ワンダーストラックの紹介:2017年アメリカ映画。『キャロル』のトッド・ヘインズ監督による、二つの時代の、自分の帰属する場所を探す子供たちを主人公にした映画。1927年、孤独な少女ローズは憧れの女優に会うためにニュージャージー州からニューヨークへ出る。1977年、母の遺品をヒントに、ベン少年は謎の父親を求めてミネソタ州からニューヨークへ向かう。モノクロのサイレント映画である1927年の物語とカラー有声映画の1977年の物語は頻繁に切り替えられながら並行して進み、やがて一つの物語になる。
監督:トッド・ヘインズ 出演者:オークス・フェグリー(ベン)、ミリセント・シモンズ(ローズ)、ジュリアン・ムーア(リリアン・メイヒュー / 1977年)、ミシェル・ウィリアムズ(エレイン)、ジェイデン・マイケル(ジェイミー)、トム・ヌーナン(ウォルター / 1977年)、コーリー・マイケル・スミス(ウォルター)、ほか
映画「ワンダーストラック」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ワンダーストラック」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ワンダーストラックの予告編 動画
映画「ワンダーストラック」解説
この解説記事には映画「ワンダーストラック」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ワンダーストラックのネタバレあらすじ:起・嵐
1927年
1927年、ニュージャージー州ホーボーケン。裕福な家庭の耳が聞こえない少女ローズの楽しみは有名女優リリアン・メイヒューの切り抜きをすることと紙細工。紙の摩天楼を部屋に飾っている。今日は一人でメイヒュー主演の映画『嵐の娘』をオルガン備え付けの映画館に見に行く。他の観客と共に感動して外に出てきた時、外も大雨、映画館はトーキー映画の上映が近日始まることを宣伝していた。
1977年
1977年、ミネソタ州ガンフリント。12歳のベンは図書館員だった母のエレインを交通事故で亡くしたばかり。母はついにダニーの父親が誰か教えてくれなかった。今は伯母に引き取られている。オオカミに追われる夢で目を覚ました夜、母と暮らした家に行くと、従姉が先にしのびこんでタバコを吸っている。タバコのことを伯母には内緒にすることで貸しを作る。ベンはその時、母親の遺品の中から『ワンダーストラック』と題されたアメリカ自然史博物館の古い本を見つける。そこにはさめられたキンケイド書店と書かれたしおりには「愛をこめて。ダニー」と記されていた。ダニーが自分の父親だと確信したベンは、書店の電話番号に電話をかけようとする。外は嵐。家に雷が落ちる。
ワンダーストラックのネタバレあらすじ:承・ニューヨークへ
1927年
厳格な父親は、先生が来るからとローズに勉強を命じる。だが、ローズは長い髪を自分でハサミを使って切って家出する。リリアン・メイヒューがニューヨークで芝居に出るという新聞の切り抜きと、兄から来たアメリカ自然史博物館の絵葉書をもってフェリーでニューヨークへ。楽屋口からプロムナード劇場に入ったローズが稽古中のメイヒューに見つかる。ローズは楽屋に通される。「会いたかった」と紙に書いたローズにメイヒューは怒り出す。彼女はローズの母親だった。
1977年
ベンは病院で意識を取り戻す。だが、落雷のせいで聴力を失っていた。それでもベンは従姉に手助けさせて病院を脱走し長距離バスで、父親を探すためにニューヨークへ行った。だが街で財布の金を盗まれてしまう。
ワンダーストラックのネタバレあらすじ:転・アメリカ自然史博物館
1927年
母に拒絶されたローズは楽屋に取り残されるが、窓から外へ逃げてアメリカ自然史博物館に行く。展示に目を奪われるローズ。とりわけ巨大な隕石に。だが、ローズは一人の博物館員につかまえられ、館員しか入れない部屋につれていかれる。なぜニューヨークに来たかをきかれる。それは兄のウォルターだった。
1927年
キンケイド書店はとうの昔に店を閉じているように見えた。ベンと体のぶつかった一人の少年が書店について何か話したようだがベンには聞こえない。少年と彼の父の跡をつけてベンはアメリカ自然史博物館に行く。ベンの落とした財布をその少年が拾ったため、ベンは少年を追って館内を歩き回る。ベンも巨大隕石に心惹かれる。だがベンを驚かせたのは夢に出てくるのと同じ、ガンフリント湖のオオカミのジオラマだった。少年ジェイミーと仲良くなったベンは、ジェイミーだけが知る館内の秘密の隠れ家に通される。その一つでは『ワンダーストラック』に描かれた陳列棚がそのまま残っていた。そして昔の資料の中にベンの家の絵があることを発見する。描いたのはダニーである。エレイン宛の、仕事の援助を頼む手紙も見つかった。博物館員であるジェイミーの父親にダニーのことを尋ねるように頼むベン。だが、ジェイミーはキンケイド書店の移転先を話しそびれていたことをベンにわびる。孤独な彼はベンと遊びたかったのだった。ベンは怒って博物館を出る。
ワンダーストラックの結末:大停電の夜
1977年
ベンは移転したキンケイド書店へ行く。耳の聞こえない女性客が入って来た。ベンが落とした『ワンダーストラック』を見て女性客は驚く。女性はローズで店の主人はウォルターだった。ベンは母の死を告げる新聞記事の切り抜きを見せる。ローズとベンはバスに乗ってクイーンズ美術館へ行く。閉館している時間だがローズの鍵で入館しニューヨークのパノラマ模型のある部屋に行く。ローズはウォルターの元に身を寄せて、ろう学校に通い始め、そこで知り合った男性と結婚してダニーを産んだ。アメリカ自然史博物館の展示部門に勤めたが1964年の万国博覧会のためのニューヨークのパノラマ模型を作る仕事に参加し、常設展示されることになったパノラマ模型の管理のために今はクイーンズ美術館で働いている。息子のダニーも自然史博物館のジオラマ部門に就職し、オオカミのジオラマの仕事でエレインと愛し合うようになったが、心臓の病気で若くして死んだのだった。ローズはエレインとオオカミのジオラマの前に来た幼いベンを覚えていた。ベンはローズが模型の中に隠していたダニーの描いたオオカミの絵を見せてもらう。 停電になり、ベンは「来なさい」という声を聞き母の姿を見る。美術館の外には二人の跡をつけてきたジェイミーがいた。ベンは友達をローズに紹介する。ニューヨーク中が停電で街は騒然としている。三人は美術館に避難し、停電の街を見下ろすのだった。
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