恋はデジャ・ブの紹介:1993年アメリカ映画。同じ日が繰り返されることによって、自分勝手だった天気予報士が善人となってゆく様子をコミカルに描く。初公開当時の評判はさほどでもなかったが、時間が経つにつれて評価が高まり、今ではSFコメディの名作となっている。
監督:ハロルド・ライミス 出演:ビル・マーレイ(フィル・コナーズ)、アンディ・マクダウェル(リタ・ハンソン)、クリス・エリオット、スティーヴン・トボロウスキー、ほか
映画「恋はデジャ・ブ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「恋はデジャ・ブ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「恋はデジャ・ブ」解説
この解説記事には映画「恋はデジャ・ブ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
恋はデジャ・ブのネタバレあらすじ:起
スタジオでテレビの天気予報が生放送中。担当のフィルはテレビでは愛想が良さそうですが、実生活では手前勝手な嫌な男です。ある日、彼はパンクスタウニーを訪れます。毎年2月2日グラウンドホッグデーに行われる祭事を取材するためで、女性プロデューサーのリタやカメラマンのラリーと一緒です。遊び好きなフィルは田舎町が性に合わず、取材を終えるととっとと帰ろうとしますが、吹雪による交通事故のためさらに一泊することとなります。
恋はデジャ・ブのネタバレあらすじ:承
そして翌朝。フィルが起きてみると何か変です。窓から外を見ると積もっていたはずの雪が消えています。そして、町の人々、そしてリタやラリーまで、全く昨日と同じ行動を取るのです。しかも昨日終わったはずの祭事がやはり行われています。どうやらフィルはタイムスリップしてしまい、昨日の朝に戻ったようです。怯えながらもその日を昨日と同じようにやり過ごすフィル。また翌朝。恐ろしいことがわかります。再びグラウンドホッグデーの朝に戻っているのです。この現象は単なるタイムスリップではなく、ループとなっていることに気づいたフィルは愕然とします。しかも、それまでの記憶があるのは彼1人。町の人々はもちろん、リタやラリーもまるでその日が初めて来たように振る舞うだけです。
恋はデジャ・ブのネタバレあらすじ:転
フィルにとってウンザリする日々が始まりました。何しろ、その日何が起こるか全て事前に分かっているのです。そのうち、時間が無限にあることを活かして事前調査をし、女性をナンパしたり犯罪行為に走りますが、翌朝になると元に戻ることもあってそれにも飽きてきます。プロデューサーのリタも何度も口説こうとするのですがフィルを毛嫌いしている彼女は無視を決め込みます。
恋はデジャ・ブの結末
ループ現象から抜け出せないことに絶望したフィルはついに自殺まで試みますが、結局は生き返ってまた1日が始まるので死ぬことすら出来ません。絶望を越えて生まれ変わった気持ちになった彼は、今までとは逆に事前の知識を活かして町の人々に善行を施すようになります。人々に感謝されるようになると、リタの見る目も変わってきて、ついに彼女とのデートに成功。そして翌朝になると、隣にリタがいます。日付もついに2月3日になっていました。こうして善人になってリタという伴侶も得たフィルは、パンクスタウニーに永住することを決めるのでした。
「恋はデジャ・ブ」感想・レビュー
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この作品は個人的に最多の鑑賞記録を誇る異例の存在である。今日に至るまで50回以上は観ている。自室で飲酒しながら食い入るようにして丁寧に鑑賞してきた。観る度に感涙にむせぶ特別な映画であり、ある意味では私の恩人のような尊い存在でもある。多くの方が指摘するようにコミカルタッチな中にも深い哲学的なメッセージが込められている。主人公のフィルが何度も何度も繰り返して結果を変えようとする。その間には深刻な現実に絶望し自殺まで企てる。ホームレスの老人とのやり取りでフィルは愛の深遠さを悟ることになる。思いやる気持ちの尊さは金品だけでは決して語ることが出来ない。他人に親切に振る舞うことは実は自分こそが救われる行為に他ならない。自利利他から、他人を優先する利他へと変貌を遂げてゆくプロセスを丁寧にコミカルに描き切っているのである。この作品は説教がましくもなく決して押し付けようともしない。同じ日が延々と繰り返されることが苦痛であったフィルは、同じ日を目いっぱいに楽しみ味わい尽くそうと変わる。そう、人間はやり直す事が可能であり懸命に模索すれば「人生は好転するものだ」っと言うメッセージが込められているのである。これは出来過ぎたおとぎ話なのかも知れない。しかしこのコミカルでユニークなロマンティックコメディーが、世界中の映画ファンを魅了し大いなる影響を与えた事実は計り知れない。「恋はデジャ・ブ」はハリウッドの映画史上に燦然と輝く名画の中の名画であると断言する。
同じ一日を繰り返すとしたら、何をして過ごしますか?
タイムスリップをテーマにした映画とは違い、主人公が制限なく何をしても同じ朝に戻ることを自覚してからの行動が面白いです。
レストランの女性をナンパしたり、ピアノのレッスンを受け続けて見たり、なんとなく自分も同じ立場だったらするかもしれない事をしています。
一番印象的だったのは、ホームレスのおじいさんとのくだりです。
ホームレスのおじいさんはその日寒空の下、孤独に死んでいく運命です。
主人公はそのおじいさんを知ってから、レストランで食事をご馳走したり、なんとか助けようとします。
しかし、何をしてもおじいさんは助かりません。
何度かおじいさんの死を看取り、息も白くなる寒さの中、無くなる寸前のおじいさんが主人公に何か耳打ちをします。
意図的かと思いますが、何を主人公に伝えたか分からなくなっています。
それをきっかけにおじいさんとの描写はなくなります。
見る人が自由に想像できるようにしたのか、映画を見た後におじいさんは主人公に何を伝えたのかと、ずっと考えさせられます。
主人公はその後、人生に感謝の気持ちを持って過ごしているように見えました。
結果ヒロインと結ばれてループが終わるのですが、ヒロインと結ばれるのは主人公が変わったからであって、小手先の口説き方を変えたとかではありません。
なんとなく最後は温かい気持ちになる、人生に対する愛情を感じる映画です。