カティンの森の紹介:2007年ポーランド映画。第二次世界大戦中、1万数千人のポーランド軍将校が虐殺された「カティンの森事件」を扱う反戦映画。事件で父親を亡くしたポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダが監督を務める。1939年9月、ポーランド軍将校のアンジェイはソ連軍の捕虜となり収容所に移送される。妻アンナは不安の中アンジェイの帰りを待ち続けるが、1943年、カティン集落近くの森で将校達の遺体が発見された。そして戦争は愛する者の死を悲しむ自由すらも奪い去っていく。
監督:アンジェイ・ワイダ 出演者:マヤ・オスタシェフスカ(アンナ)、アルトゥル・ジミイェフスキ(アンジェイ)、アンジェイ・ヒラ(イェジ)、マヤ・コモロフスカ(アンジェイの母)、ダヌタ・ステンカ(大将夫人ルジャ)ほか
映画「カティンの森」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「カティンの森」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「カティンの森」解説
この解説記事には映画「カティンの森」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
カティンの森のネタバレあらすじ:引き裂かれた家族
舞台は第二次世界下のポーランド。1939年8月、ドイツとソビエト連邦は不可侵条約を締結。同年9月1日にはドイツ軍が、17日にはソ連軍がポーランドを侵略しました。ポーランド軍将校を夫に持つアンナは、ポーランド南部のクラクフからソ連占領下の東部へ向かいます。幼い娘ヴェロニカ(愛称ニカ)と共に夫アンジェイのいる駅を目指すアンナ。ポーランド軍はソ連軍に全面降伏し、アンジェイ達軍将校は捕虜にされました。アンジェイはこれからの出来事を手帳に書き込むことにします。友人イェジは不安そうな顔をしていました。移送される直前、アンナとニカが駅に到着し逃走を懇願しますが、結局アンジェイはコジェルスク収容所へ移送されてしまいます。同年11月、アンナは未だソ連占領地域に足止めをくらっていました。何とかニカと共にクラクフへ戻ろうとしますが、ソ連軍の許可が下りないのです。それでも様々な手助けを得たアンナ達は1940年の春にやっとクラクフに戻り、アンジェイの母親と共に暮らし始めました。しかし同年3月4日、ザクセンハウゼンに収容されていた義父が病死したと通告があり、家族は嘆き悲しみます。
カティンの森のネタバレあらすじ:カティンの森の虐殺
1940年に入り、捕虜となった1万数千人の軍将校が行方不明になっていることが判明します。1943年、ドイツ軍がソ連の占領地域に侵攻し、グニェズドヴォ近郊の森から夥しい将校達の遺体を発見。ドイツ軍はこれをソ連が犯した前代未聞の虐殺だと糾弾し、後に「カティンの森事件」と呼ばれるようになります。犠牲者が次々発表されますが、そこにアンジェイの名前はありませんでした。アンナ達は安堵しますが、ポーランド軍大将やイェジの名を見つけ悲しみます。ところが1945年1月18日、クラクフはドイツ軍から解放され、アンナ達の家に死亡したと思われたイェジが訪ねて来ます。彼は「大尉(※アンジェイのこと)は私の名入りセーターを着ていた」と告げました。つまり森で発見された遺体はイェジではなく、イェジのセーターを着たアンジェイだったのです。待ち続けた夫の死にアンナは泣き崩れました。
カティンの森のネタバレあらすじ:口をつぐむポーランド
親ソポーランド軍将校となったイェジは、クラクフ法医学研究所を訪ねます。そこはドイツがソ連の有罪証拠を保管している場所です。所員達はイェジを警戒しますが、彼はアンジェイの遺品を家族に渡してやって欲しいと頼み、アンナの住所を教え去っていきました。ソ連はカティンの森の捕虜銃殺事件はドイツ軍の犯行だと発表します。虚偽であることは明白でしたが、ソ連の衛星国となったポーランドでそれを口に出せる人間はいませんでした。イェジもソ連の発表は正しいと言い続けていましたが、亡き大将の妻ルジャから責められ、自らを恥じて拳銃自殺を遂げてしまいます。
カティンの森のネタバレあらすじ:終わらない苦しみ
戦後、写真館で働き始めたアンナ。そこへ偶然甥のタデウシュがやって来ます。思わぬ再会を喜ぶアンナでしたが、タデウシュの父もまたカティンの森事件の犠牲者だと知ります。学生証に使う写真を撮り終えたタデウシュは必要書類の提出に学校へ向かいました。しかし彼が父のことを「ソ連により虐殺」と書いていたことから訂正を要求されます。カティン問題は今やソ連への忠誠の尺度となっていました。憤慨して出て行くタデウシュ。校長は「自由なポーランドは有り得ない」と呟きます。苛立ちながら街を歩くタデウシュは警察を挑発してしまい、逃走中車に撥ねられ死亡してしまいました。
カティンの森の結末:アンジェイの手帳
一方、アンナの元へクラクフ法医学研究所の所員が訪ねて来ました。彼女はアンジェイの遺品を渡すため極秘でやって来たのです。非常に危険な行為でしたが、イェジの自殺を知り彼の頼みを叶えようと決意したそうです。手渡された封筒にはアンジェイの手帳が入っていました。そこにはカティンの森事件の真相が生々しく綴られていました。1940年4月、アンジェイ達は囚人用貨車に乗せられ西へ移送されました。グニェズドヴォ駅に到着し、更に車に乗り換え移動は続きます。車は森に入っていきました。森の中ではソ連軍が土を掘り返し、大きく深い穴を用意していました。車から降ろされたアンジェイは後頭部を撃たれ死亡します。その後仲間の将校達も同じように殺害され、皆穴に落とされていきました。折り重なったいくつもの遺体。その上から無慈悲に土がかけられます。アンジェイの最期の記録と共に、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画カティンの森のあらすじと結末でした。
私は何故かアウシュビッツの収容所関係のドキュメント番組があると必ず観ます。その時ワイダ監督が映画として残したい。題名を覚えていなくて今回DVD買えて良かった