オテサーネク 妄想の子供の紹介:2000年チェコ,イギリス映画。チェコ民話の食人木『オテサーネク』を下敷きにしたファンタジーホラー。不妊症に悩む妻ボジェナのため、夫カレルは赤ん坊の姿に似せた切り株をプレゼントする。カレルは慰めのつもりだったが、ボジェナは切り株を我が子として溺愛するようになった。オティークと名付けられた切り株の子供には生命が宿り、異常な食欲を見せ始める。その様子に、隣家の少女アルジュビェトカは『オテサーネク』の惨劇を予感するのだった。
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル 出演者:ヴェロニカ・ジルコヴァ(ボジェナ・ホラーク)、ヤン・ハルトゥル(カレル・ホラーク)、ヤロスラヴァ・クレチュメロヴァ(シュタードレル夫人)、パヴェル・ノヴィー(シュタードレル)、クリスティーナ・アダムコヴァ(アルジュビェトカ)ほか
映画「オテサーネク 妄想の子供」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「オテサーネク 妄想の子供」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「オテサーネク 妄想の子供」解説
この解説記事には映画「オテサーネク 妄想の子供」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
オテサーネク 妄想の子供のネタバレあらすじ:切り株の赤ん坊
プラハに住むホラーク夫妻は不妊症に悩んでいました。特に妻ボジェナはノイローゼ寸前まで追い詰められ、夫カレルも苦悩しています。同じアパートの隣室に住むシュタードレル夫妻はホラーク夫妻に同情的でしたが、早熟な娘アルジュビェトカは冷淡な態度をとります。ある日、カレルはボジェナを慰めるため別荘を購入して出かけました。庭の切り株を引っこ抜き、赤ん坊に似せた人形を作ってボジェナにプレゼントします。ほんの冗談のつもりでしたが、ボジェナは切り株の人形を強く抱きしめ自分の子だと思い込んでしまいます。常軌を逸した妻の行動に、カレルは突然赤ん坊を連れて帰る訳にはいかない、週末ごとに会いに来よう、と説得し人形を置いてアパートに戻りました。
オテサーネク 妄想の子供のネタバレあらすじ:妊娠と出産
ボジェナは子供ができたと周囲に報告し、妊娠を偽装するためのクッションまで用意します。「きちんと私が産んであげるの」と笑う彼女にカレルは軽率な行動を心底後悔しました。ホラーク夫妻は毎週末に別荘へ向かい、切り株の赤ん坊の世話をし続けます。そして8ヶ月目に入ったある日、ボジェナは別荘で「出産」しました。切り株の子供を抱きしめる妻を置いてアパートに戻ったカレルは、シュタードレル一家にあれこれ聞かれ、苦し紛れに男の子が産まれたと嘘をつきます。不審がるアルジュビェトカに名前を聞かれ「オティーク」と答えました。
オテサーネク 妄想の子供のネタバレあらすじ:宿ってしまった生命
カレルが別荘へ向かうと、ボジェナがオティークに母乳を与えていました。オティークは本物の赤ん坊のように母乳を飲んでいます。驚愕したカレルは斧で壊そうとしますが、ボジェナの猛反発に遭い結局皆でアパートに戻りました。次第にオティークは異常な食欲を見せるようになります。店で大量のベビーフードを買い込むボジェナを、学校帰りのアルジュビェトカが目撃します。彼女は店の前でオティークの乳母車を覗き込み、靴下を脱がせてみました。すると枝が動いてアルジュビェトカの指に巻き付きます。驚いてその場から逃げたアルジュビェトカは、帰宅してチェコの民話『オテサーネク』を読み始めました。
オテサーネク 妄想の子供のネタバレあらすじ:『オテサーネク』
――あるところに、子供のいない貧しい夫婦がいました。2人は切り株で赤ん坊を作りオテサーネクと名づけます。しかしオテサーネクは食欲旺盛で何でも食べてしまい、ついに両親も飲み込んでしまいます。巨大化を続けるオテサーネクは食べ物を求めて村へ行きました。植物や動物、人間も食べてしまったオテサーネクはおばあさんのキャベツ畑にやって来ます。キャベツを全て飲み込んだオテサーネクにおばあさんは激怒し鍬を振り下ろしました。オテサーネクは倒れ、裂けた腹の中から今まで食べたものが溢れ出て来ます。――アルジュビェトカが窓の下を見ると、アパートの管理人の老女が畑でキャベツを育てていました。
オテサーネク 妄想の子供の結末:惨劇の果てに
オティークの食欲はとどまるところを知らず、郵便配達人や様子を見に来た福祉事務所の役人を食べてしまいます。カレルはオティークを地下室の箱に閉じ込め飢え死にさせることにしました。ボジェナはあんまりだと泣き叫びます。その様子を見ていたアルジュビェトカはこっそり地下室へ入り、箱を開けてオティークの世話をし始めます。大量の食事やおもちゃを用意してやりながら、管理人のキャベツだけは食べないようにと教えるアルジュビェトカ。『オテサーネク』の通りになることを恐れているのです。娘の行動を不審に思ったシュタードレル夫人は食べ物の持ち出しを禁止します。食料を用意出来なくなったアルジュビェトカはアパートの住人を餌にすることにしました。ジュラーベクという老爺が最初の犠牲者になり、ホラーク夫妻も食べられてしまいます。立て続く失踪事件に、シュタードレル夫人は玄関にバリケードを築き家族と籠城することにしました。アルジュビェトカが外に出られなくなったため、オティークは空腹のあまり管理人のキャベツを食べ始めます。アルジュビェトカは無理やりバリケードをこじ開け、管理人にオティークを殺さないでと頼みますが、老女は鍬を掴んで地下へ降りて行きました。アルジュビェトカの泣き声が響き、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画オテサーネク 妄想の子供のあらすじと結末でした。
「オテサーネク 妄想の子供」感想・レビュー
-
なぜアルジュビェトカがオティークの世話をするのか疑問。そのまま餓死させれば良かったのでは?とは思うけどそれじゃつまらないもんね。
-
アルジュビェトカは、冒頭一人っ子であることに不満をもっていて、
両親に子供を産んでほしいとせがんだり、生殖に関心をもっていたり、
「自分だけの遊び相手が欲しい」という願望を抱いていたので、
そのためオティークの世話をしたのでしょうかね。
たしかに、オティークが登場してからはそのインパクトにもっていかれて、
アルジュビェトカの心情は忘れてしまいましたが……
グロテスクな世界ならお任せ!のチェコの奇才、ヤン・シュバンクマイエル監督のファンタジックで恐ろしい映画です。「オテサーネク」は、チェコの民話を元に描かれています。不妊の夫婦が拾ってきた切り株を子供代わりに大事にしていたら、どんどん巨大化し、町のみんなを食べてしまうという恐ろしい話です。怖いけれど、なぜか癖になってしまうのは、さすがシュバンクマイエル監督です。また観たい作品です。