48時間の紹介:1982年アメリカ映画。テレビでコメディアンとして活動していたエディ・マーフィが映画デビューを飾った作品です。サンフランシスコを舞台に、白人の荒くれ刑事と服役中の黒人チンピラが脱獄犯を追うため48時間の期限付きでコンビを組むクライムアクションです。
監督:ウォルター・ヒル 出演者:ニック・ノルティ(ジャック・ケイツ)、エディ・マーフィ(レジー・ハモンド)、アネット・オトゥール(エレイン)、デヴィッド・パトリック・ケリー(ルーサー)、ジェームズ・レマー(アルバート・ギャンズ)ほか
映画「48時間」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「48時間」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「48時間」解説
この解説記事には映画「48時間」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
48時間のネタバレあらすじ:起
ある夏の日、カリフォルニアの刑務所の受刑者たちは鉄道の線路工事に駆り出されていました。その中の一人で強盗殺人犯のアルバート・ギャンズ(ジェームズ・レマー)は、トラックでやってきたインディアンのビリー・ベア(ソニー・ランダム)と取っ組み合いになったかと思いきや看守を射殺、ギャンズはビリーと共にトラックで逃走します。翌日、サンフランシスコに着いたギャンズとビリーは昔のギャング仲間のルーサー(デヴィッド・パトリック・ケリー)を脅して“例の”50万ドルをよこせと要求、ルーサーの恋人ロザリー(ケリー・シャーマン)を人質として連れ去りホテルに向かいます。一方、サンフランシスコ市警の刑事ジャック・ケイツ(ニック・ノルティ)は恋人のエレイン(アネット・オトゥール)と過ごしていましたが、同僚の刑事二人と共に不良少年がたむろするホテルへの踏み込みを命じられます。
48時間のネタバレあらすじ:承
ジャックらがホテルに着くと、そこにいたのは不良少年ではなくギャンズたちでした。銃撃戦の末、ギャンズたちは同僚刑事二人を射殺して逃走します。ギャンズの捜査記録を調べたジャックは、仲間のひとりである黒人のチンピラ、レジー・ハモンド(エディ・マーフィ)が刑務所に服役していることを知ります。ジャックはレジーから事情を聞き出そうとしますが、レジーは条件としてここから出すよう要求してきたので、ジャックはやむなく48時間以内という期限付きでレジーを仮釈放させます。まず二人はルーサーのアパートに行き、初めてとは思えない巧みな連携プレイでルーサーを捕えることに成功します。続いて二人は.ビリーがバーテンダーをしていた店に行き、押し問答の末にビリーがチャイナタウンにいることを聞き出します。二人はチャイナタウンに住むビリーの女友達の元に向かいますが、その女友達はしばらく顔を見ていないと証言しました。何の手掛かりも掴めないジャックは、そのうちレジーが何か隠し事をしているのではないかと感づき、殴り合いの喧嘩に発展します。
48時間のネタバレあらすじ:転
レジーはようやくジャックに真実を語り始めました。かつてレジーは賭博場から50万ドルを奪って自分のポルシェに隠したこと、そしてギャンズたちがその50万ドルを狙っていることを打ち明けます。早朝、ジャックとレジーはポルシェの置いてある駐車場ビルの開店を待って見張っていると、あっさり釈放されたルーサーがレジーの名を騙って駐車場からボルシェを引き取って走り去って行きました。二人はルーサーの跡を追うと、ルーサーはポルシェから金の入ったアタッシュケースを取り出して地下鉄の駅に入り、ギャンズと取り引きをしようとしていました。発見したジャックらは銃撃戦を展開、ジャックはロザリーを連れたビリーを追いますが電車で逃げられてしまい、レジーはルーサーを追って黒人が集まる店「ブロマンズ」に辿り着きます。
48時間の結末
レジーの通報を受けたジャックが「ブロマンズ」に駆け付けると、レジーは早速キャンディ(オリビア・ブラウン)という美人を口説こうとしていました。しかしルーサーが近くのホテルから出てくるなりバスを盗んできたギャンズらに会いに行き、ケースを手渡しましたがギャンズはルーサーを射殺して逃走、ジャックとレジーは必死で追うも逃げられてしまいます。期限の48時間も迫り、レジーが刑務所に戻る時が近づいてきたその時、同僚の連絡によりバスがチャイナタウンにあることを知った二人は、ビリーの女友達のアパートでギャンズとビリーを発見、レジーはビリーを射殺、逃げたギャンズもジャックが射殺しました。事件は解決し、レジーはホテルでキャンディと楽しんだ後に刑務所に向かい、ジャックはレジーに「例の50万ドルはお前のものだ。だがまた悪事を働いたら容赦しないから」と言って別れました。
この映画「48時間」は、サンフランシスコの街を舞台に、脱獄した凶悪犯を追うはみ出し刑事が、刑務所に服役中の凶悪犯の仲間に48時間の仮釈放を与え、彼をパートナーとして大追跡を繰り広げる、ごきげんなポリス・アクション映画だ。
スピード感あふれるウォルター・ヒル監督の演出にのって、エディ・マーフィーが見事なデビューを飾った作品としても知られている作品だ。
看守を殺して脱獄した凶悪犯。彼は更に刑事二人を惨殺して逃亡を続ける。
そして、これを追いかけるのが、横紙破りのはみ出し刑事。
こうくれば、あの「ダーティハリー」を思い出すが、舞台は同じサンフランシスコでも、この後の物語の展開が何とも変わっているのだ。
はみ出し刑事は、凶悪犯のかつての仲間を刑務所から仮出所させ、情報を引き出しながら一緒に追跡して行く。
タイムリミットは48時間——。
このかつての仲間が黒人で、はみ出し刑事がアイルランド系の白人。
刑事は、自分の手と黒人の手を手錠でつないで走るのだが、次第に二人の信頼感で強まっていく。
もちろん、これは言うまでもなく、スタンリー・クレイマー監督、トニー・カーチス、シドニー・ポワチエ主演の「手錠のままの脱獄」のアイディアをいただいている。
アメリカの混乱を乗り切るには、白人と黒人が手をつなぐしかないという訴えは、あの時代より遥かに実感をもって迫ってくる。
と言ってもシリアスにそれを描くのではなく、時にアクションで振り回し、時に笑い飛ばして見せる若さは、リアリズムを基調にした訴えではなく、”寓話”としての面白さを創り出して見せてくれる。
いくらアメリカでも、仮出所の囚人に警察手帳や拳銃を貸すなんてことは絶対にあり得ないのだが、その気にさせてしまうあたりが、当時、ニューアクションの旗手と言われたウォルター・ヒル監督の腕前なのだろう。
はみ出し刑事のニック・ノルティのウドの大木的なムード、エディ・マーフィの小賢しさ。
ともに演技というより、キャラクターの面白さで大いに楽しませてくれる。
白人と黒人が手を握って、その一方の凶悪犯側はプエルトリコ系やネイティブアメリカン系の青年。
結局、時代からはみ出していくものは、いつの時代も時の弱小民族なのだろうか。
こんなあたりにも、当時のアメリカの姿が見えて、まことに興味深い映画である。