティに打ち明けました。
次のデートの際、ベティは杖をついて歩くロイを自分の車に乗せ、自宅に招いて夕食を振る舞いました。そこへやってきたスティーブンはベティと急に仲良くなったロイがどうも気に入りませんでしたが、ベティからロイを自宅まで送り届けるよう頼まれてやむなく従いました。
ベティとスティーブンはロイを自宅マンションまで送りました。ロイはこのマンションの最上階に住んでおり、階段の上り下りが辛そうなのを案じたベティはスティーブンの反対を押し切って自宅に滞在しても良いと誘いました。
ロイはベティの厚意に甘えて彼女の家に滞在することにしました。そんなある日、ベティの家の前に怪しげな黒い車が通りかかったのを見たロイは非常に気にしましたが、ベティは考え込みすぎだと気にしませんでした。
ロイはヴィンセントと共にヴラドの元を訪れました。ヴラドはロイの素性は知っていると脅して分け前をよこすよう迫りましたが、ロイは手下を呼び込んでヴラドを痛めつけさせました。ロイは次の狙いをベティに定めていました。
ロイはヴィンセントを投資顧問だと紹介してベティに引き合わせ、自分の遺産をベティに分けたいと話して彼女の反応を探りました。ロイはさりげなくベティの資産を探りますが、ベティは1年前に亡くした夫の遺産や自宅などを合わせると総額280万ポンド(日本円で約3億7000万円)だと答えました。
予想していた金額よりも遥かに巨額の資産をベティが有していることに驚いたロイとヴィンセントは早速後進国へのハイリターンな投資話を持ちかけましたが、ベティは「考えておく」と回答を保留しました。
その夜、ロイはベティを口説こうとしましたが、ベティはやんわりと断りました。その直後、ベティ家の庭に怪しげな人影が現れ、ベティの叫び声を聞きつけたロイが駆け付けると不審者はそのまま逃走していきました。
翌日、ロイは再びヴィンセントとベティを引き合わせました。ヴィンセントはロイが投資した結果2万ポンドを稼いだことをアピール、ロイはこの金の半分をスティーブンに譲渡、残り半分で海外旅行をしようとベティに持ちかけました。ベティは亡き夫と行く約束をしていたパリとベネチアとベルリンへの旅を希望しますが、ロイはギリシャ行きを勧めてきました。
その時、ベティは持病の発作を起こして倒れ、駆けつけた担当医はベティはこのまま治療をしなければ余命1年だと宣告しました。担当医はベティに療養するよう勧めますが彼女は拒否、ロイは仕方なくベティの望み通りパリとベルリンに行こうと告げました。
旅行のための買い出しに出かけていたロイは、街中で自分が騙したブリンに尾行されていることに気付きました。ベティと別行動を取ったロイはブリンを地下鉄駅に誘い込み、ホームへ入ってきた電車に突き飛ばして殺害しました。ロイは何食わぬ顔で乗客に紛れてその場を後にし、ベティと合流してデートしました。
グッドライアー 偽りのゲームのネタバレあらすじ:転
ロイとベティはベルリンへと旅立ちました。二人がブランデンブルク門に到着すると、そこにはスティーブンが待ち構えていました。ベティとスティーブンはロイを驚かせるために黙っていたことを明かし、ベルリンに詳しいというスティーブンは街の案内を買って出ました。その後、ベティは疲労の色を浮かべるロイを一足先にホテルに連れて行くようスティーブンに頼み、単身でとあるアパートを訪れました。
その後、ベティは手の平に怪我をして戻ってきました。転倒したというベティはロイの手当てを受け、二人を夕食のため迎えに来たスティーブンはレストランに行く前に寄り道したいと言い出しました。スティーブンに連れられ、ベティと共にとあるアパートにやってきたロイは思わず顔を引きつらせました。スティーブンは二人に、ロイの過去を調べ上げたことを告白しました…。
…第二次世界大戦終戦後の1948年。ロイ(フィル・ダンスター)はナチスドイツの戦争犯罪を調査する諜報機関「Vセクション」の諜報員でした。ロイは相棒で通訳のハンス・トーブ(ローリー・デヴィッドソン)と共にマルティン・ガイガーという人物を調査していましたが、二人に気付いたガイガーはロイとハンスを銃撃して逃亡しました。ロイは命を落とし、ロイに風貌の似ているハンスは彼に成りすましてイギリスに渡りました。ハンスはロイを演じたまま上手く彼の両親とは距離を保ち、両親が他界した後に遺産を相続したのです。
ロイの正体はハンス・トーブでした。ハンスは自分は罪を犯していないと主張しますが、スティーブンはハンスには他にも余罪があることを指摘しました。ベティはもういいと声を荒げ、自分の選択は自分でするとスティーブンに告げました。
ロンドンに戻ったベティは、共同口座を作ろうとハンスに持ちかけました。ヴィンセントと合流したハンスは自分が資金を口座に移せばベティも乗っかってくると語りかけましたが、ヴィンセントはベティが先が長くないことを知って躊躇しました。しかし、ベティの資産全てを騙し取るつもりのハンスはヴィンセントをけしかけ、ハンスとベティはとある銀行に共同口座を開設、ヴィンセントの立ち合いのもと互いの全資産を入金しました。
二人だけがアクセスできるパスワードを設定するようヴィンセントに促されたベティは、部屋にある百合の絵を見て「Lilies(リリーズ、百合を意味する)」をパスワードに指定しました。全ての取引は完了、まんまとベティを騙せたとほくそ笑むハンスは息子が自分に会いたいと言ってきていると嘘をついてその場から立ち去りました。これで取引は完了です。
グッドライアー 偽りのゲームの結末
ホテルに着いたハンスは早速タブレットを使ってベティの金を引き出そうとしましたが、バッグを開けてみると何とタブレットがありませんでした。焦るハンスは慌ててベティの家に向かいましたが、彼女の家は家財道具が全て運び出されており、そこにはタブレットを手にしたベティが待ち構えていました。
ベティはハンスのタブレットをも手にしており、まだ分からないのかと言うと部屋の百合の絵を指さしました。百合=パスワードの“Lilies(リリー)”に、ハンスは自身が若かった頃の記憶を思い出しました…。
…1943年、ベルリン。当時15歳だったハンス(スパイク・ホワイト)は、ベルリンの資産家の令嬢リリー・シュローダー(ネル・ウィリアムス)の英語の家庭教師をしていました。リリーはハンスのことが好きで、彼の髪の毛をロケットに入れて保管するほどでした。
そんなある日、早めにリリーの家に出向いたハンスはリリーの3人の姉にからかわれ、言われるがままにダンスを踊ることにしました。自分が誘われていると感じたハンスは姉のひとりに思わずキスをしようとして拒否され、侮辱されたと感じたハンスはリリーの部屋に行くと何と彼女をレイプしてしまったのです。
事を終えて部屋を出たハンスを、リリーの父と姉3人が待ち構えていました。リリーの父はハンスが姉に無理やりキスをしたとしてハンスをクビにし、逆恨みしたハンスは当局にリリーの父は戦時下で不正に金儲けをしたと密告しました。リリーの父は逮捕され、母は自殺してしまいました。そしてリリーの3人の姉は空襲で命を落としたのです。
ベティの正体は何とハンスにレイプされたリリーその人でした。実はリリーは先日ハンスと共にベルリン旅行をした際、ひとりでかつての生家を訪れ、床下に隠していたハンスの髪の毛入りのロケットを回収していたのです。リリーの手の怪我はこの際に負ったものであり、リリーは髪の毛をDNA鑑定にかけてハンスが紛れもなく自分をレイプした本人であることを突き止めていたのです。
そしてリリーの持病もかかりつけの担当医もでっちあげであり、スティーブンはリリーの本当の孫ではないことまで明らかになりました。スティーブンはリリーの実の孫であるマイケル(トゥンジ・カシム)の友人であり、リリーはスティーブンにハンスを調べさせる一方でマイケルは常にリリーの周辺を見張っていたのです。ハンスが不審者だと思い込んだ人物こそがマイケルだったのです。
なぜここまでするのかというハンスの問いに対し、リリーはハンスにレイプされたあの日から60年間、自分はずっと部屋に閉じ込められたままだったと語り、正面からハンスに向き合うことで解き放たれたかったのだと語りました。ハンスはリリーに謝罪する素振りを見せて彼女を襲おうとしましたが、リリーは過去にハンスが騙した投資家やハンスが痛めつけた詐欺仲間をその場に呼び寄せ、ハンスは叫び声を上げながら連れて行かれました。その様子を見届けたリリーはその場を後にしました。
後日。ヴィンセントは病院に入院しているハンスを見舞いに行きました。ヴィンセントは看護師から、ハンスは耳は聴こえるものの口を開くことはできないと説明を受けました。車椅子のハンスはめっきり老け込んでいました。その頃、ハンスへの復讐を果たしたリリーは、マイケルら家族や友人を屋敷に招いてホームパーティーを催していました。
以上、映画「グッドライアー 偽りのゲーム」のあらすじと結末でした。
おばあちゃんとおじいちゃんが主役なので期待してませんでしたが、面白かったです。
いわゆる詐欺師の映画ですが内容は結構複雑です。しかし私はどちらが騙されているのかすぐに分かってしましました。ですが人間関係や動機が複雑で映像的にもドキドキするシーンが多くて最後まで目が離せない、そんな映画です。おじいちゃんのイアン・マッケランさんですがロードオブザリングやXメンにもでてる私の大好きな俳優さんです。