グレートレースの紹介:1965年アメリカ映画。冒険家レスリーは、様々な挑戦を行いその名声を博していた。彼は更なる冒険を求め自動車企業と協力、ニューヨークをスタートしパリをゴールとする大規模レースを企画する。それに自称ライバルで卑怯な手段が得意な発明家フェイトや、女性の社会参画を推進する新聞記者マギーも参戦、七転八倒のレースが開幕する。「チキチキマシン猛レース」に大きな影響を与えたと言われるコメディ・アドベンチャー映画。
監督:ブレイク・エドワーズ 出演者:グレート・レスリー・ギャラント3世(トニー・カーティス)、フェイト教授/ハプニック皇太子(ジャック・レモン)、マギー・デュボワ(ナタリー・ウッド)、マクシミリアン・“マックス”・ミーン(ピーター・フォーク)、ヘゼカイヤ・スターディ(キーナン・ウィン)
映画「グレートレース」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「グレートレース」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「グレートレース」解説
この解説記事には映画「グレートレース」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
グレートレースのネタバレあらすじ:起
冒険家グレート・レスリーは、様々な冒険に挑戦し、成功させ、その名声を上げて行きました。しかし、ライバルを自認するフェイト教授は、助手のマックスと共にレスリーが挑戦する度に妨害を試みますが悉く失敗、更には対抗して自分も冒険に挑みますがやはり失敗していました。レスリーは新たな挑戦としてアメリカの自動車産業の素晴らしさを証明すると、ニューヨークから西回りでパリをゴールにする長距離レースを自動車会社重役に提案します。その為特別な車を作って欲しいと願いますが、重役の一人がレスリーを嘲笑した挙句、彼の提案を却下します。レスリーはその男を不信に感じ、変装ではないかと髭を引っ張りますが抜けません。その男がこれは本物だと自分で引っ張って見せるとあっさり抜け、フェイトの変装が露顕しました。彼はその場を逃げ出し、捨て台詞でレスリーに宣戦布告して行きました。新聞社にレースの情報が伝わります。そのレース取材に名乗りを上げたのは、社会への女性参画を声高に主張するデュボワでした。彼女は編集長から力尽くで取材員の立場を手に入れます。フェイトが隠れて偵察しているのも知らず、浜辺でレスリーは車の試走を行います。そこにレースの取材だとデュボワがやって来ました。天幕に場所を移し、彼女はレースの取材とは名ばかりに男女平等に関してレスリーにインタビューします。しかしレスリーは彼女の意見に否定的でした。怒ったデュボワはその場にあった剣でレスリーに勝負を挑み、女性の有能性を示そうとします。しかし勝負はレスリーに軍配が上がり、追い返されそうになった彼女はしがみ付きインタビューを続けようとします。ですが、レスリーはキスをして隙を作り、執事のヘゼカイヤに彼女を連れ出させました。隠れ家でオルガンを弾くフェイトをマックスが夕食に呼びに来ます。そこにデュボワが取材の申し込みに来ました。対応したマックスは取材を拒否します。マックスはこれをフェイトに子供悪戯だと報告しましたが、今度は番犬が吼え始めました。レース用の車が狙われていると二人は慌ててガレージへ向かいます。するとそこに、犬追われたデュボワが逃げ込んで来ました。そして彼女は知らずにガレージの警戒装置を作動させてしまい、挙句車に詰まれた妨害装置の大砲を発射させてしまいます。フェイトはデュボワを追い出しますが、デュボワは不当な扱いだと抗議しました。
グレートレースのネタバレあらすじ:承
レース開幕当日が来ました。セレモニーが開かれ人気者のレスリーの周りには人垣が出来、フェイトは忌々しそうに目を向けます。その間マックスは参加者の車に細工して回っていました。ファンサービスをするレスリーですが、そこにデュボワの姿が目に入ります。彼女もレースに参加していました。レースがスタートします。スタートしてすぐ、フェイトはマックスに首尾を問います。レスリーの車には行えませんでしたが、マックスが各車に行った仕掛けはその計算通りに働き、次々とリタイヤさせて行きます。それを見て大笑いするフェイトですが、マックスは誤って自分の車にも仕掛けを行っていて車が故障、火に包まれてしまいました。フェイトは慌てて火を消します。その横を通り掛ったデュボワはそれを写真に取り、伝書鳩で本社に送りました。マックスはフェイトに睨まれ、自分で自分を罰します。初日、新聞は不可解な故障のお陰もあり、レスリートップの記事を報じました。レースが続き、デュボワの車が立ち往生します。デュボワは後続を止めようとしますが、フェイトは笑いながら追い越して行きます。彼女は次に来たレスリーに対して、具合が悪そうにその車の前に倒れ込み停車させました。レスリーがデュボアを診てヘゼカイヤが車を診ます。彼女は問題ないですが、車はもう駄目だとヘゼカイヤは言います。レスリーは無謀な挑戦だったが良くやったとデュボワを称えますが、彼女は自分の荷物をレスリーの車に詰め込み始めます。彼女は脱落はしたが完走はすると言い出し、レスリーは仕方がなく次の街まで乗せて行く約束をします。先行するフェイトは先住民襲われ、煙幕を使い振り切ります。次の町ボラーチョに着くと、住民はレーサーを歓迎しました。しかも襲った先住民は保安官達の変装でした。しかしフェイトはガソリンだけ補充させろ断ります。市長は歓迎を受けなければ渡さないと押し問答になり、フェイトは補充せず去り、次に来たレスリーは快く彼等の歓迎を受けました。英雄の如くレスリーを囲み祝宴が開かれます。町一番の歌手が接待しますが、酒を飲んでいた一人が恋人のジャックが見たら大変だと呟きます。祝宴に紛れ込んでいたフェイトはそれを聞き付け、ジャックの居場所を聞き出し密告に行きます。早速現れたジャックはレスリーに難癖をつけ始め、祝宴は大乱闘の会に早代わりしました。その間フェイトは自分のガソリンは補充し、残りは爆破して逃げます。町を抜け勝ち誇る彼ですが、鳩の鳴き声が聞こえて来たのでふと振り返ると、デュボワが忍び込んでいたのでした。車を馬に引かせるレスリーは、置いて行かれたデュボワを見付けます。彼女は近くの駅まで乗せて行けと要求しますがガソリンも無く、コースを外れるので彼は嫌がります。しかしデュボワは、伝書鳩を持っていました。駅に着き、デュボワの連絡でガソリンが届けられていましたが、彼女は自分を乗せるのが条件だと言い出します。それにはヘゼカイヤが大反対をし、それなら自分は降りると言い出します。レスリーがヘゼカイヤは必要だと引かないので、デュボワは彼を巧みに汽車に引き入れ座席に手錠で繋ぎ止め、追い払ってしまいました。
グレートレースのネタバレあらすじ:転
レスリー達はアラスカに辿り着いていましたが、フェイト共々吹雪で立ち往生してしまいます。4人は熊に襲われたり、協力して寒さに対応していましたが、今度は足元の氷塊が漂流を始めます。しかし何とかロシアに流れ着く事が出来ました。ですがその流れ着いた先では、ヘゼカイヤが待って居ました。ヘゼカイヤを追い払った事がばれたデュボワとレスリーは喧嘩を始めます。それを余所にフェイトが出発します。先行したフェイトは、何故かデュボワを乗せていました。ロシア語も堪能な彼女と道中うまくやって行き、カルバニア王国に入ります。車の整備を兼ねて湖で休憩していると、3人は何故か逮捕されてしまいました。遅れてレスリーも王国に入ります。彼は王宮で皇太子と面会しましたが、それがフェイトにそっくりでした。しかも、その身の回りの世話を将軍にやらせるかなりの放蕩者のようでした。レスリーは、翌日行われる彼の戴冠式に列席する事になりました。その夜、皇太子が寝入った隙に将軍が彼を抜け道から連れ出しました。車を点検していたヘゼカイヤがそれを偶然目撃、追跡します。そこは男爵の城で、フェイト達も捕えられていました。将軍と男爵は、皇太子とフェイトを入れ替え、戴冠式で将軍を首相に任命させる陰謀を企んでいました。フェイトはレスリーの逮捕と引き換えにそれを承諾します。マックスはフェイトの身を案じ、ヘゼカイヤが助けに来たのに乗じて城を脱出、レスリーに助けを求めます。レスリーは逆に捕えられてしまったヘゼカイヤ達救出の為にもマックスに協力します。城に乗り込んだ二人はフェイトの車で大暴れをします。そしてレスリーは男爵と一騎打ちを行い、見事勝利しました。教会では戴冠式が進んでいました。皇太子を連れ急ぐ二組ですが、マックスは突如レスリーの車を砲撃、足止めをして一人教会に忍び込みます。そして戴冠式を行っているフェイトにこれまでですと注進しすると、王冠を受けたフェイトは宣言せずそのまま教会の正面から逃げ出しました。そこにレスリーが追い付いて来たので、デザートを作っている厨房に逃げ込みますが、追ってきた将軍にケーキの上に落されてしまいました。怒ったフェイトは将軍にパイを投げ付けます。更に将軍は仕返しをし、駆け付けてきたレスリー達を巻き込んでパイ投げ合戦が始まってしまいます。大混乱の中、逸早く正気に戻ったフェイトは逃げ出し、レスリー達はデュボワを連れそれを追います。皇太子は、楽しかったと彼等を見送りました。
グレートレースの結末
レスリー達はデュボワを毛嫌いします。しかし休憩中、彼女が歌を聞いたレスリーは歩み寄りをしようと近付きます。お互いを尊重し、お互いが自由だとムードを作ってキスしようとしますが、彼女は平手打ちを放って来ました。タイヤ交換をしているフェイトを抜くレスリーですが、その間も彼とデュボワは口喧嘩が止みませんでした。そんな彼等をフェイトは更に抜き返します。レースは最後の舞台パリに入り、そのゴールまでの入り組んだ道程を巡り、レスリーとデュボワは言い争いを続けます。そして男女間を議題にすると、口先だけで軽薄だとデュボワはレスリーを罵ります。レースはゴール直前で、レスリーが先行していましたが、彼はデュボワにキスしたいだけだ、何故なら愛しているからだとその証明の為にゴール手前で車を止めてしまいました。その横を追い縋ったフェイトが抜き去りゴールし、勝利は彼に舞い込みました。デュボワは負けたとレスリーを受け入れます。勝利の祝福を受けるフェイトは、最初は喜びましたがレスリーが勝ちを譲ったと思い込みイカサマだと彼に再勝負を申し込みました。今度はパリからニューヨークを目指しレースが開催され、スタートします。先行したのは新婚ほやほやのレスリーとデュボワでした。見送るフェイトの横でマックスは焦りますが、自分には自分のやり方があると大砲を準備します。そしてマックスに発射を命じました。大砲は発射され、エッフェル塔が倒壊し、フェイトのマックスを叱責する声が響き渡ります。
この映画は、ジャック・レモンとトニー・カーティスの最強コンビで、ブレイク・エドワーズ監督が描いた、抱腹絶倒のアクション・コメディの傑作だと思います。
この映画「グレートレース」は、「ピンク・パンサー」シリーズや「ティファニーで朝食を」などの洒落たコメディ映画を得意とするブレイク・エドワーズ監督の絶頂期のアクション・コメディの傑作ですね。
とにかく、理屈抜きに、文句なしに面白く、めったに見れない抱腹絶倒のコメディで、ブレイク・エドワーズ監督のユーモア溢れるコメディのセンスとサイレント時代の手法を大胆に駆使した演出が、実に素晴らしい。
そして、ヘンリー・マンシーニの素敵な音楽、おまけに「お熱いのがお好き」のトニー・カーティスとジャック・レモンのコンビに「ウエストサイド物語」の当時、人気絶頂だったナタリー・ウッドや「刑事コロンボ」のピーター・フォークが絡んでというように、もう映画ファンからしたら、たまらないメンバーが出演しているご機嫌な映画です。
20世紀の初め、発明家で騎士道精神を重んじる色男のトニー・カーティスと、そんな彼への嫉妬心から何でもかんでも妨害するライバルの、愛すべきキャラの極悪人の教授ジャック・レモンの二人は、ニューヨークからシベリア経由パリまでの自動車レースで決着を付ける事になりました。
トニー・カーティスの真っ白いオープンカーVS真っ黒い変な装備満載の悪魔号、おまけに着ている服まで、トニーカーティスが白でジャック・レモンが黒という凝りようで、ジャック・レモンの助手のピーター・フォークが変てこなキャラで笑わせてくれます。
そして、このレースにウーマン・リブ運動の勇ましい美人記者ナタリー・ウッドが合流し、二人は彼女を張り合い、恋の乱戦も加わった珍道中のハチャメチャなレースが展開していきます。
速いテンポで、あれやこれやの御馳走がふんだんに盛り込まれていて、サイレント映画の名物だった”パイ投げ合戦”など、主人公にはパイが当たりそうで、なかなか当たらないというお約束事もきっちり守っていて笑わせるし、ローレル=ハーディのスラップスティック・コメディを壮大に豪華に再現して、全く飽きさせません。
おまけに、ジェームズ・ボンドもビックリの新兵器も次から次に、ずらりと登場して、お腹を抱えて笑ってしまいます。
そして、何と言っても最高に面白かったのは、名優ジャック・レモンが、ヨーロッパの小国の皇太子に顔がそっくりな事から、王位争奪戦に巻き込まれるエピソードには、彼の珍妙で軽快なコメディ演技に堪能させられます。
やはり、彼はコメディ演技よし、シリアス演技よしの、最高の名優ですね。