メイジーの瞳の紹介;2012年アメリカ映画。両親の離婚に翻弄される幼い少女の視点から家族とは何かを描いたヒューマンドラマ。メイジーの親権を争う両親と恋人たち。大人たちの身勝手に振り回されるメイジーの瞳は何を見つめているのか。幼いメイジーに迫られた選択とは?
監督/スコット・マクギー 出演/ジュリアン・ムーア、アレクサンダー・スカルスガルド、オナタ・アプリール、ジョアンナ・バンダーハム、スティーブ・クーガン
映画「メイジーの瞳」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「メイジーの瞳」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
メイジーの瞳の予告編 動画
映画「メイジーの瞳」解説
この解説記事には映画「メイジーの瞳」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
メイジーの瞳のネタバレあらすじ:親権はどっち?離婚裁判開始。
幼いメイジーの両親はいさかいが絶えず、子守のために雇われたマーゴと一緒に今日も夕飯を食べる。
父親は仕事に行っている隙に鍵を変えられ、締め出しをくらい、離婚調停が始められる。アーティストをしている母親では養育環境が良くないとする父親と、仕事でよく家を空ける父親には養育できないとする母親の間で、母親は自分に有利になるように、メイジーに父親にソファに投げられて泣いたことがあったことを調停員に証言させようとする。
しかし、結局双方単独での親権は認められず、それぞれが10日ずつメイジーの世話をすることで決着を付ける。
メイジーの瞳のネタバレあらすじ:父の新しい恋人マーゴ、母の新しい恋人リンカーン
父親にマーゴの家に行こうと言われて父の新居を訪れるメイジー。子守をしていたマーゴはメイジー好みの部屋を用意していてくれた。マーゴは父親の新しい恋人で、メイジーは結婚式の付添役をすることになった。
一方、母親が世話をする10日間、新しくやって来た子守はおばあちゃんほどの歳の女性。メイジーはなかなか懐かないが、母親は父親が元子守のマーゴと結婚する事を知り、子守は若い女性には向かないと怒る。
メイジーは父親と子守のマーゴが結婚するという実感が湧かず、二人が新婚旅行でイタリアクルーズをする話を聞いていて、自分も連れて行ってもらえるのだと思い込む。
メイジーから母親を遠ざけようとする父親は、母親からメイジーに贈られた花束を捨てる。それを見つけたメイジーは、クローゼットにこっそりその花束を隠す。それがマーゴに見つかると、メイジーはアレルギーだからと捨てられてしまうと嘘を吐く。マーゴはメイジーに押し花にすればずっと花を見ていられると言って、二人で押し花を作った。
二人が新婚旅行に行く日、メイジーは学校に母親が来るはずなのに迎えに来ない。空港に急がなければいけないマーゴがとりあえず引き取りに来た所に、現れたのは母親の新しい恋人のリンカーン、しかし学校の管理人はいきなり現れた彼にメイジーを預けられないとマーゴにメイジーを渡し、マーゴはリンカーンに母親に確認の連絡を取るように要求。確認を取ると、リンカーンにメイジーを引き渡し、10日間の旅行へ。
メイジーはリンカーンとすぐに打ち解ける。昼間働いている母親は、夜にバーテンの仕事をしているリンカーンと付き合うようになったのはメイジーのためだったが、母親である自分ではなくメイジーがリンカーンに懐くのが気に入らず、取り入っていると言い、夜中のレコーディングの最中にリンカーンをメイジーがブースの外で遊んでいるのを制止して、メイジーをブースの中の椅子に座らせる。
メイジーの瞳のネタバレあらすじ:メイジーの世話は誰がする?
やがて、10日間ずつメイジーの世話をすると言う約束がうまく機能しなくなる。メイジーが熱を出しても咄嗟に迎えが来なかったり、10日間の区切りが曖昧だったりと、メイジーが迎えを待つこともしばしば。
母親は、自分が直接迎えに行く事は違反だけれど、父側が迎えに行くのを忘れるのは許される事を怒る。しかし、父親が仕事で忙しいように自分もアーティストとして全米ツアーに行かなければならないので父親側とリンカーンの助けは必要。ツアーの最中はリンカーンの働くバーにメイジーは預けられた。
ある日、昼間リンカーンがメイジーの世話をしていると、急に仕事に行かなければならなくなってしまう。しかたなく、彼はメイジーを父親側のマーゴの所に連れて行く。そこにはオートロックに締め出されてしまったマーゴがいて、管理人は居住者名にはメイジーの父親の名前しか無いというので、ドアを勝手に開けてもらえないと困り果てていた。挙句自分はメイジーの親権のために利用されたのだとリンカーンに八つ当たりをした。メイジーはそんなマーゴを慰めようと彼女のそばに行った。
その数日後、メイジーとマーゴはリンカーンのバーへ、「怒ってごめんね、ケーキ」と言ってチョコレートケーキを作って持って行き、マーゴとリンカーンは二人でメイジーと人形劇を見に行ったりと、子供の世話を通して親しくなる。
そんなある日、父親といさかいを起こしてマーゴは出て行ってしまう。仕事の拠点をアメリカからイギリスに移し、メイジーもそれについて行きたがったが、10日間ずつ世話をすることで裁判の決着を付けたので、連れて行くわけにも行かなかった。
母側のリンカーンが世話をする番だったが、用事が入ってしまったため、マーゴの所へ急遽メイジーを預ける事にするリンカーン。しかし、たまたまツアー中に立ち寄ったメイジーの母親と鉢合わせしてしまう。子供を置いて長期ツアーに行く彼女にリンカーンは「それでも母親か」と怒る。
母親はツアーを抜けられないか打診するが、訴訟を起こされるので仕方なくニューヨークを離れる時にリンカーンの店のあるビルの前でメイジーをバンから降ろし、ビルに入っていくのを見守った。しかし、その日、リンカーンは店にはおらず、メイジーを見知っていた店員が寝床の世話をした。
メイジーの瞳の結末:マーゴと海辺の家、リンカーンとボート
行き場の無いメイジーをマーゴが引き取り、海辺の売り家で一緒に暮らす事にした。メイジーは(マーゴと父親のイタリアクルーズ旅行の話を思い出し)そこで自分もボートに乗りたいとねだる。マーゴは漁師に今度頼んでみようと言った。
マーゴが連絡をいれていたのでリンカーンがやってきて三人での暮らしが始まる。マーゴとリンカーンは恋人同士のように見えた。海辺で遊んだ帰り、リンカーンとメイジーは明後日漁師の船に乗せてもらう約束をして、それを楽しみに眠りに就いたはずだった。
しかし、そこにツアーの道すがら立ち寄った母親がやってきて、一緒にツアーのバンに乗って行きましょうとメイジーを誘った。メイジーはリンカーンとボートに乗る約束をしているので明後日の夜じゃいけないのかと尋ねると、その時は別の場所に移動していると母親は答える。
メイジーにここに残る意思があると知った母親は、メイジーに母親が誰か分かるか尋ねる。メイジーにとって母親は目の前の母親だともちろん分かっていた。プレゼントだけ残して、母親は去った。
以上、映画「メイジーの瞳」のあらすじと結末でした。
メイジーの瞳のレビュー・感想:メイジーが見ていたもの、感じていたこと、決めたこと
作中、スポットはメイジーにあたっていて、彼女の周りのことは、断片的にしか様子が分からないようになっている。家、裁判所、学校、町、バーなどの様子も全体像をを俯瞰で捕らえる事はほとんどなく、メイジーの知りえる範囲の事しか分からない。逆に裁判所では見上げた丸天井が異様に高くて装飾が施されている事が見えたり、メイジーが何を感じて何を見たのかが伝わってくる。メイジーは自分の父親にも母親にも直接不満を漏らすことはしないが、学校で迎えを待っている時だけ、少しだけ心許なさそうにしている。
子供だから分からないだろう、というのは、おそらく大人の見誤りで、メイジーは自分の父親と母親のいさかいも、マーゴとリンカーンの関係も彼女なりに理解しているだと思う。母親か、リンカーンとした「ボートに乗る」と言う約束か、初めて迫られた選択で、躊躇無く自分がした約束を優先したメイジーに、彼女が選んだ自分の居たい場所はここなんだという意思を感じた。
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