スパロークリーク 野良犬たちの長い夜の紹介:2018年アメリカ映画。銃乱射事件の犯人を巡り、互いを疑いあう極右民兵組織の男たちの尋問と描け引きが繰り返される緊迫した状況を、緻密な描写とスタイリッシュな映像で描いた密室サスペンス映画です。主演は『蝿の王』の子役として強烈なデビューを飾った後、監督・脚本は本作が初の長編作品となるヘンリー・ダナム、主演は『ワールド・ウォーZ』『オンリー・ザ・ブレイブ』などのジェームズ・バッジ・デールが務めています。
監督:ヘンリー・ダナム 出演者:ジェームズ・バッジ・デール(ギャノン)、ブライアン・ジェラティ(ノア)、パトリック・フィッシュラー(ベックマン)、ハッピー・アンダーソン(モリス)、ロバート・アラマヨ(キーティング)、ジーン・ジョーンズ(ハベル)、クリス・マルケイ(フォード)、ブレット・ポーター(コワルスキー)、コッター・スミス(ローマ)、ニコール・アブシャー(警官)ほか
映画「スパロークリーク 野良犬たちの長い夜」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スパロークリーク 野良犬たちの長い夜」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スパロークリーク 野良犬たちの長い夜の予告編 動画
映画「スパロークリーク 野良犬たちの長い夜」解説
この解説記事には映画「スパロークリーク 野良犬たちの長い夜」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スパロークリーク 野良犬たちの長い夜のネタバレあらすじ:起
季節は狩猟のシーズン。森で一人暮らしをしている元警官のギャノン(ジェームズ・バッジ・デール)は、この日も猟銃で獲物の鹿を仕留めて家に引き上げてきました。
その時、遠方で猟銃ではない自動小銃が連射される音が鳴り響き、爆発音までもが聞こえてきました。隠し持っていた無線機で警察の無線を傍受したギャノンは、警察官の葬儀に武装した男が乱入して乱射事件を起こし、多数の死傷者が発生したことを知りました。
ギャノンはフォード(クリス・マルケイ)という男から招集をかけられ、郊外の倉庫へ向かいました。実はギャノンはフォード率いる極右民兵組織の一員であり、組織のアジトであるこの倉庫には同じく組織の一員である通信機器のスペシャリストのベックマン(パトリック・フィッシュラー)、元帰還兵のモリス(ハッピー・アンダーソン)、口のきけない若者キーティング(ロバート・アラマヨ)、孤独な老人ハベル(ジーン・ジョーンズ)が集結しました。そして最近組織に加わったノア(ブライアン・ジェラティ)も遅れて到着しました。
この組織は将来武装蜂起して公権力に挑戦するという危険思想を持っており、警察との全面戦争に備えて大量に違法な武器を隠し持っていました。組織は当然ながら警察からマークされており、今回の銃乱射事件も組織の犯行を疑われる可能性がありました。組織は外部に居場所を把握されないように全員携帯電話などを没収され、外界の情報を知る手段はラジオと無線のみに限られました。
スパロークリーク 野良犬たちの長い夜のネタバレあらすじ:承
全員が集結した直後、組織の武器庫から銃乱射事件に使用されたものと同型の自動小銃1丁が紛失していることが明らかになりました。この武器庫は組織メンバーしか知らない暗証番号で厳重に管理されているはずであり、組織の者たちはこの中に武器庫から自動小銃を奪って乱射事件を引き起こした者がいるのではと疑心暗鬼になりました。
このままでは組織は警察によって壊滅させられるのも時間の問題であり、組織は保身のために乱射事件の実行犯を特定して警察に突き出す必要に迫られました。そこでフォードからの信任の厚い、尋問のプロフェッショナルであるギャノンが一人ずつ尋問することになりました。
ギャノンは遅れてきたノアを他の場所に隔離しました。小柄で神経質なベックマンには犯行は無理だと判断、ハベルには事件当時に鹿狩りをしていたというアリバイがあったことから、まずは疑わしいモリスとキーティングから尋問することにしました。
ギャノンはイラク帰還兵であり、帰国後は白人至上主義団体などを渡り歩いてきた経歴を持つモリスを一番に疑っていました。ギャノンから精神的に揺さぶられたモリスはノアを犯人に仕立てようと持ちかけましたが、ギャノンは一度ノアと話すとだけ告げて言って外に出ました。
実はノアはギャノンの実弟であり、この組織に潜入捜査していた警察官でした。このことを知っているのは組織の中ではギャノンだけでした。ノアは銃乱射事件の場となった上司の葬儀に参列したために遅れたのであり、ノアは同僚のコワルスキー(ブレット・ポーター)宛ての緊急コードをギャノンに託し、ギャノンは警察無線を傍受中のベックマンにコワルスキーが現れたらコードを伝えるよう依頼しました。その後、引き続きモリスを尋問したギャノンでしたが、彼の嘘を見破ったギャノンはモリスは犯人ではないと判断しました。
スパロークリーク 野良犬たちの長い夜のネタバレあらすじ:転
警察無線を傍受していたベックマンは、今回の銃乱射事件に触発された各地の極右組織が相次いで警察を襲撃しているとの情報を嗅ぎ付けました。その時、バベルは突然自身の身の上話を始めました。
かつて工事現場で働いていたバベルは上司の不祥事を隠蔽していましたが、その上司に裏切られて罪を着せられそうになったことから上司を殺害して逃亡したのです。世間に強い不満を抱くバベルは自分たちも他の組織と同じように武装蜂起すべきだと主張、今はまだその時ではないと考えるフォードは早まった行為だとして止めようとしました。
その時、倉庫の前を偶然にもパトロール中のパトカーが通りがかりました。何とかやり過ごした組織の者たちでしたが、ギャノンは倉庫の外に縛り付けたままのノアが気がかりでした。フォードはギャノンに早く犯人を特定しなければノアを犯人として突き出すと脅しをかけ、ギャノンはキーティングへの尋問に取り掛かりました。
キーティングは倉庫のフォークリフトにぶら下げられたロープに首をかけられ、ギャノンはキーティングのロッカーから押収した、彼が世間への恨みや襲撃計画などを記した日記を突き付けて尋問を始めました。
すると、言葉を発せないはずのキーティングが突然語り始め、ギャノンの尋問テクニックは全てお見通しだと語り始め、日記に書かれた内容は執筆中の小説だと弁明すると、逆にギャノンこそ疑わしいと問い質してきました。そこでギャノンは自らの過去について語り始めました。
スパロークリーク 野良犬たちの長い夜の結末
かつて潜入捜査官だったギャノンは、同僚と共にある犯罪組織に潜入していました。しかしある日、同僚の正体が犯罪組織にバレてしまい、ギャノンは上司の意向もあって犯罪組織の目の前で同僚を射殺せざるを得ませんでした。その後、犯罪組織は警察によって壊滅させられましたが、深い後悔の念に駆られたギャノンは警察を辞め、この組織に加わったのです。
一連のやり取りの後、キーティングは自分が乱射事件を起こしたことを打ち明け、無線を通じて警察に出頭すると言い出しましたが、組織の者も警察側もこれはキーティングの売名目的の嘘の自白だと見破っていました。しびれを切らしたフォードはノアを犯人に仕立てて警察に突き出すことにし、ギャノンの反対を押し切ってノアをフォークリフトのロープに吊るしました。
その時、倉庫を完全包囲していた警官隊が突入してきました。ギャノンは隙を突いてノアを助けると倉庫の外に出、フォードたちは武装して警官隊と激しい銃撃戦を繰り広げました。そしてフォードら組織の者は全員射殺されました。
生き残ったギャノンに、ノアは真実を語り始めました。実は銃乱射事件などは発生しておらず、この組織を騙してアジトに集結させ、一気に叩き潰すための周到に準備された大掛かりな作戦だったのです。警察の無線やラジオのニュースなども全て嘘であり、ノアはこれで危険な組織は壊滅して世の中は良くなったと語りました。ギャノンは「なぜ俺にさせなかったのか」とノアを問い詰めますが、ノアは「兄はもう警官じゃない」と応えました。コワルスキーら同僚たちから労いの声をかけられるノアとは対照的に、警察に戻る気のないギャノンは、自分が再び孤独を背負ったものだと感じていました。
以上、映画「スパロークリーク 野良犬たちの長い夜」のあらすじと結末でした。
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