老人と海の紹介:1958年アメリカ映画。アメリカの有名作家ヘミングウェイの同名小説を映画化したのが本作。一人の老漁師と一匹の魚との激しい攻防が見所です。本作品のヒットがきっかけとなりヘミングウェイの小説もノーベル文学賞を受賞したと言われています。
監督:ジョン・スタージェス 出演:スペンサー・トレイシー(老人)、フェリッペ・パゾス(少年)、ハリー・ビレーヴァ(マーティン)、ほか
映画「老人と海(1958年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「老人と海(1958年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
老人と海の予告編 動画
映画「老人と海(1958年)」解説
この解説記事には映画「老人と海(1958年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
老人と海のネタバレあらすじ:起
老人(スペンサー・トレイシー)は漁師でした。長年メキシコ湾に船を浮かべ漁をしてきましたが、ここ最近は不漁が続き、もう80日以上も一匹も捕れていませんでした。
老人の漁の相方である少年(フェリッペ・パゾス)もこの不漁のために両親に別の船に乗るように命じられます。しかし少年は一緒に乗ることが出来ないながらも相当に歳である老人を気遣い、いつも一緒にいました。少年は老人が大好きだったのです。
少年が家に帰ると老人はすぐに眠りに落ちました。老人は最近はアフリカの夢をよく見ます。美しい海岸でライオンと戯れる夢、かつては暴風雨や亡くなった妻の夢をよく見ていた老人は、ライオンの夢が大好きでした。何か良い予感を感じながら老人は目を覚まします。
そして船出の時です。少年を起こし、老人は小舟を海に浮かべ出発します。今回はかなりの遠出になりそうです。
老人と海のネタバレあらすじ:承
まだ夜も明けない暗い海を老人は進んでいきます。そして夜が明け太陽が顔を出した頃、老人は漁を開始します。何本もの釣竿を仕掛け、魚がかかるのを老人は待つのでした。
太陽が随分と高くなった頃、仕掛けていた一本の釣竿に信じられない程の手応えを感じます。体ごと引っ張られそうな勢いで魚は老人ごと引きずり込もうとします。潜りっぱなしのこの魚、その強すぎる引きのため、老人は釣糸で手を切ってしまいました。
どうやら持久戦になりそうだ。老人は釣った魚を食べ、体力をつけることにしました。幾度となくやってくる強い引きに、負けじと対抗する老人。やがて魚は水面に顔を出しました。
それはカジキでした。鋭い口に船よりも大きなその姿、老人に見せつけるように現れたカジキは再び水中へと潜っていきました。
老人と海のネタバレあらすじ:転
一睡も出来ないまま1日目が終わり、つい眠ってしまった老人を嘲笑うかのように、魚が引っ張り起こしてしまいます。その攻防戦に加え、突然の雨が老人を襲います。そして迎えた3日目の朝、老人はすっかり疲弊してしまいました。しかしカジキも同様でした。
徐々に浮き上がってきて、やがて水面へやってきます。チャンスとばかりに老人は銛でとどめをさします。仕留めたカジキを船にくくりつけ老人は、帰ることにしました。夜になるにつれてカジキから溢れた血がおびき寄せたものがありました。サメです。
一匹、また一匹と老人の戦利品であるカジキにかじりつきます。長い間の格闘の末、ようやく捕らえることのできたカジキ。老人にはカジキに対して戦友のような気持ちが生まれていました。
サメなんかに食われてたまるか!ナイフや棒でサメを追い払おうとしますが、サメは次々にやってきてカジキを食らっていきました。カジキは半分になり、町の灯りが見えた頃には頭としっぽだけになっていたのです。
なんて運がないんだ、遠くに行きすぎたよ。そう呟き、老人は少年の待つ町に帰ってきました。クタクタになり帰った老人は倒れるように眠りにつきました。
老人と海の結末
朝、目を覚ますと港では大騒ぎになっていました。信じられない程の大きさのカジキを老人が釣り上げた。骨だけのカジキですが大きさは分かります。その大きさを測るものまでいました。
目を覚ました老人の元にコーヒーを持った少年がやってきました。「今度は連れていってね」こう話す少年に「運がないからダメだな」と老人。少年は「運は僕が持っていくよ」と話します。渋々受け入れた老人、怪我が治れば次は少年も一緒に行くようです。
老人は再び眠りにつきます。あの時と同じライオンの夢でした。
以上、映画「老人と海」のあらすじと結末でした。
ノーベル文学賞を受賞した、ヘミングウェイの同名小説の映画化なのだが、ある解説によると、この映画のヒットがノーベル文学賞受賞のきっかけになったとある。
話はシンプルで、登場人物も基本的には老人を慕う少年と老人の2人だけなのだが、この老人の自然との闘い、そして見事な獲物を誰にも見せることができなかった喪失感は、逆に静かな感動となって観客の心を満たす。
自然の中の小さな人間の姿、見事に3日間闘った老人のけなげさ、それでも獲物をサメに喰われてしまう残酷さ、自然との命をかけた孤独な闘い、そして全てを失った老人を迎えてくれる少年の友情。
この映画は、シンプルな作りの中に、人間というものと、自然への讃歌がみちみちている。
以前私は「自転車泥棒」のところで、名作は時にとてもシンプルだ、と書いたのだが、それはチャン・イー・マオの「初恋のきた道」や、この「老人と海」などを念頭に置いて書いた言葉でもある。
実はこの映画、ここで取り上げるかどうか大分迷った。
というのは今の映画を見慣れている方は、この古いカラー映像にしらけてしまうのではないか、という危惧があったからだ。
しかしもちろん原作は素晴らしかったが、私は子供の頃この映画を見て、大人になっても忘れられない感動を覚えたので、ここに残しておきたいと考えた。
監督はジョン・スタージェス。過去に「OK牧場の決闘」を、のちに「荒野の七人」や「大脱走」を監督した。
老人は名優スペンサー・トレイシーである。
スペンサー・トレイシーは老人の役がよく似合っていた。
何の獲物も持たずに帰ってきた老人はうつ伏せになって寝る。
老人はライオンの夢を見ていた。