オーメン2/ダミアンの紹介:1978年アメリカ映画。品行方正で成績優秀のどこか愛くるしさを持つ男子中学生、ダミアンは目で睨むだけで人の命を奪う能力を持つ悪魔の子だった。前作「オーメン」の続編にあたる。
監督:ドン・テイラー 出演:ウィリアム・ホールデン(リチャード・ソーン)、リー・グラント(アン・ソーン)、ジョナサン・スコット・テイラー(ダミアン・ソーン)、ロバート・フォックスワース(ポール・ブーハー)、ほか
映画「オーメン2/ダミアン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「オーメン2/ダミアン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
オーメン2/ダミアンの予告編 動画
映画「オーメン2/ダミアン」解説
この解説記事には映画「オーメン2/ダミアン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
オーメン2/ダミアンのネタバレあらすじ:起
考古学者の男、ブーゲンハーゲンとその友人のマイケルに旧友のアメリカ大使館、ロバート・ソーンと妻、キャサリンの不可解な死に彼らの息子、ダミアンが絡んでいる事を話し合っていました。ダミアンは偶々、病院でリチャード夫妻の亡くなった実子と同時刻に生まれた赤ちゃんでした。ロバートとキャサリンは我が子の身代わりとして、ダミアンを育てていたのですが、彼が存在する事で次々と残酷で不可解な問題を起こり、夫妻は謎の死を遂げたのです。その少年、ダミアンが悪魔の子である事をマイケルに伝え、かつてロバートからダミアンについて相談され、その際に彼に短剣を渡したと言います。ロバートとの死後、ブーゲンハーゲンはロバートの弟、リチャードに持ってきた箱を渡す事をマイケルに依頼したのでした。2人は遺跡へ向かい、ダミアンが悪魔の子であるという証拠となるイガエルの壁を見て驚愕します。そこで突如、中が崩れていき2人は生き埋めとなってしまいました。
オーメン2/ダミアンのネタバレあらすじ:承
7年後。12歳の中学一年生になったダミアンはリチャードと彼の後妻のアン、リチャードの先妻との息子、マークとともに穏やかな暮らしをしています。家族愛に包まれながらも、叔母のマリオンだけはダミアンを嫌っていました。ダミアンとマークは本当の兄弟のように仲が良く、同じ陸軍学校へ通っています。2人が全寮制の学校へ戻ってから、マリオンはダミアンとマークを引き離して別々の学校へ入れるべきだと唐突に言われて困惑します。更にマリオンは兄ロバートがダミアンを殺そうとした事やそれについて何か不吉な理由があるのではないかと畳みかけるのでした。アンは「ダミアンは普通の子だ、出て行って」とマリオンを追い出します。その場にいた「ソーン美術館」の会長、チャールズは2人の争う姿を目撃していました。チャールズは発掘された大娼婦バビロンの像を今回の展示に使うとリチャードに伝えます。リチャードは亡くなった考古学者、ブーゲンハーゲンの伝記を執筆している記者、ジョーンが会いたがっている事も聞かされました。叔母のマリオンが部屋に入ってきたカラスに戸惑ってショック死します。学校ではダミアンとマークが新任の隊長のダニエル・ネフの話を聞いていました。その頃、アンは起きてこないマリオンが死亡しているのを発見します。幹部のポールが推進する農業事業に物を申す同じ幹部職のビル、科学者のデイヴッド・パサリアン博士と会議をしていたリチャードはマリオンの死を知り、家へ戻ります。その頃、学校ではダミアンがネフ軍曹から「困った事があればいつでも相談するといいよ」と親切に対応してもらっていました。ところが、クラスメイトのテディがマークを苛めた後にダミアンに突っかかってきたのでダミアンは目で彼を睨みつけるともだえ苦しませます。翌日、ポールを呼んだリチャードは彼の案を保留にはするが人材としての将来性はあると伝えました。空港に向かおうとしたリチャードは声を掛けてきたジョーンを車に乗せます。しかし、ブーゲンハーゲンと兄のロバートとの関係や間近に危機が迫っている事を知らされたリチャードはジョーンを途中で降ろしてしまいました。チャールズと美術館にいたアンはジョーンから危険を知らされ、イガエルの壁画を見たと言っていたジョーンがダミアンの事を言いかけて去っていった事を気に留めていたのです。ダミアンの学校へ向かったジョーンは、学校にいるダミアンを見かけ、壁画に描かれた人物画の瞳とそっくりな事に恐怖を感じます。その帰りに突如、カラスに襲われた彼女は残酷にも目を潰されて交通事故に遭い、息を引き取ります。
オーメン2/ダミアンのネタバレあらすじ:転
マークの誕生日がやってきました。ポールはネフ軍曹にダミアンの事をひっそり聞きます。大人として自覚を持つべきと叱られたダミアンは何かする事を感じているとポールに相談しました。リチャードは社員旅行に出かけていて、翌日、ホッケー遊びをしていた彼らの仕事仲間のビルがパックを立ち入り禁止領域に追い込んでしまい、氷が割れて落ちてしまいます。その場にもカラスがいて、ポールは周りが慌てる様子を催眠術でもかけられたみたいに黙って傍観していました。リチャードらは必死で助けようとしますがビルは亡くなってしまいます。リチャードはポールを次期社長に任命しました。旅行から戻ると、ポールがプロジェクトを実行した事を知り、自分に事前に話さずに勝手に進行した事を彼に問い詰めます。歴史の授業中、友達と手紙を回して注意されたダミアンは教師に「歴史については殆ど理解している」と生意気な口をきき、教師は彼にナポレオンについてあれこれ質問攻めにします。ダミアンは百科事典のようにすらすらと答えて教師を困惑させました。ネフ軍曹から注意を受け、「目立っちゃだめだ。そういえば君は自分の出生について知らないそうだね。新約聖書の黙示録に君が何者かが書いてあるから聖書を読んでみなさい」と意味深な事を言われて実行します。そして自分が悪魔の子だった事を知り、自分の頭髪の下に666という獣の数字を目の当たりにして思春期なりに混乱します。ネフはその様子を黙って見ていました。インド視察の仕事から戻ったポールはリチャードに連絡をしましたが不在だったのでポールに連絡します。ポールに会ったバサリアンは土地売買の件で何人もの人が亡くなったという事態を聞かされました。ダミアンは学校で社会科見学としてバサリアンの研究を見る事になっていました。指示されたプラントのチェックをしていたバサリアンの目の前で突然事故が起きて社会科見学は中止。バサリアンは操作不能のバルブを動かして閉鎖を試みますが有毒ガスを吸って死んでしまいました。その様子をダミアンが漠然と目撃し、ポールと目を合わせます。子ども達は病院で検査を受ける事になりましたが、ダミアンだけが事故の影響を受けていない事をリチャードは医師から聞かされ呆然となります。ダミアンを入院させて検査しようとしましたがダミアンはそれを拒みます。その夜、ダミアンの血液にジャッカルの血が混じっていた事に驚き、専門医に確認しようとしていた矢先、エレベーターの事故でケインは亡くなります。それを知ったリチャードがダミアンだけ社会科見学の事故の影響が無かった事に違和感を拭い去れませんでした。
オーメン2/ダミアンの結末
美術館にある箱が届き、中身を確認したチャールズはそれらがブーゲンハーゲンから送られてきたと気付きます。短剣など中身を確認してからそれを知らせる為にソーン家へ向かいます。出迎えたダミアンを気にしながらリチャードに会ったチャールズは、リチャードの兄、ロバートがかつてダミアン殺害を考えてブーゲンハーゲンから短剣と箱を渡されていてその箱が届いた事を知らせました。その中にあったブーゲンハーゲンが7年前に送ろうとした手紙をリチャードに渡したチャールズは、ダミアンが悪魔の子で黙示録のジャッカルの子どもだと伝えます。それを知ったロバートがブーゲンハーゲンと会った事、自分を含めたダミアンの周囲にいる人間は身の危険にさらされると忠告しました。イガエルの壁画の顔がダミアンそっくりであるとも伝えますがリチャードはこれだけダミアンの周りで災いが起きていても息子を信じます。その話を夜聞いていたリチャードの一人息子、マークは手紙をこっそり盗んンで黙示録を読み、ダミアンの事実に驚愕して何事もなかったように見せかけて眠りました。リチャードはアンに7年前の手紙を見せ、その内容を確かめるべくアンとともにマークを追いかけて家を出たダミアンの後を追いました。彼の出生の秘密を伝え、ダミアンがロバートを殺しかねなかった事を暴露して困惑します。マークはそれまで兄弟のように仲良くしていたダミアンを拒絶し、ダミアンはマークを睨みつけて怒りのあまり衝動的に殺してしまいました。駆け付けたリチャード夫妻に「僕は何もしてない!」と訴えますが、夫婦はダミアンに家に戻るように言い、何を信じたらいいか分かりませんでした。チャールズに連れられて壁画のある鉄道コンテナへ向かったリチャード。そこに書かれた壁画の顔をダミアンそっくりだと確認します。突然コンテナが稼働し、チャールズは挟まれて無残に亡くなりました。無事だったリチャードはチャールズの死を黙って見るしかありませんでした。シカゴの家に戻り、アンと共にダミアンを美術館に呼ぶ夫妻。リチャードはダミアンがこれまでの事件に関係している事やこれ以上彼を放置すれば犠牲者が出ると暗に訴えますが、アンはダミアンの事を信じません。リチャードは壁画の事を話し、短剣を探します。やっと見つかった短剣はチャールズが厳重に鍵を掛けた引き出しにありました。アンは夫を躊躇うことなく刺します。アンはダミアンに洗脳されていたのです。美術館に到着したダミアンは自分の名を呼ぶアンの声を聞いて彼らがいる部屋に火を放ち、養親が死んでゆくのを平然として傍観してから美術館を後にしたのでした。
世の中が混乱し、あるいは文化爛熟の時になると、とかく予言ということがクローズアップされてきます。
人類の滅亡、この世の終わり、善と悪との最後の闘争、ハルマゲドン。
そんな予言の中で、一番大きな予言が、旧約聖書ヨハネの黙示録に記されているものです。
人類の滅亡を目指して、悪魔の子がこの世の中に誕生し、邪魔になる者は、次々と抹殺していく恐ろしい予言ですね。
この映画「オーメン2/ダミアン」は、それを映画化して大ヒットした「オーメン」の続篇、第二部です。
あの悪魔の子ダミアンは、この作品では13歳に成長しています。
彼が初めて自分が悪魔の子であると自覚する、非常に重要なドラマが展開していきます。
それだけに、あの「エクソシスト」と並んで大ヒットした、この”オーメン”シリーズの中でも、一番ショッキングな場面が連続します。
ダミアンの正体を知った者が、次々に殺されていきます。
中でも、黒人の医者がエレベーターごと、真っ二つに胴を切られるシーンや、女性記者が鳥に襲われて惨殺されるシーンなど、もう、目を覆う場面の連続です。
そして、もう一つ、この映画の見どころは、その演技陣ですね。
ウィリアム・ホールデン、リー・グラントといったアカデミー賞俳優が競演しています。
また、お婆さん役に懐かしいシルビア・シドニーが扮して登場してきます。
「暗黒街の弾痕」などで、たいへん人気のあった美人スターですね。
この映画で、主人公のダミアンは13歳です。
この13歳という設定に、この映画のもう一つの意味があるんですね。
キリスト教の文化において、13という数字は不吉な数字です。
13日の金曜日に、キリストが処刑されたことから、この由来はきているのですが、悪魔の子ダミアンが、いよいよ不吉なことをし始めるという年齢には、ぴったりなわけですね。
しかし、私の心に残ったのは、ダミアンが自分が悪魔の子であるということを自覚して、なぜ自分が選ばれたんだと苦しむところなんですね。
13歳という年齢は、自分自身の存在、アイデンティティーを自覚する大切な年齢だということも、この映画では語られているように思えます。
そして、悪魔の存在は、そうした我々人間の悩む心の中にあるのだと思います。
自己中心の欲望が人を傷つけ、それが発展して戦争という悪魔が誕生するわけです。
そのことを、このようなオカルト映画の形をとって、この映画は我々に警告しているのだと思います。