柔らかい殻の紹介:1990年イギリス映画。吸血鬼伝説をベースに、少年期の心の機微を繊細に描いた幻想的なホラー作品。小麦畑に囲まれた田舎で暮らす少年セスは、不気味で謎めいた未亡人を吸血鬼と決め付け警戒していた。時を同じくしてセスの周囲で様々な事件が起こり始める。妄想と現実がリンクした時、少年の無垢な暴走が始まる。
監督:フィリップ・リドリー 出演者:ジェレミー・クーパー(セス・ダブ)、ヴィゴ・モーテンセン(キャメロン・ダブ)、リンゼイ・ダンカン(ドルフィン・ブルー)、シェイラ・ムーア(ルース・ダブ)、ダンカン・フレイザー(ルーク・ダブ)ほか
映画「柔らかい殻」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「柔らかい殻」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「柔らかい殻」解説
この解説記事には映画「柔らかい殻」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
柔らかい殻のネタバレあらすじ:セスの世界
舞台は1950年代のアメリカ、アイダホ州。田舎で暮らす少年セス・ダブは、友人のイーブン、キムと一緒にちょくちょく悪戯を行っていました。標的は町外れに住む未亡人ドルフィン・ブルー。いつも黒い服と黒いショールを身に付け、黒いサングラスをかけている彼女は子ども達にとって不気味な存在です。この日も道を歩くドルフィンに蛙の血を浴びせたセス達は、笑いながら走り去りました。その後セスはガソリンスタンドを営む家に帰ります。セスの家族はヒステリックな母ルースと、ルースに頭の上がらない父ルーク、そして現在戦争に行っている兄キャメロンです。ルークは吸血鬼の本を読んでいて、彼らは若さを保つために血を吸い、吸われた者は死亡してしまうとセスに教えます。そこへ4人の男を乗せたキャデラックがやって来ました。男達は給油するセスを気に入ったらしく「また会おう」と言って去っていきます。ドルフィンへの悪戯が露見したセスはルースから大目玉をくらい、1人ドルフィンの家に謝罪に行くことになりました。
柔らかい殻のネタバレあらすじ:事件
ドルフィンの家に到着したセスは、彼女に家の中へと招き入れられます。亡き夫との思い出を語り、遺品を取り出しては泣き喚くドルフィン。悲しみで老いたドルフィンは自身を200歳だと言い、セスも真に受けてしまいます。その夜、吸血鬼の本を読んだセスは「あいつ(ドルフィン)は吸血鬼だ」と確信しました。そこへイーブンが行方不明という知らせが入ります。ドルフィンの仕業と考えたセスは、翌日キムと一緒に彼女の家に侵入しました。室内を滅茶苦茶に荒らした2人は帰宅したドルフィンと鉢合わせし、慌てて逃げ出します。キムと別れて1人で歩いていると、道の向こうから双子の女性が並んでやって来ました。彼女達は無表情で、奇声を発しながら歩いていきます。すれ違ったセスは家まで走り、水を飲もうと井戸の蓋を開けました。水面にはイーブンの遺体が浮かんでいました。
柔らかい殻のネタバレあらすじ:父の死と兄の帰還
取り調べのためダブ家にやって来た保安官は、小児性愛の気があるルークを疑っていました。女性のような仕草で泣きながら容疑を否定するルーク。逮捕は免れたもののルースから何度も叩かれた彼は、ガソリンを頭から被って焼身自殺します。それからしばらくしてキャメロンが軍務から戻って来ました。兄を慕うセスは喜んで迎えに行きます。キャメロンはセスのためにこの地に留まる覚悟で帰って来ました。兄弟は父の墓参りに向かいますが、そこへドルフィンが現れキャメロンと親しげに話し始めます。キャメロンがドルフィンの餌食になってしまうことを恐れたセスは「何とかしなきゃ」とキムに相談しました。その日、2人は納屋の中で赤ん坊の遺体を見つけます。事態を正しく理解出来ないセス達は「僕たち天使を見つけたんだ」と言って喜びます。セスはこの天使はイーブンかも知れないと言い、家に連れて帰ります。
柔らかい殻のネタバレあらすじ:セスの妄執
翌朝、ドルフィンの家に向かうキャメロンを追いかけ、裏口から侵入したセス。2階の部屋では床に座ったキャメロンとドルフィンが静かに話していました。キャメロンは戦争中、太平洋で世界最大の爆撃を見たと言います。項垂れる彼にキスをするドルフィン。セスが部屋を覗いてみると、そこには全裸になったキャメロンを抱きしめるドルフィンの姿がありました。ショックを受けたセスは泣きながら家を飛び出します。途中でキャデラックの男達がキムを無理やり連れ去る現場を目撃しますが、セスはただ黙って見つめていました。翌日、セスは櫛にキャメロンの髪の毛がついているのを発見し、吸血されたことで老化が始まったのだと思います。「あいつ(ドルフィン)は兄さんを殺す気だ」とイーブンに相談するセス。キャメロンを愛し始めたことで、ドルフィンは若さと美しさを取り戻していました。それがセスの目には若返りに映ったのです。やがてキムの遺体が発見され、セスはドルフィンの犯行だと確信します。キャメロンの体調は悪くなる一方でした。歯茎から出血し、体重も減っています。老けていくのはドルフィンのせいだと忠告しますがキャメロンは信じません。その上キャメロンはセスの胸倉を掴み上げ、ドルフィンと2人でよそへ行くと宣言します。
柔らかい殻のネタバレあらすじ:少年期の終焉
セスは道端で白い服を着たドルフィンを見つけました。町へ行く車を待っているという彼女は、「彼(キャメロン)を愛してるの」と言います。人間は必ず老いていくもの。けれど「愛されていれば若さを保てるわ」と語ります。そこへキャデラックが現れ、何も知らないドルフィンはその車に乗り込みます。セスは何も言わずに見送りました。結局ドルフィンも遺体で発見され、キャメロンは遺体に縋り付いて泣き喚きます。その様子にセスもまた暴れ出し、全速力で走り出しました。膝から崩れたセスが夕日を背に絶叫し、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画柔らかい殻のあらすじと結末でした。
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