ジャンゴ 繋がれざるの紹介:2012年アメリカ映画。奇才、クエンティン タランティーノ監督が初めて西部劇を撮った作品で、奴隷時代のころを華麗なタッチで映像に写し、大ヒットを記録します。
監督:クエンティン・タランティーノ 出演:ジェイミー・フォックス、レオナルド・ディカプリオ、クリストフ・ヴァルツ、ケリー・ワシントンほか
映画「ジャンゴ 繋がれざる者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジャンゴ 繋がれざる者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ジャンゴ 繋がれざる者の予告編 動画
映画「ジャンゴ 繋がれざる者」解説
この解説記事には映画「ジャンゴ 繋がれざる者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジャンゴ 繋がれざる者のネタバレあらすじ:奴隷と歯科馬車
1858年のアメリカ、テキサス州、まだ奴隷制度が色濃く残っていた時代のことです。白人のスペック兄弟は、多くの黒人奴隷を連れて、地主のところへ移送していました。そこに歯科医のトラックを運転している男が現れ、奴隷たちにトリプル3兄弟のことを聞いて回ります。すると一人の奴隷が名乗りを上げてきます。彼はジャンゴというらしいです。するとその歯科医のトラック男は、この奴隷を購入すると言い出します。当然スペック兄弟は、これは売り物ではないといい、断固拒否します。そして歯科医のトラック男、名をキングと言い、彼はスペック兄弟の一人を射殺し、さらに一人の足を撃って立てなくすると、ジャンゴとともにその場から去ります。
ジャンゴ 繋がれざる者のネタバレあらすじ:自由になるジャンゴ
キングはなぜか奴隷制が大嫌いな性分で、ジャンゴを自由の身にします。キングたちはエルパソという町に到着すると、黒人が禁じられている酒場へと足を踏み入れます。そこでキングは、ジャンゴに彼の身分を明かします。なんと彼は、賞金稼ぎとして生計を立てていたのです。そして、トリプル3兄弟を追っているから、ジャンゴにも手助けしてもらいたいというわけです。もし、ジャンゴが3兄弟を見つけてくれたら、もう自由にしてあげるし、それに賞金の75ドル、そして馬ももらえるというので、ジャンゴは大喜びで承諾するのです。
ジャンゴ 繋がれざる者のネタバレあらすじ:トリプル3兄弟の始末
彼らはトリプル3兄弟が誰なのかを探るために地主たちを訪ねていきます。キングが屋敷の人と話しをしている間に、ジャンゴはトリプル3兄弟のうちの2人を見つけてしまいます。そのとき、彼らは奴隷を鞭で打とうとしていました。ジャンゴはとっさに一人を撃ち殺し、さらにもう一人を鞭で壮絶に叩くと、最後は射殺します。そしてある一人が馬で逃げていきます。騒ぎを聞きつけたキングは、ジャンゴからあの馬に乗っている男が3人目だと言われ、撃ち殺します。農場主は彼らが法的に守られていることで、自分の土地で起きたことに何も対処ができませんでした。
ジャンゴ 繋がれざる者のネタバレあらすじ:クークラックスクラン
でも、彼らは夜になってあのクークラックスクランの変装をしてキングの馬車を襲います。しかし、馬車には爆弾が仕掛けてあり、派手に爆発すると、多くの変装男が死亡します。そして逃げていく農場主をジャンゴは一発で仕留めるのでした。これで晴れて完全に自由の身になったジャンゴでしたが、キングにあと一つ頼みごとをします。
ジャンゴ 繋がれざる者のネタバレあらすじ:妻の奪還
それは、ジャンゴの妻を取り戻すことでした。キングは賛成します。ジャンゴは冬の間、キングのお手伝いをしながら過ごします。そして春になると、キングたちはついにジャンゴの妻の居場所を特定します。しかし、その場所とはとても冷酷で残酷な農場主が支配している土地でした。
ジャンゴ 繋がれざる者のネタバレあらすじ:残酷な農場主
その農場主は、奴隷同士を死ぬまで戦わせて自ら楽しむなど、大変趣味が悪い人間でした。ジャンゴは彼の土地で、白人と猟犬に追われている一人の黒人奴隷が目に入ります。そこでキングがお金をだしてこの男を買うと言い出します。しかし、農場主は、こんなやつは価値がないと言い放ち、男は猟犬に食われてしまいます。そんななか、ジャンゴたちはこの農園で奴隷でありながら権力のあるスティーブンと会います。
ジャンゴ 繋がれざる者のネタバレあらすじ:黒人同士
そこで彼はジャンゴが馬に乗っている姿を見て、びっくり仰天してしまいます。彼は黒人が馬に乗っているなど想像ができなかったのです。スティーブンが農場主と会話している内容から、ジャンゴの妻が囚われていることを知ります。そこでキングは妻に会わせてほしいといい、妻に会います。そしてあなたに会わせたい人がいるというと、ジャンゴが妻の前に現れました。感動的な再会に、彼らは喜びます。農場主の主催で、夕食が行われ、そこでスティーブンは何やら農場主に耳打ちをしました。その内容とは、ジャンゴとその妻が知り合いであり、キングは妻を買って逃亡を企てるというものでした。
ジャンゴ 繋がれざる者のネタバレあらすじ:妻を買う
これを知った農場主は大激怒し、ジャンゴたちの武器を全て没収してしまいます。そして本当にほしいなら多額の金額を払ってほしいとキングに言うと、キングは言われた通りに払います。そしてジャンゴは妻を手に入れますが、キングは農場主を殺したあとに白人に射殺されてしまいます。
ジャンゴ 繋がれざる者の結末:奴隷解放
これに切れたジャンゴは、暴走して数人の白人を血祭りに仕上げます。そこにスティーブンが来て、彼を殴ると、裸にされ、宙吊り状態となります。スティーブンは熱したナイフで、彼の局部を切り取ろうとしますが、スティーブンの考えが変わり、ジャンゴを鉱山奴隷として売ることを決意します。彼は鉱山へ行く途中に、運搬の人に俺は奴隷じゃなくて賞金稼ぎであり、お尋ね者のビラもちゃんと持っていると言います。それを見た彼らは、ジャンゴを信じ、彼を釈放します。するとジャンゴは運搬人を殺して、鉱山行きだった奴隷を解放します。
ジャンゴ 繋がれざる者の結末:再会
ジャンゴは農場主のところへ戻ると、キングの遺体に礼をつくし、残りの白人を殺戮していきます。そして妻を見つけ、外へ避難させると、ダイナマイトを設置し、スティーブンは爆風により粉々になり、死亡します。家を破壊したジャンゴは、妻とともに馬で走りさります。
クエンティン・タランティーノと言う男の有り余る才能の奔流に飲み込まれてしまった。タランティーノは超一流のストーリーテラーであり稀代の映画監督である。この映画は誰が観てもマカロニウエスタンであり、極めてありふれた復讐劇にしか過ぎない。所が実際にタランティーノはこの作品を最高にスリリングでエキサイティングなエンターテインメントへと昇華させたのである。単純なストーリーを165分(2時間45分)という長編にして見せた。その間、観客は手に汗握り固唾を呑んでじっと見守る。スクリーンに次々に映し出される「地獄絵図」の一部始終を食い入るように見守るのである。人間心理の表も裏もそして映画という娯楽芸術の隅々までも熟知しているタランティーノにまたしてやられた。ところで、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」の中の第4曲に「ビドロ」(ポーランド語:牛車・家畜)という嬰ト短調の曲がある。私はこの映画の黒人奴隷の姿と「ビドロ」の重々しく響く哀しいメロディーを重ね合わせていた。一説によるとこの組曲の「ビドロ」は牛車を意味せず、迫害された人々の処刑を意味するらしい。またモンド映画の傑作であるヤコペッティの「残酷大陸」も私の脳裏をかすめた。スパイク・リーなどの黒人の「意識高い系文化人」からはこの作品が批判・糾弾されているようだ。しかし自分の価値観や解釈と相容れないからと言って文句を付ければキリがない。均質化され画一的な規格で生産された作品には微塵も魅力を感じない。映画と言う自由で奔放な娯楽芸術の世界に歴史的な正確さや優等生の偏狭な価値観を持ち込むべきではない。現実世界の独裁や圧政や暴力には断固反対するが映画だけは別だ。タランティーノの映画のバイオレンスシーンが怪しからんと言うのなら「見るな!」と言いたい。今回も配役が完璧であった。主役の起用を含めて紆余曲折あったようだが結果オーライである。ジェイミー・フォックスの存在感と鬼気迫る演技は他では得難いものである。2度目の助演男優賞を射止めたタランティーノ作品の常連、クリストフ・ヴァルツの軽妙でいて濃厚な演技も味わい深く格調高い。端役ではあったがブルース・ダーンやフランコ・ネロなど往年の名優たちの勇姿が拝めて得をした気分だ。レオナルド・ディカプリオとサミュエル・L・ジャクソンの絶妙のコンビネーションも見応え充分。演技派が注文以上の力演で応えているではないか。タランティーノもさぞや満足であったろう。そしてケリー・ワシントンの美貌と健気な表情は見る者の心をギュッと鷲掴みにする。不謹慎かも知れないが正直ありのままに言えば、壮絶な暴力や極度の窮地に追い込まれるほどに「エロスが爆発」するのである。甚だ危険ではあるが暴力とエロスは親和性が高いのだ。それもまた計算の上でタランティーノはこの映画を撮っている。このように「ジャンゴ繋がれざる者」は誠に画期的な娯楽アクションムービーでありタランティーノ会心の大傑作なのである。